Culture / Post

テーマパークっていったい何?[後編]/菊地成孔×伊藤俊治 対談連載 vol.16

世界の建造物や世界遺産を25分の1のスケールで再現した世界建築博物館「東武ワールドスクウェア」
K「(笑)。ところで、僕は全然使わないんですけど、Google Earthって世界遺産を検索したりすると、その場所に行ったような気分になれるものなんですか?」
I「どうでしょうね。あんまり実感は湧かないんじゃないでしょうか。でも、東武ワールドスクエアでは世界遺産など有名な建築物がミニチュアで表現されていますが、あれはGoogle Earthどころではないですよね。すごく細かく作ってあって、特殊なディメンションも分かりますし」
──伊藤先生、いろいろなテーマパークに行かれているんですね(笑)。

映画『故郷よ』場面写真(DVD発売中)
© 2011 Les Films du Poissons
I「そりゃあ、子どもがいたらみんな行くでしょう(笑)。でも世界がテーマパーク化しつつあるのは事実で、この間観た『故郷よ』という映画は、チェルノブイリの“ゾーン”と呼ばれる立ち入り制限区域で撮影されたもので、主人公は観光客相手にそのゾーンを案内するツアーガイドをしているのですが、プリピャチというかつての原発都市がゴーストタウンと化し、巨大なテーマパークみたいになってバスツアー客を受け入れている。身にしみる映画でしたね」
K「映画といえば、松本人志さんの『R100』を観たのですが、あれはSMクラブという閉鎖されたテーマパークのような空間が外に解放され、SM嬢が生活に現れてくるサービス、という設定ですよね。あの発想は新しいな、と思いました。たとえばディズニーランドと契約すると、ミッキーマウスが暮らしの中に突然現れるということですよね(笑)」
I「見方によっては、テーマパークの日常化や情報化を暗示した作品なのかもしれませんね」
伊藤俊治(いとう・としはる)
1953年秋田県生まれ。美術史家。東京芸術大学先端芸術表現科教授。東京大学大学院修士課程修了(西洋美術史)。美術史、写真史、美術評論、メディア論などを中軸にしつつ、建築デザインから身体表現まで、19世紀~20世紀文化全般にわたって評論活動を展開。展覧会のディレクション、美術館構想、都市計画なども行う。主な著書に、『裸体の森へ』『20世紀写真史』(筑摩書房)、『20世紀イメージ考古学』(朝日新聞社)、『バリ島芸術をつくった男』(平凡社)、『唐草抄』(牛若丸)などがある。
菊地成孔(きくち・なるよし)
1963年千葉県生まれ。音楽家、文筆家、音楽講師。85年音楽家としてデビュー以来、ジャズを基本に、ジャンル横断的な音楽活動、執筆活動を幅広く展開。批評家としての主な対象は、映画、音楽、料理、服飾、格闘技。代表的な音楽作品に『デギュスタシオン・ア・ジャズ』『南米のエリザベス・テイラー』『CURE JAZZ』、『ニューヨーク・ヘルソニック・バレエ』などがある。近著に、『あなたの前の彼女だって、むかしはヒョードルだのミルコだの言っていた筈だ』『時事ネタ嫌い』『ユングのサウンドトラック』など。映画美学校・音楽美学講座、国立音楽大学非常勤講師として教鞭もとる。www.kikuchinaruyoshi.net/

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