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古市憲寿×田根剛が語る現代建築。日本に今、必要とされているものとは?
昨年12月に引き続き、2016年1月に表参道「エスパス ルイ・ヴィトン東京」にて、「ルイ・ヴィトン×ヌメロ・トーキョー アーバンナイト」の第二弾が開催された。『フランク・ゲーリー/パリ−フォンダシオン ルイ・ヴィトン展』の特別解説やカクテルパーティに加え、社会学者の古市憲寿と、先日まで開催されていた21_21 DESIGN SIGHT企画展『建築家 フランク・ゲーリー展 “I Have an Idea”』展覧会ディレクターであり、国内外から注目を集める新進建築家、田根剛を迎えたトークショーが実現。今回はその前編として、田根氏の代表作や建築のコンセプト、そして現在の建築界をとりまく社会的な変化についてのトークをアップ。
古市憲寿(以下F)「田根さんの代表作であるエストニア国立博物館(2006〜2016年完成予定)は、もうすぐ完成するんですよね」
田根剛(以下T)「2006年にエストニアのコンペで勝ったのが、26才のときでした。すぐに完成すると思ったら10年かかってしまって、いよいよ今年の秋に出来上がります」
F「巨大な直線の建築物ですよね。元々は何だったんですか?」
T「エストニアがソ連という国だった時代に作られた軍用滑走路で、コンクリートの塊が森を切り裂くように存在していたんです。コンペ自体はその手前の空間を使ったものとして提案されたんですけど、僕らは負の遺産である軍用滑走路をナショナル・アイデンティとなる一つの建築に組み込もうと思いました」
F「ソ連だった頃の負の記憶と地続きに考えたんですね。建物の全長はどのくらいですか?」
T「350mです」