両国で生まれ育ったNが、一時期住んだこともあるので詳しいという浅草を案内してくれた。
浅草は、おそらく5回くらい行ったことがある。
しかも1回は仕事で取材をしたことがあるので、主要なスポットは一通り回っている。
だから、「観光地じゃなくていいので、地元民だからこそ知っている場所を案内して欲しい」とリクエストした。
アサヒビール社屋にポトリと乗っかったあの有名な金色のオブジェが眼前にある吾妻橋からスタートして隅田川沿いをしばらく歩き、まず連れて行ってくれたのは、「今戸神社」という小ぢんまりとした神社だった。
まさに「知る人ぞ知る」的なスポットだ。好調な街活スタートを切った。
鳥居をくぐると、不思議なことに、その敷地は隣の民家と地続きになっていて、家との境がない。
「この神社は私物の神社?」と疑問が浮かぶ、神様というより人間の匂いがぷんぷん漂う神社だ。
というのも、こんな風に、ゆっくり腰を掛けられるベンチがずらっと並んでいる光景が…。
神社にこういうものを設置してもいいんだろうか……?(余計なお世話?)
しかも、ベンチのデザインが洋風……和テイストの掛け合わせで独特の空気感が生まれている。
この今戸神社は縁結びの神社だそうで、円形の絵馬が特徴的だ。
社の中をよく見て欲しい。
招き猫が2匹いる!
にゃー。
招き猫って、商売繁盛のシンボルだったように思うのですが……ここは縁結びの神社なんですよね?
そういう疑問をNに投げると「そうなんだっけ」というようなことを言いつつも、あまり意に介していないサラッとした反応。
どうやら地元ゆえに馴染みがありすぎて、私が突っ込みどころだと思うところに大した疑問も感じていない様子だ。
そうそう、これこれ。こういう感覚こそ「地元イズム」だなぁと思う。
矛盾点や尖った個性も当たり前化しているのでスルーしてしまう感覚。
そして社の隣には、こんなコピーが。
「お江戸」と「今戸」で韻を踏んだのですね。
ゆるキャラ的現代感覚を感じる猫の石像。
そして、反対側の隣には、民家から突き出ている(?)、お守りなどのグッズ売り場。
このとき白猫が現れたのだが、この中にいる売り子のおばさまが窓から顔を突き出して「この子、滅多に来ないよ!この子見れるのはラッキーだよ!」と周囲に喧伝(?)していた。
かなりキャラ立ちしてるおばさまだった……神社では見かけない種類の。
そして、脇にはこんな園芸が。
かわいい……かわいいけど、ここはやはり私邸なのか?
神社の概念がガラガラと崩壊していく……。
そして、掲示板(そもそも神社内に掲示板?)にはこんな告知が。
まじか!
なんて親切な……ありがたい。だけども、かなり人間臭い営み。
本当に、実際的な方法で縁を結んでくれるのですね。
「これ、地元の人が登録するのかな?」とNに聞くと「地元の人が登録してもしょうがないでしょ」とのこと。
そっか、そうなのか。地元だと知ってる人同士になるからか。
とすると、私が登録するのがちょうどいいのかな?縁結び神社主催ということで縁起も良さそうだし、登録してみようか?
とか思ったり思わなかったり……万策尽きたら思い出すことにしよう。
今戸神社は、個性的で打ち出し方が巧みな、かなりブランディング力の高い神社であった。
…………ひょっとして、この招き猫って、今戸神社側のもの??
そうだとすると、縁結び神社に招き猫を置く説明がつく……。
地元民が案内する浅草ツアーは次回に続く。