「幻」を撮るきっかけになったのは、2011年に発表した「蓮」のシリーズからでした。
この蓮のシリーズは、私がやはり変化の時期に根津に引越しをしたことから
はじまりました。
せっかく近いからと、毎日不忍池に通い蓮を撮っていました。
はじめは、何も生えていない蓮の池に私が心を奪われたのは、
水面に映る、木々の影とその動き、太陽が反射してキラキラとしている
その光景でした。
しばらくは、水面を撮り続けていましたがあっという間に蓮は成長していき、
水面が見えない程までに。
はじめは水面と蓮を撮りたかったのですが、諦めて、蓮の花だけを撮ることにしました。
(櫻田宗久 シリーズ「蓮」上 「蓮の波」 下 「蓮の音楽」 2011年)
その頃から、水面、水鏡に心を奪われていたのですが、
作品としてどうまとめるかが考えられず、そのままにしていました。
そして、また激動の季節がやってくる2013年5月。
私は、ふらりと群馬まで出かけていました。
はじめは、お花を撮るつもりで行った場所だったのですが、
そこに池のようなものがあり、そこに映っている観光客の人々に
目が釘付けになってしまいました。
そこに映る人々は、水面の流れによって形を変えたり、
そのうちに消えてしまったり、また現れたりと、実在がとてもあやふやなものでした。
なにかが閃いて私は池の水面を撮り続けていたのですが、
そこにいるはずの人が、形を変えたりいなくなったりすることに、
その時の心境をそのまま表していると感じました。
諸行無常という概念にとても近いのだと思います。
~この世の現実存在はすべて、すがたも本質も常に流動変化するものであり、
一瞬といえども存在は同一性を保持することができないことをいう~wikiより
水鏡を撮る事を、ずっとしていましたが
そこに映る人間を撮ることで私の心を表すことができる気がしました。
調度その頃、ドビュッシーの曲の中に「水に映る影」というのを見つけ、
不思議なシンクロを感じました。
この作品ができたことで、私は自分の中でですが
ある落とし前をつけることができ、作家としての私としてのこれからのあり方を
見つけられた気がしています。
出会いとそれをくれた人々に感謝の心境です。
櫻田宗久 「幻」より 「J ・逗子1」2013年
櫻田宗久展 in ゴールデン街
グリゼット&pitou 共同開催
「櫻、幻」
■開催期間 2013/9/14~9/28
9/28 クロージングパーティー at pitou (20時より)
21時~ ソワレライブ
[グリゼット]では「櫻」のシリーズを展示しております。
[pitou] では幻(まぼろし)のシリーズを展示しております。
■作品について
櫻
アニミズムの国で、私達は春になると桜を愛でる。
この国ならではのこの春の行為を通して私達は自然に神を見て、それと一体化する。
デジタルの手法で、グラデーションに沿って一様に線になった桜は、
私と寄り添い私と一体化する。私は桜と何も変わることはなく、同じ線の世界に存在している。
そしてそれは祈りの行為でもあるのだ。
(2011年未発表作品)
幻(まぼろし)
水に映る世界を夢中になって見ていた。
水中の中の世界、目の前に聳え立つ物たち、そしてそれが映る水面。
いくつもの次元が私にこの世界の秘密を教えてくれる。
水鏡は、風によって形を変えていく。
私が見ている世界は、このようなものなのかも知れない。
形があるようで、本当はそれは私が見る幻(まぼろし)の世界だと。
(2013年作品)
■開催場所
グリゼット (櫻)
新宿区歌舞伎町1-1-5
ゴールデン街・まねき通り
オープニングパーティー 9/14(土)18:00~ ¥1000/1drink
平常営業:チャージ¥1,000 ドリンク¥500?
※バーでの展示になりますので、オーダーをお願いします。
日曜/祝日休み 18時オープン
pitou(ピトゥ)(幻)
新宿区歌舞伎町1-1-7
ゴールデン街・花園五番街
03-3208-5405
日曜休み 20時オープン
クロージングパーティー 9/28(土)20:00~ ¥1000/1drink
平常営業:チャージ¥1,000 ドリンク¥800
※バーでの展示になりますので、オーダーをお願いします。