Culture / Post

全人類を魅了する、奥深き食の世界[前編]/菊地成孔×伊藤俊治 対談連載 vol.17

菊地成孔×伊藤俊治 対談連載 vol.17
菊地成孔×伊藤俊治 対談連載 vol.17

缶’s Bar 秋葉原店
住所/東京都千代田区神田花岡町1-19 
Tel/03-3251-8722
営業時間/16:00〜23:00[L.O.]
定休日/日・祝
菊地成孔×伊藤俊治 対談連載 vol.17
菊地成孔×伊藤俊治 対談連載 vol.17

(左上)桃缶サワー(右上)みかん缶サワー 各¥400
(左下)清水もつカレーいかすみ
(右下)日光味付け巻ゆば 各¥630
菊地成孔×伊藤俊治 対談連載 vol.17
菊地成孔×伊藤俊治 対談連載 vol.17

「世界一予約の取れないレストラン『エル・ブリ』 最後の大晩餐会」
天才シェフ、フェラン・アドリア率いる伝説のレストラン「エル・ブリ」の最後の晩餐に密着したドキュメンタリー。12月16日(火)WOWOWプライムにて放送
──最近流行っている缶詰レシピ本のルーツはそこにあったんですね。
K「コンビニを市場にして、バルは自宅でもできるということですよ。セブンで売っているワインのうち、アリアニコという品種は本当にうまいですし。目隠しされてヴィンテージと飲み比べたら、僕には違いがわからないかもしれません」
I「さっき台湾の話をしましたが、海外のコンビニは、たとえば八角の香りがしたり、日本とは店内の匂いが違うんですよね。インドネシアにコンビニができたのはここ4、5年で、ものすごい勢いで増えています。店内でサテ(東南アジアの串焼き)を焼いていたり、コンビニが地域でバル化しているかもしれません。スペインだとバルってピンチョスとかタパスとかツマミ系とか小皿料理が多くて、タバコもロトも売ってる。手軽で簡単でおいしいメニューが多いですが、そうした傾向なんですね」
──伊藤先生は缶詰を買うことはありますか?
I「海外で過ごす時間が長いので、買ったりしますよ。いまの缶詰は加工の技術も高度になっているし、バリエーションが多いですよね。缶詰バーもあるんでしょう?」
K「あちこちにありますよね。70年代には、ゴールデン街や地方のスナックでつまみが缶詰しかない、となればそれは貧しさの象徴だったのが、いまは缶詰の地位がものすごく上がっているんです」
I「さんまの蒲焼きではなく、タラバガニの缶詰とかが出てきますよね」
K「現代の多種多様な缶詰も、エル・ブリの影響がすごく大きいと思いますよ。エル・ブリが実用的な料理からいちばん遠いところまで行ったので、その反動で実用に戻ってきたとも言えます。そもそもエル・ブリ自体がタパスから始まっているので、近未来化、大衆化したタパスなんでしょうね」
I「実はこないだスペインのジローナに行って、エル・ブリ後の世界一のレストランといわれてるカン・ロカに行ったんです。ロケーション、ホスピタリティ、味も印象的でした。スペインの現代料理は勢いがあるし、ジローナの旧市街の小さなレストランもクオリティが高い。もうエル・ブリ風のエスプーマやカプセル・イクラみたいなのは飽きられてて、地域に根付いた味わいのある料理をしっかり作っている気がしました」
中編へ続く
伊藤俊治(いとう・としはる)
1953年秋田県生まれ。美術史家。東京芸術大学先端芸術表現科教授。東京大学大学院修士課程修了(西洋美術史)。美術史、写真史、美術評論、メディア論などを中軸にしつつ、建築デザインから身体表現まで、19世紀~20世紀文化全般にわたって評論活動を展開。展覧会のディレクション、美術館構想、都市計画なども行う。主な著書に、『裸体の森へ』『20世紀写真史』(筑摩書房)、『20世紀イメージ考古学』(朝日新聞社)、『バリ島芸術をつくった男』(平凡社)、『唐草抄』(牛若丸)などがある。
菊地成孔(きくち・なるよし)
1963年千葉県生まれ。音楽家、文筆家、音楽講師。85年音楽家としてデビュー以来、ジャズを基本に、ジャンル横断的な音楽活動、執筆活動を幅広く展開。批評家としての主な対象は、映画、音楽、料理、服飾、格闘技。代表的な音楽作品に『デギュスタシオン・ア・ジャズ』『南米のエリザベス・テイラー』『ニューヨーク・ヘルソニック・バレエ』『戦前と戦後』などがある。主な著書に、『スペインの宇宙食』『時事ネタ嫌い』『ユングのサウンドトラック』など。映画美学校・音楽美学講座、国立音楽大学非常勤講師として教鞭もとる。www.kikuchinaruyoshi.net/

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