先日は、山縣良和氏が手がけるwrittenafterwardsのshowも観覧させて頂きました。
今シーズンのテーマは「妖怪」。
デザイナー自身の故郷である鳥取で育った漫画家・水木しげるへのオマージュとして捧げられたコレクションでした。
動物の妖怪たち。上のLOOKは、よく見るとネズミがいるのお分かりですか?
題するなら「夢遊病の少年たち?」 BOYS妖怪。
いくつかのLOOKに用いられていたこのニットなど、クチュールの要素も随所に感じられる。
神様に呼びかけるために、神社には鐘があり、神事の際は巫女が神楽鈴を持って舞う。
シャラシャラと音が鳴りそうなジャラジャラとつけられたアクセサリーやシャイニーな素材やモチーフからは、
そんな神道の思想や道具が想起される。
今シーズンのPRADAに引き続き、ミラーボールみたいなピアスは気になる。
アンバランスに長く伸びた袖や帯は、妖怪のシューっと、にゅるっとした軌跡を思わせつつも面白いプロポーション。
妖怪たちは程度の差こそあれ(笑)どれも不気味で奇妙なのだけど、
砂を固めて作られたような下駄でよろよろと歩く姿にはなぜかとても親しみが持てる。
こどもの妖怪たちも大活躍。藁人形や傘などプリミティブな素材の引用も興味深い。
様々なマテリアルのミックスに、レイヤードに・・・見る者を終始飽きさせない驚きに溢れている。
ラストルックを飾るのは女優の小松菜々。
「砂のドレス」と名付けられたドレスを身に纏い、特殊メイクを施されての登場。
生気を失ったような、何かを呪うかのような表情でフラフラ歩いていく様は、
まるで本物の妖怪がそこに現れて浮遊しているような狂気すら感じる。
最後は妖怪全員集合! 圧巻の集合写真撮影会。
ケータリングの装飾に込められた意味は、ショウを見終わってからじわじわ分かって来た。
そして、「妖怪」と言えばこれも見て欲しいのが、メゾンエルメス銀座で開催中のこちらの展覧会。
フランスの写真家シャルル・フレジェが見た日本列島58カ所の固有の仮面神や鬼たちの姿。
日本人の恐怖や畏怖を象徴しながらも、私たちの生活の傍らに潜み、時に親しみを感じさせる存在である妖怪。
そのルーツともいえる神や鬼たちの姿を収めた写真からは、どこか客観的に妖怪を観ることができる。
「愉快な妖怪」への好奇心。
リトゥンのファッションとシャルル・フレジェの写真から妖怪への欲求に潜む我々の欲求を考えるのでした。