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ディスカバー・ジャパン第二弾?! 観光大国ニッポンへの道[前編]/菊地成孔×伊藤俊治 対談連載 vol.20

K「デパート業界に限って言えば、富裕層が持ってこられる額が上がっていて、伊勢丹でも富裕層が自国のクレジットカードで直接日本円を下ろせる端末を置いていた時期があるんですよね。今は上限がなくなったので、端末自体を見なくなりましたが。館内放送が4ヶ国語になり、外国人の店員も増えてきましたよね。僕はこの間京都に行ったのですが、京都は自分たちがパリだという自覚があるので、おしゃれカフェの隣に文化遺産があったりするのが改めて目に留まりました。リーマンショック以降の不況もあるでしょうが、“うまみの発見”とか“会席料理を世界文化遺産へ”とか、諸現象がそっちに向いているように思います」
I「さっきホスピタリティと言いましたが、以前の観光はサービスとかサービス産業とか言ってました。サービスという言葉はセルヴス、『奴隷』を語源とし、主従関係を思わせますが、ホスピタリティの語源はホスピクス、『保護』であり、その言葉はホスピタルやホスピスへつながっていきます。日本の観光客人口の増加は、そうした他者をもてなすことの歓びや感動にどう新しく目覚めていくかにもかかっているような気がしますね。難民受け入れも含めて、そこが要かもしれません」
伊藤俊治(いとう・としはる)
1953年秋田県生まれ。美術史家。東京芸術大学先端芸術表現科教授。東京大学大学院修士課程修了(西洋美術史)。美術史、写真史、美術評論、メディア論などを中軸にしつつ、建築デザインから身体表現まで、19世紀~20世紀文化全般にわたって評論活動を展開。展覧会のディレクション、美術館構想、都市計画なども行う。主な著書に、『裸体の森へ』『20世紀写真史』(筑摩書房)、『20世紀イメージ考古学』(朝日新聞社)、『バリ島芸術をつくった男』(平凡社)、『唐草抄』(牛若丸)などがある。
菊地成孔(きくち・なるよし)
1963年千葉県生まれ。音楽家、文筆家、音楽講師。85年音楽家としてデビュー以来、ジャズを基本に、ジャンル横断的な音楽活動、執筆活動を幅広く展開。批評家としての主な対象は、映画、音楽、料理、服飾、格闘技。代表的な音楽作品に『デギュスタシオン・ア・ジャズ』『南米のエリザベス・テイラー』『ニューヨーク・ヘルソニック・バレエ』『戦前と戦後』などがある。主な著書に、『スペインの宇宙食』『時事ネタ嫌い』『ユングのサウンドトラック』など。映画美学校・音楽美学講座、国立音楽大学非常勤講師として教鞭もとる。www.kikuchinaruyoshi.net/
Photo(Portrait):Yuji Namba Text:Misho Matsue

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