サカナクション 山口一郎が仕掛ける「NF」が提示する、未来の価値とは? | Numero TOKYO - Part 5
Culture / Post

サカナクション 山口一郎が仕掛ける「NF」が提示する、未来の価値とは?

NF以前とNF以降で変わったクリエイティブ
──ライゾマティクスリサーチはずっとサカナクションさんとご一緒されていますが、柳澤さんはこの関わりをどう捉えていますか?
Y「山口さんて、音楽以外のことにも興味を持ってくれる人なんです。僕らが知っているものを見せてみると、違う発想で使い方を見つけてくれる。許容範囲が広いというか、受け入れる姿勢がすごい。三田さんもスタイリングでご一緒した今年はじめNHKスペシャルで放映された『ネクストワールド 私たちの未来』とかもそうですが、僕らはいつも映像だったり光の部分での関わり方。結構特殊な分野なので、別業界の方が一緒にやりたいって言ってくださることもあるのですが、そもそも何をしているのかうまく伝わってなかったり、分かってもらえないことも多い。バックグラウンドを理解してもらうことが難しいときがあるんですが、山口さんとのお仕事はそういうことがない。だから、理解した上での新しい発想が生まれますね」
──オフィスに行くと実験場みたいなスペースがありますよね。みんなが集まって何かをしている。ここもある種、実験場なのかな。ここで起きたインスピレーションや出会いがサカナクションのライブに回帰していくのでしょうか?
T「本当にそうですね。だからそういう意味でも『新宝島』はかなりNFの影響を受けているというか。やっている内容からするとそういう感じしないと思うんですけど、取り組む形が変わっているので、あれはもう“NF以降”の創作ですね」 T「NF以降は、作っているチームがひとつの方向を向いている。ミュージックビデオからビジュアルまで、そういう意味で変化しているはず」 M「例えば、ミュージックビデオ、ライブ、イベントってそれぞれで完結していたものが、その先までみんなが見るようになったというか。ミュージックビデオで着ている服はツアーではファンの方達が一緒に着られるように企画したり、その先へ先へストーリーが繋がっているというイメージで」 T「その意識統一をして見据えているから、メンバーとそれに関わるスタッフが同じ方向の先を見ながら制作しているという感覚があります」
──サカナクションのバンドの在り方が、スタッフを含めたチームNFの人の繋がりになってきているのかもしれませんね。

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