久しぶりに、父さん(猫沢エミさま)にお会いしました。
忙しい最中に、ご飯を作ってくれてこれがほんとに美味しかった。
ダイエット中を気遣ってくれて、野菜中心のヘルシーメニュー。
積もる話と、美味しいお食事で心が大変満たされました。
ありがとうございました。
猫沢さんとは、これまで歩んできたことなど近い部分が重なることがあり、
阿吽の呼吸のように、お互いの心の中や経験が一言話しただけで
伝わるような所があります。
勿論、僕はまだまだ修行が足りなくて甘いところが沢山あるのですが、
猫沢さんのお話を聞くと、身が引き締まる思いをもつ。
どんな職業をしてようが、一人の人間でしかなくて
何十年か生きていると、それぞれに色々な事が身に降りかかってくる。
つらい時や悲しい時も勿論あって、それでも生きていくという
踏ん張り力が必要になってくる。
本当につらい時、我を忘れるほど精神が暴れ、
もう駄目かも知れないと思いながら、それでも生きていると、
凪のように、静かな場所へ辿りつく。
ゆっくり時間をかけて、その場所へ着いたとき
やっと、自分のこれまでを僕は振り返ることができた。
僕の場合、本当に長い時間がかかってしまったが
そこには、大きい愛としかいえないものが広がっていて、
それまでの苦しい出来事を、許すことができた。
この日、猫沢さんから頂いた著作「猫と生きる」を読んで、
一人の女性の人生を思って、涙が止まらなくなった。
そこには凪の時まで精一杯やってきた人間のこれまでが書かれていたからだ。
この本は、猫を介した猫沢さんの半生(4分の1くらいかな?)を綴った本である。
誰の人生だって、みんな同じように色々な出来事が降りかかってきて、
それぞれ、その出来事を乗り越えていくのに必死だ。
けれど町を歩けば、みんなが楽しそうな気がして自分だけがこんな
つらい目にあっているのかも知れない・・・なんて思ってしまいそうな時がある。
そんな時こそこの本を友達と思って読むことをおすすめしたい。
もう駄目かというところで、実はその裏側にその出来事にあわなければ
到達できない不思議なドアがある。
それは人生を乗り越える大事な真理ではないだろうか?
表面的には、悲しい出来事そのものにしか見えないが
もう少し辿って、裏側をめくってみるとまた違った視点が隠れている。
この本の中でも、何度もそういった困難の中に不思議なドアを
見つけることが出来た。
それは、他人が簡単に「不思議なドア」ともいえないようなものでもあるが、
時間が経ってはじめて、そのドアを開いて違う境地に到達していたことに気がつく事が僕はあった。
そして、それは一人きりの孤独な戦いといえなかった。
心の拠り所となる大切な仲間がいつもいてくれたからだ。
猫沢さんには、ずっと側に一匹の猫がいた。
猫との出会いのシーンから衝撃的だったが、猫沢さんのまるで波にのまれるような
プロミュージシャンになるエピソードと同じ時期に出会うのも運命的で、
その後のまた大きく波打つ猫沢さんの人生を共に猫と生きていく。
この愛猫のために、猫沢さんはあらゆる労力をおしまず、
愛情を傾けるが、そこには決して押し付けるような愛はなく、
必ず、この猫にとってどういう事が幸せなのか?という視点で
色々な選択を選んでいくのがとても印象に残った。
べったりとした愛ではなくて、常に相手を尊重した愛。
誰にでも起こりうる、人生の濁流の中で
一人ではなく、愛を傾けられるパートナーと共にそれを乗り越えていけたら
どんなに幸せだろう。
この本はパートナーとの愛のあり方、愛とは何かということの
ヒントを私に優しく教えてくれた気がするのだ。