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ディスカバー・ジャパン第二弾?! 観光大国ニッポンへの道[後編]/菊地成孔×伊藤俊治 対談連載 vol.21

──先生が実際に足を運ばれて面白かった地方はありますか?
I「僕はあまり長く滞在することがありませんが、この間、四国の犬島や小豆島に行ってきました。アートを別としても、瀬戸内の島はそれぞれにバナキュラーな試みをしているので面白いと思いますね。直島は洗練されすぎていて、ちょっと居心地が悪いんですけどね。新潟や佐渡もいいところでしたし、山形や酒田もまた行きたい。山形は国際ドキュメンタリー映画祭でまったくその地域のイメージを変えてしまいましたね」
──菊地さんもきっと、お仕事で地方にも行かれますよね。
K「演奏で出かけるのは地方とはいえ都市部ですから、僕は典型的な都市生活者ですね。でも、だからこそ地方が良く見えることもあります。エコロジカルブームや原発問題以降、アグリツーリズモのような地産地消の暮らしをはじめ、今までくすぶっていた動きが具体的な力を持っているように思います。地方でピザ釜を置き、おばあちゃんたちを相手に本当においしいピザを焼くゆるやかな暮らしといえば、昔だったら危なっかしく思われていたのが、いまでは説得力が強くなってきていますよね。そういえば1970年代の初期には、『an・an』で“ディスカバー・ジャパン”と銘打って、メゾンの洋服を着たモデルがそのまま田舎に行っちゃったりした時期があったんですよ」
I「あれは最初、当時の国鉄が個人旅行客の獲得のために始めたキャンペーンなんですよね。もしかしたら今は“ディスカバー・ジャパン”の第二弾なんじゃないでしょうか。当時も景気が悪かったし」
K「あれは一つのヒッピーイズムで、都会的な価値から逃れようとするものでしたね。その後のバブル期でまた東京が求心力を持ち、廃れてしまいましたが。だから、いま地方が面白い動きになっているのは、大きなパラダイムシフトだと思います」
I「外国人が詰めかけることで、自分たちがいた何気ない環境がもしかしたら文化的な資源なのかもしれない、と各地で見直しが始まったのは確かだと思います。スナック文化の復活だってそうかもしれません。現に、寂れ果てていた奥那須の秘湯・北温泉が『テルマエ・ロマエ』の舞台になって人が押し寄せたり、あるいは小津安二郎の『父ありき』の舞台になった黒磯もそうですが、地域が自分たちの土地を“映画のロケ地=観光資源”として掘り起こしている動きもありますよね」
【街で得られる快楽は見限られている?】

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