【3,000〜7,000円編】特別な日に飲みたいワインをワイン選びのプロに教えてもらった。 | Numero TOKYO
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【3,000〜7,000円編】特別な日に飲みたいワインをワイン選びのプロに教えてもらった。

みなさんこんにちは、ワインブロガーのヒマワインと申します。前回、年末年始に飲みたい2,000円台のオススメワインを、東京・恵比寿の人気店「WINE MARKET PARTY(ワインマーケット・パーティ)」の店長でソムリエの沼田英之さんに教えてもらいました。

今回はその第二弾。クリスマスやお正月など特別な日に開けたい3,000〜7,000円のワインを教えてもらいます。どれも“知っている”ことでプレゼントの引き出しが増える、とっておきのワインばかりです! もちろん、自分で飲む用にもバッチリですよ。というわけで前回同様、私と沼田店長の掛け合いでお送りします!

自宅用にもプレゼントにもおすすめの泡

ヒマワイン(以下、ヒマ)「さて今回は3,000円台から7,000円までのワインをオススメしていただきます。クリスマスやお正月など特別な日に、ちょっと奮発して開けたいワインですね」

沼田店長(以下、店長)「まずは泡(スパークリングワイン)からいきましょうか。ちょっと変化球で、ドイツのスパークリングワイン“ゼクト”はどうでしょう」


ヒマ「お、これは『ベッカー(フリードリッヒ・ベッカー醸造所)』ですね。キツネのマークでおなじみの」

店長「はい。これはスノー・ベッカーといって、冬季限定のラベルなんです」

ヒマ「ほんとだ。キツネがサンタクロースの帽子を被っていたり、スノーマンがいたりして、これは見た目にもこの季節にどハマりしそうですね」

店長「このワインはブラン・ド・ノワールといって、通常は赤ワインの原料となる黒ブドウから造られるスパークリングワイン。黒ブドウなのに白ワインのような色調で、シャンパーニュなどでよく使われる手法なんです」

ヒマ「ベッカーのワインは見た目にカワイイだけじゃなく、味わいもいいんですよね。私も大好きです」

店長「この泡も素晴らしいですよ。2年間の熟成を経てリリースされるワインなのですが、ブラン・ド・ノワールらしい複雑さがあり、同じ価格帯のシャンパーニュにまったく引けを取りません。ラベルもいいし、自宅で飲んで良し、プレゼントにも良しという使い勝手の良いワインです」

ヒマ「価格は6,600円。ちょっとお高めですが、クリスマスだったり、冬に生まれた人のお誕生日などに奮発して開けたいですね。続いては白ワインでしょうか」

店長「ちょっと意表をついて、最近すっかり市民権を得た感のあるオレンジワインにしてみました」

お手頃なオレンジワイン

ヒマ「白ワインを赤ワインのような製法で作るとオレンジ色の液体になる。それがオレンジワインですね。『オレンジから作るワイン』じゃないことに注意が必要なやつです(笑)」

店長「このワインはカンティーナ・ジアラというイタリアの生産者の『モンス・ロニ・カニタム』というワイン。イタリアのブーツの踵にあたるプーリア州のアデルフィアという土地で造られるワインなのですが、アデルフィアはもともとモンス・ロニという地区とカニタムという地区に分かれていたんだそうです」

ヒマ「ほう」

店長「それがアデルフィアという街に統一されたんです。それで肩を組んだラベルで『友情』を表している。そういうラベルの意味とかを話しながら飲んでもらいたい1本です」

ヒマ「これは親友とひさしぶりに合うとか、そういうタイミングに最高ですね。パートナーとの仲直りで開けるとか……。色もとってもキレイです」

店長「オレンジワインは注目度も高いですからね。ワイン自体もすごくキレイな造り。ゆずやオレンジの皮のような雰囲気、金柑をまるごとかじった感じ。ぼくは切り干し大根にゆずを効かせたものなんかを合わせますね」

ヒマ「ゆずを使ったお鍋なんかにも良さそうですね……! 価格も3,630円と手ごろ感があります」

店長「オレンジワインやナチュラルワインは1万円を超えるものはほとんどありませんが、3,000円を切るものもあまりないんですよね。この価格帯は手ごろだと思います」

シックなインテリアに映える“ブラックラベル”

ヒマ「つづいてはシメの赤ワインです」

店長「はい。オススメしたいのが、またしてもイタリアの生産者でロゴ・ノーヴォの『サンジョヴェーゼ ブラックラベル』」

ヒマ「おお、真っ黒なラベルが存在感抜群ですね」

店長「これはウチ(ワインマーケット・パーティ)の取って置きです。というのも、輸入元ではすでに大人気で完売しているんですが、ウチは2022年に5か月間リニューアル休業をしていた関係で、まだ在庫があるんです」

ヒマ「本当に言葉の通りに“取って置き”なわけですね(笑)。どんなワインなんでしょう?」

店長「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノっていうイタリアの有名なワインがあるのですが、その地区にカステル・ジョコンド農園っていうのがあるんです」

ヒマ「イタリアの中部トスカーナ州のモンタルチーノっていう町で、ブルネッロ(サンジョヴェーゼ・グロッソ)っていう品種から造られるのがブルネッロ・ディ・モンタルチーノですね」

店長「カステル・ジョコンド農園は有名な『ルーチェ』のブドウを造っていたりするんです」

ヒマ「ルーチェっつったらイタリアを代表するワインのひとつです。飲んでみたいやつ…!」

店長「ルーチェって2万円くらいはするんですよね。セカンドラベルでも5,000〜6,000円はする。そのルーチェと同じ農園のブドウで、自家消費用に造られてたってワインなんです。で、話は飛ぶんですが僕トスカーナに留学してるんです」

ヒマ「はい」

店長「なのでトスカーナのワインは大好きで自分でもよく買うんですが、これは販売価格の4,180円で買えるレベルではないんです。9,000円とか1万円いかないくらい払ってもこの味はなかなかできないと思うんです」

ヒマ「むちゃくちゃコスパがいいと」

店長「なのでどなたにでもオススメなんですが、なかでもオススメしたいのが「黒」が好きな人へのプレゼントなんです」

ヒマ「それはボトルが黒だからですか?」

店長「はい。プレゼントだったり、持って行くお宅の内装をイメージして、そこにフィットしそうなボトルを選ぶといいですよって僕はお客様によく言うんです。ウッディな内装を好む人もいれば、ホテルっぽいモノトーンが好きという方もいるじゃないですか」

ヒマ「たしかに〜。ナチュラルな内装のお宅には前に紹介してもらったオレンジワインなんかが合いそうですし、モノトーンでシックなお宅にはこの黒一色のボトルが調和しそう」

店長「ワインって、テーブルの上や棚の上に置かれたときのことをイメージして選ぶのも楽しいんです」

ヒマ「いや〜、さすがのセレクトでした」

店長「今回ご紹介したワインは、定期的に味わいをチェックしたくなるワインたち。どれも自信を持ってオススメできますよ!」

ワインマーケットパーティ
住所/東京都渋谷区恵比寿4-20-7 恵比寿ガーデンプレイスB1F
営業時間/11:00 – 19:30
Tel/03-5424-2580
winemart.jp

Photos & Text: Hima_wine

Profile

沼田英之Hideyuki Numata ソムリエ、1978年生まれ。ホテルやレストラン勤務後、イタリア・トスカーナに留学。帰国後、レストランにソムリエとして勤務し、その後フランスワイン専門店ラ・ヴィネに入社。現在は姉妹店である都内屈指の大型店・ワインマーケットパーティの店長を務める。
ヒマワイン@hima_wine ワイン大好きワインブロガー。ブログ「ヒマだしワインのむ。」運営
https://himawine.hatenablog.com/
YouTube「Nagiさんと、ワインについてかんがえる。Channel」共同運営
https://www.youtube.com/@nagi-himawinenu

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