中国でInstagramが利用停止に陥っていると報じられている。香港のデモが直接の要因という見方が強い模様。確かにWeiboでも『Occupy Central』というワードがブロックされている。日本のパワーインスタグラマーの中には中国圏の支持を背景とする子も少なくないので、ファッション業界への影響も少なからずあるだろうな。
【参考リンク】Mashable: Instagram Blocked in China Amid Violent Protests in Hong Kong
ここのところ中国企業からの案件を進めていたのだが、中国市場でのカメラアプリや写真系SNSの需要は相当高い。我々の市場調査のタイミングでローンチしたインスタグラム・クローンの『nice』というアプリもかなりのDL数を叩き出していたし、#OOTD(本日のコーデ的投稿)専門のピンタレスト・クローンがタオバオなどへの送客フィーだけで年間6億円程度を売り上げる現象も興味深かった。
一方で今回のInstagramよろしく、勝者のはずが一瞬にしてひっくり返される『ちゃぶ台返し』が横行するのも中国マーケットの特性。ユニクロがタオバオからの神の手を担保したのとは対照的に、ある程度の規模まで台頭してきたピンタレスト・クローンがあっさり首を刈られる様は芸術的でもあった。この辺の話に興味がある方は飲みに行きましょう。
新興勢力と既得権益の『ちゃぶ台』を挟んだ攻防は珍しくもないが、それに加えて『クローン』というワードまで一致する件を、書いているうちに思い出した。ということでイビザに登場した『クローン』のおはなし。とある方に止められたので詳細は控えるが、新興勢力と既得権益が珍しく安定させている『ちゃぶ台』の事例だ。
今年イビザにオープンしたサービスはかなり多い。ということは当然ハズレも多い。『Cotton Beach Club Ibiza』なんて、ビーチに面した絶壁の上に立つ純白のセレブビーチクラブかと思ったら、ただのツンデレ・コンテンツだった。苦労して山道を抜けて辿り着いて、苦労して狭い駐車場に停めて、苦労して白い階段を5分掛けて降りて、「はい大衆海水浴場♡」っておい。物理的に上がって下がった上に、精神的にもアガってサガるって巧妙すぎるわ。
そんな2014年ルーキーの中でも及第点なのが『Hard Rock HOTEL IBIZA』。といってもそこはイビザ。そして一年目のホテル。オペレーションは最悪。設備面での欠陥も十二分だ。
チェックイン時間に訪問したら、そこから二時間待たされる。ジャグジーなんて色んなパーツは取れる、効かないボタンはある。隣の夫婦なんて「このホテル新しいって聞いたのにウソなの?」と落ち込んでいた。仕方ないから「新しいから当然ダメなんだよ。イビザだもの。」と答えてみたが意図は伝わってなかったと思う。イビザを楽しむにもリテラシーが必要なのだ。世知辛い世の中である。
ではなぜ及第点なのか。第一にとりあえず『マシ』だということ。出来上がってなくても開店するような国民性で、初年度のホテルで、このレベルで回ってれば「まあええか」である。去年のオープンした『destino Pacha IBIZA』なんて、シャワー浴びたらスーツケースがびちょびょになった。なんでや。風が吹いて桶屋が儲かるよりも難易度が高い。
第二に『クローン』であること。『Hard Rock HOTEL IBIZA』は、成功している『Ushuaia HOTEL』の『クローン』である。敷地の真ん中にイベントスペースを配置する構図も、それを囲むように低層ホテルをレイアウトする方式も、それとは別にタワーを持つ形も全て同じ。しかもUsuaiaの隣。これにより熟れた感がある。『Hard Rock』の楽しみ方なんてそういうベクトルなのだ。ちなみにオーナーも同じなので盗用などの問題はない。
第三に『クローン』である一方で、コンセプトが独自。イビザの大半のホテルがクラブorビーチクラブを目指すのに対して『Hard Rock HOTEL IBIZA』の狙いはLIVE。音と言う共通項を持ちつつも、他と近しい様でいてカニバらない。ヒットの秘訣でもある『半歩ずらし』にハマる可能性は十分ある。Hard Rockのライセンスを受ける理由も明確でLIVEコンテンツの供給チャネル担保だろう。
現状の課題は三つ。二年目以降のオペレーション改善。センターステージのショボさ。コンテンツの量・質の問題。この辺が解決すれば普通に楽しいホテルになると思う。今回は『ROCK SUITES PLATINUM』という部屋に宿泊したが、これでしっかりセンターステージでLIVEをやってくれるならまた泊まりたい。折角付いている(すぐに壊れる)ジャグジーの意味も濃くなるし、とても健全で、とてもエロいホテルになれる気がする。