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ディスカバー・ジャパン第二弾?! 観光大国ニッポンへの道[後編]/菊地成孔×伊藤俊治 対談連載 vol.21
──ワイキキではどう過ごされているのでしょうか?
K「ロイヤル・ハワイアンホテルに泊まって、ビーチに行って泳いだり、ハワイに行った時限定でサーフィンもします。銚子出身なんで(笑)。簡単に言えば、水着の女の人を見るのが好きなんですよ。ハワイに行けば見放題じゃないですか。最近の水着事情としては、グランメゾン派、スポーティー派の二手に分かれていますね。あとはビフテキが好きなので、ウルフギャング(・ステーキハウス)でビフテキを食って。リゾートはハワイに始まり、ハワイに終わるというか。危険だから行かないほうがいいと言われているオアフ島のチャイナタウンを抜けると、40~50年代のアメリカにとってハワイがエキゾチックなリゾートだった時代の建物が残っていて、古いレコードを売っている店があったり、ちっちゃい弁当屋やクラブがあったりして、面白いんですよ」
──菊地さんとハワイ、なんだか意外ですね。話は変わって、ここ数年、日本人が国内に目を向け始めているような気もします。伊藤先生は国内旅行もされますか?
I「仕事ではけっこう地方も回っています。近年の日本列島はあちこちの地方でビエンナーレやトリエンナーレといった現代美術を核に、地域おこしの場を作りあげようとすえる気運が盛んですから、そうしたイベントに参加する機会も多いですね」
K「勝ったのがB級グルメやゆるキャラでなく、アートだというのが一つの結論だと思うんですよね。B級グルメは結局、都市部にあるものを拡張しただけだから、本当の意味で地方に行く理由にはならないんですよね。田舎の商店街をそのまま使ってアートと結びつけて、テーマパークがもっとシリアスにしたような形というか、体験させるのが重要なんでしょうね。とはいえ、私はモダンアートに詳しくないので、出目がまったくわからないんですけど」
I「たとえば去年、過疎化の進んでいる国東半島で『国東半島芸術祭』というのが開催され、オノ・ヨーコやアントニー・ゴームリーといったアーティストが各地に作品を制作したのですが、鑑賞者はバスツアーなどで観光スポットとともに作品巡りをするんですよ。さらに最近はアーティストがその場所に作品を作るだけでなく、定住者でもツーリストでもない半定住のような独特な位置で住むようになったりもしています。アートにより町おこしや村おこしも競争が激化してどんどんそのスタイルが変わっていきますね。従来の伝統的な祝祭のエネルギーが落ちてきたので、アートという異物を入れこんで、祭りの再生をやっているような趣きもある」
【パラダイムシフト】