全人類を魅了する、奥深き食の世界[中編]/菊地成孔×伊藤俊治 対談連載 vol.18 | Numero TOKYO - Part 4
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全人類を魅了する、奥深き食の世界[中編]/菊地成孔×伊藤俊治 対談連載 vol.18

菊地成孔×伊藤俊治 対談連載 vol.18
菊地成孔×伊藤俊治 対談連載 vol.18
日光金谷ホテル コーヒーラウンジの不動の人気メニュー『100年ライスカレー』 ¥1,900 Photo:Takanori Chiba 日光金谷ホテル 住所/栃木県日光市上鉢石町1300番地 本館1F 「コーヒーラウンジ メープルリーフ」 Tel/0288-54-0001 営業時間/9:30〜17:00 (L.O. 百年カレーのみ11:00〜) 定休日/無休
──ラーメンと同じ麺類である、蕎麦についてはいかがでしょうか。旅先でお蕎麦屋さんに立ち寄る人っていますよね。
K「あれはあれでずっと残っていくでしょうね。一皿のために旅行をする価値があるのが三つ星ですから、わざわざ車に乗って長野に蕎麦を食べに行く人は、ミシュランの思想を体現しているんですよ」
I「蕎麦は大好きです。体にいいし(笑)。最近はバーで蕎麦出したり、ツマミを充実させたり、いろんなスタイルのお店が出てきましたね。工夫しないと生き延びれない。蕎麦街道もあちこちにあるし」
K「地産地消の流れ、一方でアンテナショップが潰れていく中、逆を行っているのはきっとラーメンだけでしょうね。どうやって作られているのか、食べ手にもレシピのゼロの部分から想像ができるし、小宇宙が決まっているので参加しやすい。飲んだ後のシメにもなるし。新宿界隈に続々オープンしているインドカレー屋ではこうはいかないでしょうね」
I「でもこの間、日光の金谷ホテルではシメとしてカレーが出てきたり、箱根の富士屋ホテルでもフルコースをカレーでシメていましたね」
K「ホテルカレーは別格ですよね。欧州カレー、それから昔ながらの洋食カレーもありますが、日本における洋食とは何かを歴史的に捉え直す仕事をされている女性がいて彼女の本は面白いですね。たとえばとんかつにはイタリアのコトレッタかドイツのシュニッツェルか、といった起源があって、その他マンガや小説に出てくる洋食などを解きほぐしていくんです。カレーにも、喫茶店やお母さんのカレー、ボンカレー、インドカレーにタイカレーといろいろある中で、いわゆる“普通”である洋食カレーは一体何なのか理解することが、日本の食文化を知ることだ、と」
I「洋食というものが日本の料理文化の一つの特性になっているということですね。でも、ラーメンも起源は中国ながら、日本でラーメン化していますが。日本という国の独特の作法が料理にも適応されてる。レヴィ=ストロースは、日本は外からの影響に自らを開き、素早く取り入れ、自らのうちに引き入れ、時間をかけて同化し、固有の刻印を押す、と指摘しましたが、料理にもあてはまる」
【おいしさは自分のコンディションとの関係で決まる】

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