戦後70年をあの芸術家はどう締めくくる? 小沢剛の新作個展、資生堂ギャラリーにて開催中 | Numero TOKYO
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戦後70年をあの芸術家はどう締めくくる? 小沢剛の新作個展、資生堂ギャラリーにて開催中

小沢剛というアーティストがいる。女性が野菜でつくられた武器を持つポートレートシリーズ『ベジタブル・ウェポン』や、世界各地に置いた自作地蔵を写真に収めた『地蔵建立』、牛乳箱でつくられた超小型移動式アートギャラリー『なすび画廊』など、ユーモアとウィットに富んだプロジェクトで日本の現代アート界をリードし続けてきた人物だ。時代や歴史をじっと見つめ、そこから得たアイデアをかたちへと変えていく……。世界からも注目を集めるユニークな現代芸術家の新作個展が、銀座・資生堂ギャラリーにて開催されている。   ”戦争と美術” をテーマに、日本各地で様々な展覧会が開催された2015年。小沢は今回、戦後70年を締めくくるべく、戦時中にインドネシアの地で従軍した日本人画家の物語をつくりあげた。本展にて発表される新作では、そんな架空の画家「ペインターF」の戦前から戦後へと綴られる生きざまを絵画と映像に映し出していく。 めまぐるしい速度で情報が行き交う世の中、私たちは多様な価値観の間を生き抜いていかなければならない。直接に戦争を経験していない世代であっても、インドネシアと日本の間で揺れる主人公の想いと経験には、現代社会における自らの生き方を重ねることができるだろう。小沢が掲げる “あり得たかもしれない過去” は、私たちに “いま” と向き合うきっかけを与えてくれるはずだ。   小沢剛展 帰って来たペインターF 会期/2015年10月23日(金)〜 12月27日(日) 会場/資生堂ギャラリー 東京都中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル地下1階 開催時間/11:00〜19:00(日・祝:18:00まで) 休館日/毎週月曜日 TEL/03-3572-3901 WEB/www.shiseidogroup.jp/gallery/
小沢剛「帰ってきたペインターF」のためのドローイング 2015
 
Text: Kahlua Tsunoda

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