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古市憲寿×田根剛が語る現代建築。日本に今、必要とされているものとは?

建築と経済はリンクしている

F「寂しい時代ですよね。“スマート”ってすごくいい響きですけど、無味乾燥というか地味というか」
 

T「システムだけが絶対的な力を持つことが“スマート”なんですけど、そこに人らしさは必要とされないんだろうなっていうのが実感ですかね」

F「建築物と経済には関係があるのかもしれませんね。経済成長のさなかにある国や地域では、奇抜なことをやりやすい。1964年の東京オリンピックの開会式が行われた、前国立競技場は、元々の予算よりかなり膨れ上がって作られたものだけど、当時の日本人はあまり問題にしなかった。当時、日本で生まれた建築物は、代々木の国立競技場をはじめ、斬新なものが多かったですよね。2016年の貧乏になりかけた日本は、どんどん無難に無難に、あまり奇抜なことは辞めようという傾向にある。経済の成長が止まると“スマート”に流れて行くんですかね」

T「マネージメントできることや、安心安全が大事にされますね」

F「ヨーロッパはどんな感じですか」

T「ヨーロッパは成熟していく側なので。歴史があって古くから存在するもののほうが価値があるし、新しく作るならこの時代に作れるものをというのが基本的な考え方です」

F「それに対して、日本はどんなふうに街を作っているんでしょうか。明治の街作りについて面白い話を聞いたことがあります。明治維新を経て西洋化しなくてはいけないと海外から学んだものの、どうしても“調和”という概念がわからなかった。だけど清潔だけは理解できた。なので、調和を諦めて清潔だけを追求して街が作られたというんです。たしかに日本が植民地にした海外の街にしても清潔だけは徹底された。一方で、今の日本の街並みも、調和がとれているかというと微妙ですよね」

T「そこはですね、すごく誤解があって。日本では“調和した街並み”と言いますけど、街並みというのは、”統一感”があるかないかで判断するんです。ヨーロッパでは統一感がある街はいい街だし、それがないのはダメなんですよ。統一性のない街はごちゃごちゃしていて、統一されて作られているのは整然としたキレイな街だなと」

F「なるほど。そう整理されるとわかりやすいです。あと、土地の概念も違いますよね。あとで話がでてくる、ルイ・ヴィトンのフォンダシオンも後々パリ市に返すんですよね」

T「土地をルイ・ヴィトンが買って作ったけれども後々は市のものになる、という前提でつくられているそうです」

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