サカナクション 山口一郎が仕掛ける「NF」が提示する、未来の価値とは? | Numero TOKYO - Part 6
Culture / Post

サカナクション 山口一郎が仕掛ける「NF」が提示する、未来の価値とは?

合い言葉は「音楽の名のもとに」
M「一郎さんがよく言う“音楽の名のもとに”という言葉じゃないけど、その軸があることで、アートやファッションの楽しさを表現でき気がしています。音楽を通じて伝える方法論が、ミュージシャンではない僕らみたいな立ち位置の裏方からでもアプローチすることを、一郎くんからのアイデアで進められる」
──柳澤さんはファッションの表現について考えることはありますか?
Y「僕も個人的にファッションは好きなんですけど、うちの会社がやっていることは直接的に服に関わるのとは違う方向なので、ファッションに関われるのはすごく面白い」 M「映像で参加いただくことももちろんあるけど、映像というよりも“服と人の間”に入ってもらうことが多い。アンリアレイジがやったパリでのショウもそうだけど、デザイナーの森永(邦彦)さんが作る服と、一郎さんが作る音楽を繋ぐ化学の部分。隙間で光るものとか、これから進化して変わるであろうという洋服の新しいパーツを作ってもらうとかって部分です。テクノロジー×ファッションっていうと、まだWEB上でファッションをやるという考え方に留まりがち。発信するためだけのテクノロジーじゃなくて、よりフィジカルに。テクノロジーを体に近いもので融合できていかないかなっていうのが、今回の挑戦。服ってどんどん定番化されてて、いつでも着られる普通のものが増えて来ていますよね。それとは違う、見て楽しめるファッションを提案していって、服って楽しいものってもらえるようにインスタレーションを考えています。ただ買って着て終わりじゃないファッションの側面。そういうのをもっと作って行きたい」
──前回のスズキタカユキくんとのインスタレーションもよかったですね。
M「和紙に水墨で絵を描いたものを生地にドレスを作りました。通常平面でやっているものを立体的にしたらどうなるか?ということへの挑戦です。土屋秋恆さんが絵を描いてくれて、あの絵をどう繋ぎ合わせるか、その柄が元々あるストーリーは活かしつつ、服にする。今回もそうですが、ある程度のところまで決まったら固定はせずに、ライブ感を大切にしています」

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