Interview / Post
永作博美インタビュー
毎日思わぬことばかりが起こる子育て
──永作さん演じるヨメ・ユーコさんの豪快さは見ていて気持ちがよかったです。その豪快さは、ご自身にも通じる部分だと思いますか?
「すごく豪快な人ですよね。ユーコさんは、基本、言いたいことを言いながら笑ってて、でも周りの面倒を見ずにはいられないような人だったんだろうなと思います。私は、自分がその役のキャラクターに見えなければ、何をどうあがいてもしょうがないと考えているので、ここまでの豪快さを自分が違和感なく出せるのかというのが、一番心配だったかもしれない。私自身は豪快かはわからないけど、あまり深く物事を考えないタイプなので、割と大雑把だとは思いますね(笑)」
──考えるよりも先に直感で動くということでしょうか?
「直感で決めたほうが後で良かったって思うことが実は多いですね。でも人間なので、やっぱり迷って『うーん、やっぱりこっち!』みたいに、頭で考えて決めたことが、あまりよくなかったりするというか……。その癖みたいなのを、ちょっとずつ直していきたいなと。まぁ、そもそも楽に生きれるように産んでもらったので、実はあまりそこも深く考えていないんですけど(笑)。直感を信じられる人になりたい、そういう勇気のある人になりたいなとはいつも思っています」
──同じ母として、もし自分がこの状況だったらと重ねて考えることもあったんでしょうか?
「重ねないですね。以前はいくつか行動する上での選択肢が必要だったというか、そういう風にも考えることもあったんです。でも、消去法みたいな考え方はしなくなりましたね。今は、脚本を読んで最初に感じたその人のエネルギーみたいな、自分が受け取った第一印象がやっぱり大事かな。そこに、この人をどういうふうに世に出したいのかという私の願いみたいなものも多少は加わるんですけど、最初のイメージに忠実に最後まで向かっていきますね」
──お子さんがいることで、出産される前の自分と変わったなと思う部分はありますか?
「毎日思わぬことばかりが起きるので、早めに対処する体質にはなってきました。決断が早くなっていくというか。あと、日々時短を求められるので、効率的に脳を使うようには、徐々にですけどシフトされていきますね。ただただぼーっとするような無駄な時間もほしいんですが、なかなかそんな時間は作れないので『一日終わった、やっと寝れる!』と思うときが一番幸せです」
永作博美インタビュー
「笑顔と器量のある女性でいたい」
かわいさと潔さを兼ね備えた実力派女優の顔と、プライベートでは2児の母としての顔をもつ永作博美。実在する夫婦の闘病ブログから生まれた映画『夫婦フーフー日記』では、死んだはずなのに、ダンナ・コウタの前に現れるヨメ・ユーコを演じる。自然体で魅力的に年を重ねている永作さんに、撮影秘話や子どもと過ごす時間、そして夫婦観について直撃した。
hiromi nagasaku
Photos:Yuri Manabe
Hair & Make-up:Masaru Hamada
Stylist:Eriko Suzuki
Interview & Text:Tomoko Ogawa
Edit:Yukiko Shinmura
Profile
永作博美(ながさく・ひろみ)女優。1970年、茨城県生まれ。コメディからシリアスまで幅広い作品に出演し、その演技力は常に高い評価を得ている。『八日目の蟬』(11)で第35回日本アカデミー賞最優秀助演女優賞受賞。その他、テレビドラマ、舞台、CMで活躍中。近年の主な出演作に、ドラマ『さよなら私』、映画『四十九日のレシピ』『さいはてにて -やさしい香りと待ちながら-』『ソロモンの偽証 後篇・裁判』(成島出監督)など。