全人類を魅了する、奥深き食の世界[前編]/菊地成孔×伊藤俊治 対談連載 vol.17 | Numero TOKYO - Part 4
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全人類を魅了する、奥深き食の世界[前編]/菊地成孔×伊藤俊治 対談連載 vol.17

菊地成孔×伊藤俊治 対談連載 vol.17
菊地成孔×伊藤俊治 対談連載 vol.17

セブン&アイのオリジナルシリーズ「セブンプレミアム」のこだわり惣菜。
菊地成孔×伊藤俊治 対談連載 vol.17
菊地成孔×伊藤俊治 対談連載 vol.17

『缶つま』(世界文化社刊)
菊地成孔×伊藤俊治 対談連載 vol.17
菊地成孔×伊藤俊治 対談連載 vol.17

『かんたん晩酌缶詰レシピ50 ほろ酔い♪女子つまみ』(徳間書店刊)
K「昔は『ほか弁』の力が強かったんでしょうが、ほか弁は早く閉まっちゃいますし、『ほっともっと』と『ほっかほっか亭』に分裂したことで、なし崩し的に力が弱まってきていた。一方、コンビニの食事というのは長い間、特に未婚女性が仕事帰りに立ち寄って家で弁当を温めて食べるのはものすごく惨めというイメージがありましたが、テレビ番組とのコラボを始めたり、プレミアムな商品を扱ったりと試行錯誤の期間を経て、そのうちにいろいろな食材をデタラメに混ぜるとなぜかウマいという“ちょい足し”ブームが来て。大衆料理にもそれなりのレシピがあったのが、『お願い!ランキング』という番組によって、サーディンの缶詰、マヨネーズとコーヒーといったコンビニで簡単に手に入るような商品を組み合わせることで、ある種の20世紀的なディシプリンが壊れ、“みじめ”が“面白さ”に変わったんです。僕は“エル・ブリ(分子調理法を駆使した伝説の三つ星レストラン)の亡霊”だと思っているのですが、子供の泥水遊びのように自由な楽しさを追求する傾向が強い中にあって、カスタマイズの喜びが半端じゃないんですよね。一時期のアメリカにも近いと思います。僕自身は、ファミレスのドリンクバーを混ぜるのが好きですね。ドリンクバーでカクテルを作るのが一部の好事家の間では流行っていたんです(笑)」
I「いまのコンビニは、ワインや缶詰、スイーツまで品揃えもすごいですよね」
K「熱く語っても仕方ないんですけど、缶詰に関しては、早くも1979年には『レッツカンクッキング』という伝説の奇書が発行されていて、まだ味付きの缶詰しかない時代に缶詰で料理を作ろうとするものです(笑)。古本屋で偶然見つけ、こんなに面白い本はないと思いあちこちで紹介したんですけど。あの本に全てがあるというか、煮付けたイカの缶詰を揚げてペスカトーレを作ったりするんですよ。そうでもして缶詰を食べさせようとする、缶詰振興会による本で、どのページも見ていて吐きそうなんですけどね(笑)。でもレシピの間に片岡義男さんによる缶詰のエッセイが挟まれたりしていて、僕が持っている奇書の中でもトップクラスです」
【現代の多種多様な缶詰は、エル・ブリの影響!?】

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