キッチュになる | Aisa Arikawa
Aisa Arikawa

キッチュになる

前回のpostの最後に紹介した広告アーティストのRaymond Sevignac展。

1人でどのくらいの時間この場で過ごしていたのだろう。

数多くの彼の作品や、それにまつわるアンティークの品々。

もちろんそれだけでも贅沢でお腹いっぱい。

だけど、私の時間が止まったのはそれらの「周辺」があったから。

普段は「ただの展示空間」に過ぎないはずのこの場所が、

まるでヨーロッパの旧家の邸宅!?

先祖代々コレクターで、邸宅にはキッチュで古びたものが転がっている。

そんな一族の風景を想像しながら・・・

 

ギリシャの柱(の彫刻)に、ペルシャ絨毯、オリエンタルモチーフの暖炉に、中世を彷彿させる扉・・・

スタイル(様式)がぐちゃぐちゃでなんて無秩序!!!!!

なはずなのに、どこかすんなり受け入れてそのセンスに引き込まれて行く理由。

そのキーワードは「シンメトリー」。

ヨーロッパに旅して、クラシカルな建築や庭を見て、馴染みが無いはずなのに

何故か心地よく、懐かしく感じるのも

シンメトリーによって絶対的秩序が保たれているからなのかもしれない。

シンメトリーで絶対的秩序を手にしたら、もう怖いもの無し!

感性の赴くままに、スタイル(様式)なんて気にせず、むしろどれだけ既存のスタイルを壊せるか。

コレクターとしてのセンスの見せ所。

 

なんか、今のファッションの流れに似ている?

1つのハイブランドで固める人はあまりfashionableだとは言われない。

ー全く違う個性を持ったブランドとmix。

ーファストファッションとmix。

ークロスカルチャーにmix。

既存の価値観をどこまで壊しつつ、融合させて、新しい(新しく見える)ものを創るか。

そして、その過程で取るに足らなかったものにも価値が見出されて行く。

真のfashionistaは本物を知っているという「絶対的秩序」を持っているのだと思う。

本物とその美が分かってこその「キッチュ」。

最近の関心事はもっぱらコレクターvsオタク。

収集癖が人より強いという点では同じはずなのに、

両者の「周辺」はまるで違う。

「飾って使いたい」コレクターと「ただ飾って見ていたい(囲まれていたい)」オタク。

収集するものの差こそあれ、やっぱり日本人のオタク気質は拭いされないものがあるのかも・・・笑

みなさんも、使えずに飾りになっているものがあるのでは?

特に好きなものほど。

こんなイケイケなおじさんが乗ったクラシックカーを

「キッチュ」に見せることができる人になれるだろうか?笑

 

とりあえず「似非」→「似」くらいを目指そう。

 

 

 

Profile

aisa arikawa
TOKYO
student of architecture
 

1990年生まれ。インテリア、ファッションから「場」について考える端っこ建築学生。キラキラしたダイヤモンドよりもマットで温かい質感の陶器が好き。そんな私のちょっと外れた視点から眺めたデザインの世界。

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