ブログ、ご無沙汰してしまいました。
Instagramでどうもブログっぽいこと書いたりして・・・つい過ぎ去りし物になりがちですが、でも私の中ではブログという存在は全然別物なんです。
ついつい、あれもこれも写真を載せたくなってしまう性分で、またいちいちそのストーリーを大事にするせいか、最近は50枚越えは当たり前に(笑)
ただ、エルメスだけはどうしても、たくさんの写真をブログに載せたく皆様に拙いレポートなぞ。
その感動した勢いでイタリア出張!というナイスタイミングだったもので、思わずフィレンツェのエルメスで大人買いしちゃいました。
これから徐々に、その時イタリア出張で得た情報も書いていきますね。(かなり楽しいのです)
さて、エルメス。
「エルメスの手しごと」
表参道ヒルズと銀座のメゾンエルメスで、こんなに素晴らしいイベント!肉眼で見れてほんとうに幸せ♡
みなさま行かれましたか?
私も開催日終わる(3月19日まで)ぎりぎりの15日、イタリア出張前日のオフ日を利用し、一番気になったスカーフの前を陣取り(笑)約1時間立ちっぱなしでしたが、スカーフプリントの実演、その裏側をライブで!それはそれは・・・まるで〝興奮”というものを注入された感じでした。
「ものづくり」にこだわり抜いたメゾン。
リヨンのアトリエで行われている風景がそのまま日本で再現され、時間、素材、道具、才能、感性、知性、そして熟練した手がそのまま・・・なんて美しいの!
素材のこだわり、そこからアーティスト、アルチザン達のプライドを痛いほど感じる最高峰のオブジェ、それが生まれゆく感動をぜひ。
スカーフに関しての素晴らしいプリント・パフォーマンスの前に・・・
私の時間に余裕がなかったので他がじっくり見れなかったのはとても残念でしたが、こうやって磁器の絵付けの様子も少しですが拝見しました。
フランスのリモージュ近郊のアトリエで特別な作品を手掛ける絵付職人は複数のスポンジを使い分けて、細かい細かい線やべた塗りなど綿密に美しく仕上げていきます。
すべてのエリアの写真がOKなので、たくさんの生まれゆくエルメス達は貴重な宝物。
思わず欲しくなりますね。
そしてスカーフのプリント配色を考えるデザイナーさん。
彼女が説明しているのは、なんと鎧兜。今季の新作「サムライ」です。多色の43色!通常平均25~30色が多いそう。
いくら時間がかかっても妥協しないエルメスはデザイン考案から約2年、まずそのものにストーリーがなければいけない、としていて、このサムライは江戸時代からインスパイア。メタル、漆、朱なども忠実に表現されています。
40名のデザイナーを抱えていて、それぞれの思い、感性を存分に生かし、その時々に生まれるモチーフ、例えば船、フラワー、などそれぞれのストーリーをとても大切にしているそう。
たくさんのパターンから「今季のエルメス」というものに決まるまでは相当な時間を要します。
デザインから紙に落とし込むのに約6ヶ月。デザインによってパーツ分けしていくのですが、どのように色分けするかで工程が決まるそうです。
1枚のデザインを何色に分けて版を作っていくか?というのに半年もかかるんですって!
プリント・デモストレーションは約1時間。
とても丁寧に説明してくれたので思わず職人の気持ちにまで入り込みそうになりました。
プリント版の少ないものでないと1時間じゃとても完成できないとのことで、選ばれたパターンは「不死鳥の神話」。
12色のインクでシルクスクリーンにて刷り上げます。
シルクの生地もエルメス特製。
90×90のカレは実際300個の繭から作られるそうです。
まず、繭を探すところから始め〝カイコガ”という蝶々、から1回に生まれる繭300個の生糸を紡ぎエルメスとしての生地になるわけですが、1個あたり約1500メートルの糸が取れます。
繭から糸を撚って織り機にかけツイル(綾織り)にすることで、スカーフ、ネクタイの織の厚みバランスが最適で撚れません。
触らせていただきました。ツイル織りはしなやかさと強さがでるそう。ほんと、しっかりしてコシがある~気持ちいい。
染料も毎週作り直しているそうで、温度も徹底管理。絹専用の染料、粉溶きのものを使用していて7割を水、残りを植物性のゴム(アラビアゴム)で溶き、これで染料の安定をはかっています。
これはほんとうに多色。エルメスでも珍しいんですよ、と。
まず、台にシルクツイル生地を広げるところからスタート。
実際リヨンでは天井3メートルくらい、防塵装置もあるそうです。また、台も温められていて染料が早く乾くように工夫されているみたいです。
きれいに2人がかりで生地を張ります。
いよいよまず第1版。緊張が走る~~~~
均一な力で刷り上げていきます。
不死鳥の目、その目がずれないように刷ります、とシルクスクリーンプリント職人。
こうやって1版、1版、管理されています。
どんなに複雑な柄でも綿密で正確なプリントとして仕上げることができる職人は、色を重ねて柄を浮き上がらせる
達人。真っ白なシルクにエルメスの柄&色で息吹を与えます。
1mmもずれないのがエルメス。ベテランの職人の業が同じ空気の中で感じ取れ、1色1色と色が重なるにつれ興奮。
ほんの数コンマの狂いもなく刷り上がることで全ての携わった者のプライドが現れていく、そんな一瞬。
スカーフにはデザインしたデザイナーの名前が入る場合もあります。(デザイナーの意思によって)
あまりの美しさに会場は静まり返り、溜息さえも。
刷り上がったらここで終わりでなく、地下水を使い何度も何度も洗いゴム成分を洗い流します。
そして絹本来の輝き、ふっくらした感覚を保つためにコーティングするので、必ず「ドライクリーニングで!」と何度もおっしゃってました。
そして縁かがり職人の出番です。
スカーフのフレームとまったく同じ色に染めた糸を使うのですが、裏から表に巻きかがっていくのを〝フランスかがり”、と言うそうです。え!?そうなの、とエルメスのスカーフの縁を見ると確かに裏がクルクルと巻き上げられ、縫い目が見えないようにかがられていました。
特殊な技法は12ヶ月も鍛錬が必要だそう。
逆巻き縫いは〝イタリアかがり”、と言います。
ここからがエルメスの凄さ!裏から表に巻くということは、そこでインクのムラをチェックし、ムラがあれば即はじくんですって。
縁のムラにもこだわるエルメス!
最終検品で商品に値するもの(ここ相当なレベルです)のみ、世の中にデビューできる、言わばパーフェクトのみ。
織ムラ、乾きムラ、かがりムラ、・・・etc.は、まず検品に通らない。
そもそもエルメスのスカーフのデザインの流れは、というと。
毎年20作品(半年に1回10作品)くらい新作としてデビューさせます。
1つのデザインに対してカラーリストがカラーバリエーションをなんと!!!15パターンも考えるそうです。
そして最終のデザインのみパリに送られ、本部の意見を聞き調整していき、その後、約4ヶ月くらいかけてリヨン→パリで
選んだ10デザインに絞り1つずつブックのようにしてまとめます。
コレクション発表を年に2回エルメスが招待し世界中のバイヤーがそれぞれの店舗にあったものを注文。
2週間にわたり展示会があり、そこで注文のあったものをリヨンに持っていき製造ラインにのせる。という流れみたいです。
ここからが、さらに驚きました!
リヨンには一切ストックがなく再発注は無いとのこと。また同じものを発表することはない、と、なんて響きすぎた言葉。。。
「エルメスにはアウトレットはありません。なぜならば B品がないからです」
と、ズキュン!!!!!その言葉の重みの裏には別格な存在感と自信。
あぁ、こうありたい、と心底思えるフレーズ。一流が二流になることは決してない高貴なプライド。
15年サロン経営した中で1度たりともサロンの価値観だけは落とすまい、と思っていた私に染み渡る美学は、
明日からさらに頑張れる力を与えてくれました。エルメスのようにプライドもって邁進したい、と痛切に思います。
ちなみに、色々な状況下で失敗したものは気になるところですが・・・、縫いこさんの縁かがりの練習やシュレッダーかけてクッションの中身などのリサイクルへ回るそうです。
エルメスのクッション開けたら、シュレッダーされたスカーフ詰まっていたら倒れそう(笑)
スカーフのエリアを後にし、会場内を浮遊。
1本の糸で、手作業で縫い上げるネクタイはしなやかで色っぽい、他ブランドのと比較すると明確に違いが。
光沢のある織り、結んでも撚れることのない美しいネクタイたち。
手しごとの極み。
手袋のエリアもかなり人気でした。
計算されつくした裁断、どんな切れ端も無駄なく使い、肌そのもののように立体的に手をやさしく包み込む極上のグローブ。
美しく染められた革を手にするだけで幸せ♡
この美しい発色もエルメスならでは。
馬具のネジ、針、糸もきちんと管理されています。
1837年馬具の装具ブランドとして設立された「エルメス」。
そこから100年経ってからスカーフの誕生になったそうです。
て、ことでここはフィレンツェ「エルメス」。
ミラノに住んでる元エルメス店員の友人を呼び寄せ、スタッフとしばしの目の保養。
保養だけではおさまらず、自分の人生を買いました。
マキシ―・ツイリー・カットのデザインが気に入っていたので3つ、カレ1つ。
顔にあてながら、巻いてみて気に入って選んだ4種類。
実は3月に買って今の今まで使用できなかった。。。もちろん気に入らないわけでない。
先日、お客様との会話の中で「エルメスは自分がないと負けちゃうね」と。そのエルメスを首に巻いてみてエルメスと自分が溶け合わない時に巻いちゃだめだ、そう思ったからです。
せっかくのエルメス。
少しだけ、溶け合うことできるかな、と昨日KENZOのカクテルパーティーの時に巻いて行きました。
ブルーコーデすぎますが(笑)少し肌寒い夜にシルクツイルはとても暖かかった。
※右腕に巻いているブルーは、会場の受付で巻かれたものです・笑
エルメス大人買い、付き合ってくれてありがと♪ERI & MAKO
そして、そのミラノの友人から昨日、「ミラノでもやってたから見てきたよ」と写真を送ってくれました。
世界中で愛されているエルメス。
今年、10月に名古屋、博多での開催予定されているみたいですよ。
まだまだ日本列島、エルメス熱が流れますね。
では、またね★美香