古市憲寿×田根剛が語る現代建築。日本に今、必要とされているものとは? | Numero TOKYO - Part 2
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古市憲寿×田根剛が語る現代建築。日本に今、必要とされているものとは?

新国立競技場設計案は古墳をイメージ
F「そこまで巨大な建築物はあまりないですよね。もう建物自体は出来上がっているんですか?」  
T「9割以上出来上がっていて、今は収蔵品を収納したり準備したりという段階です。9月末にオープンする予定です」
F「楽しみですね。エストニアに行ったことがある人います? 結構いますね。僕もあるんですよ、フィンランドに旅行へ行ったんですが、首都のヘルシンキからエストニアのタリンまでは高速艇で2時間くらいで行けるんです。でも、これはタリンではないですよね」
T「タルトゥ市というところです」
F「こちら(「新国立競技場設計競技案」2012年)は、新国立競技場の最終選考まで残った案ですね。去年話題にもなりましたが、これは何ですか?」
T「古墳をイメージしたスタジアムです」
F「このときにザハが一位を穫ってスタジアムを作ることになったわけですが、このザハ案に対してものすごい賛否両論の声が噴出しました。その騒動のときに、ザハ案以外では他に何があったのかという話になり、最終選考に残ったデザイン案を見たら『意外とこんなのありなんじゃないか』ということで、去年あたりネットで話題になってましたよね」
T「自分は今、パリに住んでるんですが、日本に戻るといつの間にか『これすごいね』と話題になっていて」
F「これはどういうアイデアなんですか。古墳を作っちゃおうっていうことなんですか?」
T「明治神宮の外苑は、スポーツ振興の場として作られた人工の場所だったんですが、時代が経つうちに土地の意味が失われていたので、明治以来の新しいイメージとして、外苑に森と山を作ってスタジアムにしようと考えたんです」
F「古墳ってあまり海外にないイメージですね。平面的に広い古墳的のようなものは、ぱっと思い浮かびません」

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