【2,000円台編】特別な日に飲みたいワインをワイン選びのプロに教えてもらった。 | Numero TOKYO
Life / Feature

【2,000円台編】特別な日に飲みたいワインをワイン選びのプロに教えてもらった。

みなさんこんにちは、ワインブロガーのヒマワインと申します。突然ですが、みなさんはワインって飲まれますか? Numero読者のみなさまなら、きっと日常のなかにワインとの接点があるんじゃないかと思います。

フレンチレストランに行くと飲むことがある。なにかのパーティで乾杯にスパークリングワインを飲む、とか。でも一方で、ワインを自分で選ぶのって難しいですよね。とくにこれからの季節はクリスマスにお正月と、「ちょっといいワインでも」と思う機会が増えてきます。

そこで私・ヒマワインが、東京・恵比寿の人気店「WINE MARKET PARTY(ワインマーケット・パーティ)」にお邪魔し、店長でソムリエの沼田英之さんに、“年末年始に飲みたいワイン”を価格帯別に伺ってきました。週末やちょっとしたお祝いで開けたい2,000円台のワイン。クリスマスやお正月など特別な日に開けたい3,000〜7,000円のワイン。そして大切な人への贈り物など、人生の節目で手に取りたい7,000〜10,000円のワインです。

週末の家飲み、友人宅でのホムパのお持たせ、友人や両親、パートナーへの贈り物など、知っておくと絶対トクするワインをたくさん教えてもらいましたので、これから3回に分けてご紹介したいと思います。初回は2,000円台のワイン。私と沼田店長の掛け合いでお送りします!

ホムパに最適! お手頃な2,000円台の泡

ヒマワイン(以下、ヒマ)「沼田店長、今日はよろしくお願いします。まずは2,000円から4,000円くらいの価格帯でオススメを教えてください。週末のプチ贅沢や、友人宅に持って行く用、ちょっとした贈り物といった価格帯ですね」

沼田店長(以下、店長)「わかりました。泡(スパークリングワインのこと)、白、赤とそれぞれオススメしていきますね。まずは泡ですが、ロータリという造り手の『ブリュット プラチナ』がオススメ。価格は2,420円です」

ヒマ「イタリアのスパークリングワインですね」

店長「スパークリングワインというとシャンパーニュが思い浮かびますが、シャンパーニュはだいたい3,000円から4,000円くらいはします。このワインは、それよりはるかに安い価格でクオリティとしては遜色ない。個人的に、2,420円で買えるレベルではないと思っています」

ヒマ「フランスのシャンパーニュ地方で造られるスパークリングワインが『シャンパーニュ』ですが、どうしても価格が高いですからね。2,420円でおいしい泡はうれしいですね〜。2016ヴィンテージだし、ちょうど飲み頃を迎えていそうです」

店長「実は泡はもうひとつオススメがあるんです。泡というか、微発泡、微々発泡くらいの感じなのですが、サンドロ・デ・ブルーノという造り手の『G-A-G ヴィーノ・ビアンコ・ヴィヴァーチェ』です」

ヒマ「おっ、人気のナチュラルワインですね」

店長「実は最近、ファッション誌などで特集が組まれたこともあり『ナチュラルワインをください』とご来店いただくお客様が増えているんです。そういった方にまずオススメするのがこのワインなんです」

ヒマ「どんなワインなんですか?」

店長「イタリア・ヴェネトのワインで、白の微発泡なのですが、味わいは濃いめ。見ての通りちょっとオレンジっぽいニュアンスがあるんですよ。SO2(二酸化硫黄)の添加をごくわずかに留めたナチュラルワインなのですが、とてもキレイな造りなのも特徴です。これも2,420円です」

ヒマ「ナチュラルワインのなかにはかなり独特の味わいのものもありますもんね。オレンジワインもトレンドですし、これは気になります」

店長「僕は“大人のゲータレード”って呼んでます(笑)。それくらい飲みやすいんですよ。白ワインとしても、オレンジワインとしても、泡としても楽しめますしね。こういう特徴のあるワインを持って行くと「それどこのワイン?」なんて風に会話も弾むと思います」

本音を言うと毎日飲みたい……もっとも売れている赤

ヒマ「では続いて赤ワインですね」

店長「赤も2本オススメさせてください。1本目はガーネット・ヴィンヤーズの『ソノマ・コースト ピノ・ノワール2013』です。価格は2,310円」

ヒマ「『ソノマ・コースト』といえば世界中で人気の品種“ピノ・ノワール”の名産地。ワインは産地名がラベルに記載されるものほど上級レンジになるケースが多いですが、それなのに2,310円は価格がバグってますね…!」

店長「しかもこれ年号が2013なんですよ。蔵元で熟成させたものをレイトリリースしているんです。カリフォルニアの熟成したピノ・ノワールをこの価格で味わえるのがまず唯一無二の個性。しかもガーネットは1月の誕生石なんです」

ヒマ「1月に飲むのにいいし、1月がお誕生日の方へ贈ったり、バースデイに一緒に開けるのも最高じゃないですか」

店長「年が開ければ収穫からちょうと10年ですしね。熟成が進んで液体の縁が上手い具合に茶色く枯れてきていて、紅茶みたいなニュアンスが出ています。“涼しいカリフォルニアのピノ”という感じ」

ヒマ「濃い果実味というよりは、爽やかな甘酸っぱさが楽しめるわけですね。さて、最後にもう1本あるんですよね」

店長「はい。『2,000円台』というテーマから外れてしまうので悩んだんですが、イタリアの『グラン・マエストロ ロッソ』というワイン。困ったことに1,000円台(1,760円)なんですよ」

ヒマ「安い分には問題ないですね(笑)」

店長「それはよかった。実はワインマーケット・パーティは2022年の5月から10月にかけてリニューアル工事をしていたのですが、10月のリニューアル後、もっとも売れているのがこの『グラン・マエストロ ロッソ』なんです」

ヒマ「へー! それはすごい。どんなワインなんですか?」

店長「リニューアル期間中、僕らスタッフは日々試飲をしていたんですが、カリフォルニアオタクのスタッフと、フランスのブルゴーニュオタクのスタッフが、ともに『なにこれめっちゃおいしいんですけど!』って口を揃えたんですよ」

ヒマ「カリフォルニアとブルゴーニュは一般的には味の方向性が全然違うと言われますから、そのおふたりがともに褒めるのはすごいですね。豚骨ラーメン派としょうゆラーメン派が口を揃えて絶賛する味噌ラーメン、みたいな感じです」

店長「で、私も飲んでみたらビックリのおいしさなんです。ソムリエという立場である以上、同じワインを繰り返し飲むのは許されないのですが、もしソムリエでなかったら毎日これを飲んでいるかもしれません(笑)」

ヒマ「沼田店長にそう言わしめるのはすごいな。味わいはどんな感じですか?」

店長「“アパッシメント”という手法が使われていまして、これは収穫したブドウを乾燥させてから搾るんです。結果、ドライいちじくのような凝縮した果実味を味わうことができます。そこにコーヒーのような香りもあって、最後に少しだけ甘さが残るイメージですね」

ヒマ「クリスマスの時期のローストビーフとか、そういった料理にも合いそうですね。お正月のすき焼きとか」

店長「今回紹介したのは2,420円までですから、ぜひ気軽に手に取っていただきたいですね!」

というわけで、今回は1,000円台から2,000円台までのオススメを聞いてきました。次回は3,000〜7,000円の記念日に飲みたいスペシャルワインについて教えてもらいます。お楽しみに!

ワインマーケット・パーティ
住所/東京都渋谷区恵比寿4-20-7 恵比寿ガーデンプレイスB1F
営業時間/11:00〜19:30
Tel/03-5424-2580
winemart.jp

Photos & Text: Hima_wine

Profile

沼田英之Hideyuki Numata ソムリエ、1978年生まれ。ホテルやレストラン勤務後、イタリア・トスカーナに留学。帰国後、レストランにソムリエとして勤務し、その後フランスワイン専門店ラ・ヴィネに入社。現在は姉妹店である都内屈指の大型店、ワインマーケット・パーティの店長を務める。
ヒマワインHima_wine ワイン大好きワインブロガー。ブログ「ヒマだしワインのむ。」運営
https://himawine.hatenablog.com/
YouTube「Nagiさんと、ワインについてかんがえる。Channel」共同運営
https://www.youtube.com/@nagi-himawinenu
Twitter:@hima_wine

Magazine

MAY 2024 N°176

2024.3.28 発売

Black&White

白と黒

オンライン書店で購入する