パン野ゆり × 剛力彩芽 対談「私たちの好きなパン」
人気連載「ぶらりパン歩き」でおなじみのパン野ゆりと、彼女の“パン活”仲間でもある女優の剛力彩芽をスペシャルゲストに迎えた夢のパン対談が実現! 2019年訪れた数あるなかから、2人の心に残った珠玉のパンたちを振り返る。
パン野ゆり(以下、パン野)「私たち、パンをきっかけにこの一年くらいで急速に仲良くなったんだよね。お互いパンが大好きだから、おいしいパン屋さんの情報を送り合ったり、パン屋さん巡りしたり。で、一緒にいろんなパンを食べたけど、特に思い出深いのが群馬の高級食パン専門店『なま剛力スタジアム』。ここ、見つけた瞬間に『彩芽だー!!!』って写真を送って一緒に行こうって盛り上がったよね!」 剛力彩芽(以下、剛力)「そうそう。自分と同じ名前のお店に出合うことってなかなかないから、ゆりちゃんに教えてもらったときは本当にテンションが上がった! それで、北千住から群馬まで電車を乗り継いで行ったんだよね」 パン野「彩芽が突然お店に現れたから、『剛力さんがいる!』ってスタッフの方たちが驚いちゃって。スタッフ全員集合の勢いで、温かく出迎えてくれたのもいい思い出だよね」 剛力「スタッフさんやお客さんとお話しできて楽しかったな〜」
パン野「ファンミーティングみたいになってたよね(笑)。『なま剛力スタジアム』は、プレーンの食パン『剛力デラックス』とレーズンが入った『剛力プリンセス』の二種類あって、両方買って帰ったよね」 剛力「そうそう。当日食べるなら生食がおすすめって聞いたから、焼かずに何もつけずに食べたよ。柔らかい口どけとしっとりとした食感がもうおいしくて」 パン野「何もつけなくても充分甘いし、噛めば噛むほどにさらに甘さが増して驚くの。食パンって朝食べるイメージだけど、ここのはおやつとしても食べたいくらい甘いんだよね」 剛力「わかる! わざわざ群馬まで買いに行く価値があると思った」 パン野「最近は高級食パンブームが続いてて、私もいろんな食パンを食べたけど、ここはやっぱり格別。ちなみにもう一つの『剛力プリンセス』はみずみずしいサンマスカットがたっぷり入ってて、その酸味がパンの甘みを引き立てていて、これもおいしいのでおすすめです!」
剛力「フルーツとパンの相性で言えば、『ベルガモット』のフルーツサンドもすごく印象に残ってるなぁ」
パン野「私が『ベルガモット』の記事をこの『ぶらりパン歩き』の連載にアップした数日後に買いに行ってくれたもんね(笑)」
剛力「私、実は生クリームがあまり得意じゃないんだけど、ゆりちゃんの記事に『ホイップ少なめで、あっさりと飽きずに食べられる』って書いてあって、これは食べなきゃ!って思ったの」
パン野「しかも、私はフルーツサンド数種類しか買ってなかったのに、彩芽は全種類制覇してて、さらに驚いた(笑)」
剛力「その日は実家に行く予定があったからみんなに食べてもらおうと思って。この『ベルガモット』って実はパン屋さんじゃなくて、フルーツ専門店なんだよね。だから、フルーツのみずみずしさがほかのフルーツサンドと全然違って感動した!」
パン野「そうそう、オーナーがフルーツコンシェルジュだそうで、フルーツへの並々ならぬ愛を感じるよね」
剛力「フルーツサンドってどうしてもフルーツの水分がまわって、パンがべちゃっとしてるイメージだったんだけど、ここは全然違う。しっかりとフルーツを受けとめてる」
パン野「戸越銀座にある星野ベーカリーの食パンを使ってるんだって。そして、パンとフルーツをつなぐ生クリームがさっぱりとしててそれがちょうどいい。フルーツとパン、それぞれの味わいを堪能できるの」
剛力「私が買いに行ったときは、あまおうとか巨峰もあって、それもすっごくおいしかったよ!」
パン野「フルーツサンドは季節によって旬の味が楽しめるのがいいよね。しかも『ベルガモット』は断面だけじゃなくて、全体的にみっちりフルーツが入っているところもうれしい。手土産に持っていくと喜ばれること間違いなし!」
剛力「『ベルガモット』がある武蔵小山の商店街の雰囲気もすごく好きなんだよね。代々木八幡の『365日』がある辺りもすごく落ち着くなぁ〜」
パン野「その『365日』の杉窪章匡シェフが監修した新店が渋谷の『グリーンサム』だよ」
剛力「へぇ、知らなかった!」
パン野「オープンは2019年の5月で比較的新しめ。ここはコンセプトもすごく面白くて、“ベーカリー、ギャラリー、農園”がキーワードになってるの。店の前の畑で採れたハーブや野菜を使ったパンがあったり、店内にアートを展示したり。ショーケースに並んだパンも何だかアート作品みたいで!」
剛力「それは素敵〜!」
パン野「で、お店のシグネチャー的なパンが、この店名と同じ『グリーンサム』。数字の8みたいな形になってて、店内でオーダーするとその場で半分にカットして、好みのフィリングを挟んでハンバーガーみたいにして食べられるの」
剛力「そのまま食べるとベーグルみたいな感じ?」
パン野「それが新感覚の食感なの! ちょっと食べてみて」
剛力「うわぁ、かなりムチムチしてる!」
パン野「面白い食感だよね。こっちの『オニオン』は、表面はサクサクしてるのにエアリーな口当たり。しかも、パンチのある味がクセになる〜」
剛力「私、甘めのパンより食事系が好きだからこれすごいタイプ!」
パン野「彩芽はもともとエピが好きなんだよね」
剛力「そうそう。どのパン屋さんでもエピがあったら必ず買っちゃう(笑)」
パン野「そういう基準になるパンが一人に一つあるといいと思うんだよね。いろんな店を食べ比べる時の指標にしやすいから。私にとってはバゲットがそうで。そもそも私は小麦粉の粉っぽさがすごく好きで、バゲットは配合がシンプルな分、小麦の風味がダイレクトに伝わるのね。それにあの実直な立ち姿というか、天に向かう一本の柱みたいな立ち姿にロマンを感じるし、焼き目やクープ(切り込み)の立ち方、外側のクラストと内側の食感のコントラストとか好きなポイントがたくさんあって…」
剛力「私もバゲット好き! 一番よく買ってるのは『ル・グルニエ・ア・パン』のバゲットかな」
パン野「私も『ル・グルニエ・ア・パン』は大好き! パリの本店はバゲットコンクールで優勝したこともあるほどの名店で、そのバゲットを日本で食べられるのがうれしいよね。日本では日本人の口に合うように国産小麦を使って、硬くないように作られたバゲットが多いんだけど、ここはフランス産最高級小麦粉を使って、現地の味を再現してる。クープなんて口の中で刺さるくらい硬くて、バキバキバキッて音が聞こえるほどしっかりした歯ごたえ」
剛力「刺さるくらい(笑)。私は恵比寿店の佇まいが好きで、恵比寿に行くと必ず行っちゃう。買った後は焼いたり何もつけずにそのまま食べることが多いけど、ゆりちゃんは?」
パン野「私もそのまま食べることもあるけど、家だったらバルミューダのトースターでリベイクしてるよ」
剛力「バルミューダのトースターは最高だよね! 家で焼きたての食感や風味が味わえる。そういえば、このバゲットのサンドイッチはどこのパン屋さんだろう?」
パン野「清澄白河にある『二階のサンドイッチ』ってところだよ。東京都現代美術館の中にあるの」
剛力「へぇ、美術館の中にパン屋さん!」
パン野「ライ麦パン、カンパーニュ、クロワッサンとかいろんなパンがあって、地下にあるレストランのシェフがそれぞれのパンに合う具材を作ってサンドしてるんだって。しかも、ここは店内が広々としてて天井も高くて、洗練された空間。アートも楽しめるから、彩芽、絶対気にいると思う!」
剛力「行きたい〜!」
パン野「気持ちのいいテラスもあるし、お酒も飲めるよ」
剛力「お酒とパンが楽しめるのは『Blanc』もそうだよね。パンビストロだから食事もしっかり楽しめるし、もちろんパンもおいしいし!」
パン野「カジュアルな雰囲気で賑やかに食べられるのがいいよね。この細長いパンはマスカルポーネとさつまいもが入ってるんだって。こっちのカンパーニュは『クダモノ』っていって、ドライフルーツが6種類も入ってるそう」
剛力「うわぁ、おいしい〜!!」
パン野「私、『Blanc』に初めて来たとき、エピを食べたんだけどそれが衝撃で! とろろ昆布、あおさのりとベーコンを使った和のエピなの」
剛力「なにそれ、気になる! 次、来たとき食べてみたいな。ゆりちゃんは気になってるパンとか、行ってみたいパン屋さんある?」
パン野「三軒茶屋のクロワッサン専門店に行きたいんだよね。最近は高級食パンとかカレーパンとか、専門店が増えてきてるなと思ってて。そうだ、彩芽、エピ専門店作りなよ! 絶対流行るよ!!」
剛力「えええ(笑)。パン作ったことないからなぁ。ゆりちゃん一緒にパン教室行こうよ」
パン野「面白そう! じゃあ、次回はパン教室編をぜひ(笑)!」
今回お邪魔したのは…
Blanc
住所/東京都港区虎ノ門1丁目11−13
TEL/03-6273-3164
営業時間/月〜金 9:00〜
11:30~14:30(L.O.14:00)
18:00~22:45(L.O.22:15)
定休日/土、日、祝(第2、第4土曜は貸切予約のみ営業)
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Photos: Tomo Ishiwatari Text: Mariko Uramoto Edit: Yukiko Shinto