【7,000〜10,000円編】特別な日に飲みたいワインをワイン選びのプロに教えてもらった。
みなさんこんにちは、ワインブロガーのヒマワインです! 年末年始は奮発しておいしいワインを飲みたい季節ですよね。
というわけで、ワイン選びの達人であるワインマーケット・パーティ店長でソムリエの沼田英之さんに、金額別のオススメワインを教えてもらっています。クリスマスやお正月、たまにしか会えない友人や大切な人へのプレゼントなど、今回も覚えておくと役に立つワインがたくさん登場しますよ! それでは今回も、私と沼田店長の掛け合いでお伝えします!
純白ボトルのシャンパーニュ
ヒマワイン(以下、ヒマ)「年末年始に飲みたいワインを2週にわたり価格帯別に選んでもらいましたが、今回はその最終回。ざっくり7,000円〜1万円前後までのワインから、オススメを選んでいただきます」
沼田店長(以下、店長)「はい。7,000円〜1万円前後というと、大切な人の節目のプレゼントとか、重要な記念日なんかに開けるイメージですよね」
ヒマ「まずは泡(スパークリングワイン)ですが、ついにシャンパーニュが登場ですね」
店長「はい。選んだのはアンドレ・クルエのチョーキー ブラン・ド・ブラン N.Vです」
ヒマ「純白の箱に入れられていますが……なんと、ボトル自体も真っ白なんですね。これはインパクトがデカい」
店長「ここまで真っ白はほかにない(笑)。シャンパーニュ地方の土壌は石灰質で、それが独特の味わいを生むのですが、箱とボトルでそれを表現しているんです」
ヒマ「今年結婚する友人がいたので、もっと早く知りたかったなあ。結婚する友人へのプレゼントに最適すぎますね、これ」
店長「僕は今年妻との記念日があったんですが、これを贈りました。このボトルはおそらく2013年収穫のブドウで造ったワインがベースになっています。品種はシャルドネという白ブドウを100%使った“ブラン・ド・ブラン”と呼ばれるタイプで、味わいも素晴らしいんですよ」
ヒマ「ワインの名前のうしろに『N.V』とありますが、これはノン・ヴィンテージの略称で、つまり複数の年に造られたワインをブレンドすることで味わいに厚みを出しているってことなんですよね。そのベースが2013年のワインだと。熟成も進んで、香りや味わいがより深いものになっていそうです」
店長「レモンとかライムではなくちょっと熟したグループフルーツを連想させる柑橘系の香り。ほんのわずかに塩味を感じるような、鉱物的なニュアンスもあって、おいしいですよ。問題は、ボトルが白いのでどれだけ飲んだかわからないことくらいです(笑)」
ヒマ「もっとあるかと思ったらなくなってた、なんていうのは困りますね(笑)。金額は1万956円です(税込、以下同)」
店長「このワインは「知っている」といいですよ。プレゼントの引き出しがひとつ増えますから」
オレンジワインの最高峰
ヒマ「では、続いては白ワインいきましょうか」
店長「白と赤は2本ずつ提案させてください。まずはゲルノット&ハイケ ハインリッヒの「ローター・トラミナー フライハイト2019」(7920円)です。白というか、これは白ブドウを醸してつくるオレンジワインですね。オーストリアのワインです」
ヒマ「陶器なのかな。これもインパクトのあるボトルですね」
店長「醸造においては“アンフォラ”と呼ばれる古代に使われていた壺を用いたりもしていて、ナチュラルな造りをしています。そしてこの造り手はイギリスの有名なワイン雑誌の賞で、オレンジワイン部門の全体1位をとっているんです」
ヒマ「すごっ! オレンジワインの世界最高峰の造り手の一人ってことですね」
店長「そうなりますね。品種名のローター・トラミナーっていうのはゲヴュルツトラミネールとも呼ばれるんですが、それで造ったオレンジは意外と珍しいんです。ナチュラルワインですが、キレイな造りなのでいろいろな料理との相性もいい」
ヒマ「ゲヴュルツトラミネールはバラやライチのような香りがすごく特徴的な品種で、女性人気が高い品種。ナチュラルワインは注目を集めていますし、年末に「オレンジの最高峰」を飲むってちょっといいですね!」
コレクターも多いカリフォルニアの白
店長「続いてはオー・ボン・クリマっていう生産者の『ニュイ・ブランシュ 独歩 シャルドネ2019』です」
ヒマ「カリフォルニアの有名生産者ですね。ラベルに『独歩』って漢字で書いてあるのが特徴的です。価格は7,150円」
店長「実はこの漢字部分が毎年変わるんですよ。2017ヴィンテージは『唯一』、2015は『無二』みたいに」
ヒマ「へー、面白い!」
店長「毎年変わるから、コレクターも多いんですよ。なので、たとえば毎年贈り物はこれって決めちゃうとかもアリ。『あの年、“無二”って書いてあるワイン一緒に飲んだよね』みたいに、覚えやすいじゃないですか。ドライパイナップルや焼いたオレンジ、香ばしいパンの香りもあって味わいも嫌いな人がいないタイプです」
「花束」を贈るようにワインを
ヒマ「続いて赤も2本選ばれてるんですよね」
店長「はい、まずはこれ。カリフォルニアのソノマ・コーストのワインで、『フラワーズ ピノ・ノワール』(8,140円)です」
ヒマ「ラベルにシックな書体で『Flowers』って書いてあるのすごくいいですね」
店長「これを勧める理由はシンプルで、花束を贈る代わりに『花束』っていう名前のワインを贈ってみてはいかがですか? ということ。お世話になった人や友人、そしてもちろん自分にも」
ヒマ「めちゃめちゃ素敵じゃないっすか……! 中身が世界中で大人気の品種、ピノ・ノワールっていうのもいいですね。好きな人が多いですし、ソノマはこの品種の名産地でもあります」
店長「そうですね、濃すぎないピノ・ノワールで、多くの方に喜んでいただけると思います」
1万円で買える最高品質ワイン
ヒマ「そして最後は……マス・ド・ドマ・ガサック ルージュ。“ラングドック”のワインですか。一般的には高級産地と呼ばれないフランス南部の産地ですよね」
店長「前提として、世界的なワインの価格高騰があるんですね。ブルゴーニュワインの場合、地域名→村名→畑名の順に値段が高くなるのですが、1万円前後だと最近では中間の『村名』くらいしか買えません」
ヒマ「たしかに」
店長「ボルドーのワインは1級から5級までの格付けがありますが、買えて3級くらいまで。もちろんそれぞれ素晴らしい味わいのものがたくさんあるのですが、年に一度の自分へのご褒美や贈り物であれば『一番』を贈りたくなりますよね」
ヒマ「これまた、たしかに」
店長「マス・ド・ドマ・ガサックはその点ラングドックのトップ・オブ・トップなんです。有名な大学の教授が土地を調べて、ここならグラン・ヴァン(偉大なワイン)ができるっていうお墨付きを得た土地でワインを造っていて、実際にものすごく高品質。ラングドックのラフィット、なんて呼ばれ方をしています」
ヒマ「ラフィットっていうのはボルドーの5大シャトーの一角ですね。買うとすれば1本10万円からといったところでしょうか。マス・ド・ドマ・ガサック ルージュは10,120円ですから、その10分の1以下の価格で買えると」
店長「実際の味わいは、もうこの造り手・この土地でしか出せない世界になっています。非常に多くの品種を植えていて、それをブレンドしているんです」
ヒマ「ワイン好きとしてはものすごく気になる、飲んでみたいワインですね……!」
店長「ワイン好きとしては1万円をラングドックのワインに使うのはなかなか勇気がいる。だからこそ、ワイン好きへのプレゼントとしても非常に良いと思います。せっかく1万円払うのに『ああ、これね』って『知ってる』みたいな顔されたくないじゃないですか(笑)」
ヒマ「まったくだ(笑)。いや、これも沼田店長らしいセレクトでした」
店長「すべてのワインが載っているカタログがあるとして、その1ページ目にシャンパーニュの有名メゾンやブルゴーニュの有名生産者、ボルドーの格付けシャトーが載っているとしたら、今回ご紹介したのは4ページ目、5ページ目に載っているようなワインたち。こういった個性的なワインは長く記憶にとどまりやすいと思いますよ」
ヒマ「ぜひ、年末年始のワイン選びの参考にしていただきたいですね。沼田店長、ありがとうございました!」
ワインマーケットパーティ
住所/東京都渋谷区恵比寿4-20-7 恵比寿ガーデンプレイスB1F
営業時間/11:00 – 19:30
Tel/03-5424-2580
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