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ディスカバー・ジャパン第二弾?! 観光大国ニッポンへの道[前編]/菊地成孔×伊藤俊治 対談連載 vol.20
──確か新幹線にも、外国人観光客向けにジャパンレールパスという割引サービスがあるんですよね。日本は外国人観光客に優しいですね。
I「外国の人々が独自に日本の魅力を開拓しているというか、他国にはない日本のホスピタリティの良さに目覚めたというのが、数年前からそういった条件が重なってきたことで、このように大量の外国人観光客を迎えることになったんでしょうね」
K「20世紀には、日本人は外国でお金を使ってくるもので、外国からの観光客はあまり多くありませんでしたが、いま伊藤先生がお話しされたような理由で、いつの間にか逆転しましたよね。またいつかは元に戻ってしまうのかと思いながら新宿で暮らしていましたが、当分この流れは続きそうですし、東京はもうパリ化するしかないと思います。海外の都市の場合は観光客用、地元の人用でカフェが分かれていたり、はっきりしていますよね。老舗が観光客向けになる可能性もあって。パリのカフェ・ドゥ・マゴには観光客ばかりですよね」
──日本がパリ化する場合のカフェ・ドゥ・マゴとは、どこになるのでしょうね。
K「駒形どぜうや天國じゃないでしょうか。あるいは煉瓦亭とか。メニューが何ヶ国語分も用意されたりする可能性はゼロではないと思いますけどね。デパートは既にマルチ・ランゲージ化していますが、実は最初に対応したのは電話ボックスなんですよ。当時は偽造テレカなんかも問題になりましたが、あの時には日本には日本人以外の人もたくさんいるんだな、と思いましたね。その後、携帯電話の普及によって電話ボックスがなくなり、一旦多言語化は静まったものの、いまはまたデパートだけでなく駅など公共の場も多言語化に対応していますよね。しかも伊藤先生がおっしゃったように、この現象が東京だけではなくなってきていて、全国の観光地が外国人観光客を欲しがっていますよね」
I「これまでの旅が4泊5日だったとすれば、最近のツーリストは10日なり2週間なり、滞在が長くなっているようです。それによって観光客が地方に足を伸ばしやすくなっているのと、ドイツのロマンティック街道のように、広域のルートを作って何泊かさせるため、街道沿いに観光ルートを構築し直そうという動きもある。東京オリンピックまでに、外国人観光客の数を倍増させたいという狙いがあるらしいですね。そのためには日本でも、B&Bのような宿泊システムや細やかな地域のガイド・システムなどがもっと広がるのではないでしょうか」
【今や秋葉原はインターナショナルシティ】