サカナクション 山口一郎が仕掛ける「NF」が提示する、未来の価値とは? | Numero TOKYO - Part 7
Culture / Post

サカナクション 山口一郎が仕掛ける「NF」が提示する、未来の価値とは?

ファッション×テクノロジーの次のステージは?
──今後の展開は? 次は何が起きるのでしょうか?
T「次のテーマは決まっているんですけど、その都度、打ち合わせをするとみんな新しいものを持ち寄って来ていて、別のことを思いついちゃうから、どうなっていくかはギリギリまで分からないんです。ただ個人的には、NFをやっていると、自分の中でもの作りへの意識が変わってきている感覚が確実にあるので、その感覚のままアウトプットするとどうなるのか。セルフ実験みたいなことがしてみたいなとは思います。NFをやっている感覚で、他の仕事をやるとどうなるかとかも。そもそも僕は映像ディレクターとして映像の仕事をしているけど、スタート時点は映像だけではなくて何かを作りたいという衝動でやっていた訳ですよ。今NFをやっているのってその原点回帰っぽいものがあって、映像だけが作りたかった訳じゃないけど、何かやりたかったからいまも“何か”をやっているんだよなって気づかされて、初心に帰る」 M「裕介さんの絵コンテを見て、この人は映像をやってるけど、アートディレクターの領域を超えるというか、違うものも絶対作れるはずだって最初から思っていました」 T「それって結構重要なテーマですよね。僕自身が、音楽が好きという気持ちから入ってミュージックビデオに目が行き、かっこいいなってそれを掘って行って、映像の仕事に辿り着いた訳ですが、音楽って色んなカルチャーを牽引しやすい文化ってことですよね。そこから入ってファッションに出合い、映像に出合い、テクノロジーに出合い…って、自分も初期の気持ちに戻りながら、周りにも派生させられたらいいなと」 Y「NFで実験したものを、三田さんの仕事の現場でやったらどうなるかとか、裕介さんが映像の中でやったらどうなるかとか、考えますね。発想のスタート地点を変えてみたり、最後のアウトプットの方法を変えるというのは、NFっぽい」
──クリエイターはその試行錯誤を、裏でやるのが常。表には見せないじゃないですか。でもここでは皆が目撃者になっている。NFで見たことを田中さんが次のミュージックビデオに取り入れていたり、この実験がスタイリングに活かされていたりという日が来るかも?

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