パン野ゆりのぶらりパン歩き これが未来のパン屋さん!?「Green Thumb」 | Numero TOKYO
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パン野ゆりのぶらりパン歩き これが未来のパン屋さん!?「Green Thumb」

美味しいパンを求めて世界中どこまでも! パン愛にあふれたモデル山野ゆり改め“パン野ゆり”が、話題の新店から知る人ぞ知る逸品まで、津々浦々めくるめくパンの世界を独自の視点でお届け。渋谷にオープンした“近未来の都市型ベーカリー”「GREEN THUMB(グリーンサム)」に潜入!

代々木八幡の人気店「365日」の杉窪シェフ監修のベーカリーが5月10日渋谷にオープンした! という朗報を受け、早速足を運んでみました。

その名も“GREEN THUMB”

渋谷・桜ヶ丘の閑静なエリアに突如として現れる、緑が生い茂る気持ちの良い空間。緑とコンクリートを抱き合わせた外観は、パン屋さんというよりアートギャラリーのような洒落た雰囲気。

ギャラリーと書いてあるな…

それもそのはず、グリーンサムはパンとアートと農園の3つをキーワードに展開する新しいパン屋さんの形だとか。記念碑のようなオブジェにもしっかりとそのワードが刻まれていました。

仕掛け人は、中目黒のビーントゥバー・チョコレート専門店「green bean to bar CHOCOLATE」。お店の前の緑一面「麦畑」では、パンに使うハーブやベリーなども育てるほか、店内の一角で絵画や写真などの作品も展示・販売する近未来的都市型ベーカリー!

いざ、お店の中へ

対面式の店内はスクエアの形で、歩きながらぐるりとパンを見渡せるスタイル。大きなライトのフォルムが洗練されたジャポニズムを感じさせるモダンなムード。好きだ。

“パン”というより“作品”!

(余談、不思議な現象が)
1つ上のガラスケースにパンが並ぶ写真に見出しをつけるために打った文字が、「パンたち」ではなく「作品たち」と自然と言葉を選んでいた! お店を構築するさまざまな要素が“パン屋さん”という概念をすっ飛ばした模様。ガラスケースの中に大切に保護されたパンたちはまるでオブジェのような錯覚。要するに作品たち!

なんて可愛らしい♡

「可愛い」とボソッと独り言が出てしまった。
「ナッツ ファーム」や「フルーツ ファーム」など、それぞれが◯◯ファームというネーミングで、味わいも異なる。どれも美味しそうだけど、食べられるお花と聞いて「ガーデン ファーム」に決定。

面白い形の「グリーンサム」

数字の8のような形。店員さんに伺うとオススメのパンだと教えてくれた。え、「お好みの具材で選べるサンド」ってフリップに書いてある。

あ! サンドイッチになる!!!!!

8の形のパンを真ん中で割るんだ!

ということで、セミオーダーサンドイッチにトライ。
まずはパンの種類を選び、本日のフィリングを選び、具材とトッピングを選び、その場でサンドイッチを作ってくれるのだとか。完成形は右のハンバーガーのような形に。

うう!なんだかすごく画期的な気持ち!

そしてこちら、イートインはお店の外のベンチでも可能ですが、近くの系列店のカフェで持ち込みOKというネオなパン屋さんらしいサービスも展開されています。カフェでゆっくりコーヒーを飲みながらこちらのパンを食べるのもグーッド♡

裏手に回ると食パンがズラリ

お店の裏手に回ると食パンがお目見え。角食から山形まで種類も色々です。せっかくなら食パンも食べてみたいので1つをチョイス。

レジ前にはアート作品

パン屋さんを一瞬忘れるトーン。この展示がある事によって街のパン屋さんという概念がグッと斬新なムードに。

入ってすぐ右手には緑にまつわるグッズやアクセサリーなども置いてありました。ここだけ切り取った写真を見るとセレクトショップのようです。

帰宅して 早く食べたい 山形ちゃん

帰宅してすぐに食べようと決めていた食パン、イエローブレッド。オススメの食べ方が帯になりパンに付属してあります。水分量やバター含有量、スライスの枚数まで!
オススメの食べ方等を別紙に記載のパン屋さんが多いですが、気づかずに捨ててしまったりした経験はないでしょうか?これなら必ず目につきそうですね。

クラムが黄色い! パンの内側の色からこのネーミングなのでしょうか。バター含有量の多さがこの色を見てわかります。そして持った時に漂ってくる心地よい甘い良い香り…。

思わず鼻に近づける仕草のまま自然とかぶりついていた自分に驚きます(まだ食べる気持ちじゃなかったのに! クラストだけの香りも嗅ぎたかったし、ゆっくり表面のすだちの考察もしたかったし、写真だってもっと撮りたかった)。

オススメの食べ方通り、リベイクせずにそのまま食べる。

しっとり。ふっくり。
テンピュールのように丁寧にゆっくりと指が沈んでいきます(パンに触れているだけで幸福な気分になってくるよ)。

甘さもあり、食パンらしさもあり、一言で言うとめちゃめちゃ美味しい! キメの細かい丁寧な食感とバターの香り…クラストまでしっかり柔らかく、ちぎって食べたくなるのがわかります。

甘過ぎないので贅沢にサンドイッチにしてみても良さそう。私ならタマゴサンドかなぁ…。ほんのりとしたパンの甘さと、マヨネーズとペッパーで味付けした卵の相性が良さそうだ。

お花のブリオッシュ

時間が経ってしまったのでお花が少し萎んでしまっていますが、お味は絶好調!
こちらのブリオッシュは意外と骨格がしっかりとした印象。小ぶりなサイズですが満足感があります。

ブリオッシュを普段いただくときはおやつ感覚ですが、ぎゅっと詰まったパン生地とほんのりと香るハーブはお魚料理やお食事にも合いそうです♡ 可愛いだけじゃないんだな。

ネオベーグル?な「グリーンサム」

お店の名前にもなっているこちらのパン。
私は初めて伺うお店ではなるべくプレーンなものを食べようと努めているのですが、このカリッカリなチーズとオニオンのビジュアルに惹かれてこちらを購入。

割れるなら 割って食べよう グリーンサム

2つに割ってみた。お店で見たようにサンドイッチにはせずに、まずはパンだけで味わいます。

一口食べると「ん~~ん!!」と謎の声が漏れる…!(誰もいない部屋で一人パンを食べながら呻く奇妙さ)確かに限りなくベーグルに近いが…いや、やはりハッキリと別物。ベーグルとは一線を画している! しっかりとパン、している!

強烈なオニオンとチーズの香りや味が爆発するのだけど、負けずにパンの存在感がしっかりと感じられてお見事です!
そして何よりパンの弾力に魅了され過ぎて咀嚼が積極的になっていく…。こんなに上顎と下顎を動かすのは令和になってから初めてかもしれない。

カリカリに焼けたオニオンとチーズも食感も良いし存在感もあって最高なのですが、全体的にベースのパンの美味しさを引き立てている感じがしました。

そう、あくまでこれ、パンが主役!

パンがこれでもかという程、美味しい!
パン生地がめちゃめちゃ美味しい!

クラムはこんな風♡

何を食べても想像を超えてくる美味しさ…!
パンを通して、しっかりと素材からこだわっているシェフのパン作りへの愛情も伝わってくるよう。

令和時代にオープンした新しいパン屋さん、注目度ナンバーワンです♡!

GREEN THUMB

住所/東京都渋谷区桜丘町28-9
TEL/03-6452-5611
営業時間/8:00〜18:00
URL/greenthumb.tokyo/

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Photos & Text: Yuri Panno

Profile

パン野ゆりYuri Panno パンコーディネーター/パンシェルジュ。日本全国、訪れたベーカリーは数えきれないほど。年に数回は海外へも足を運び、パンを独自の視点で分析。最近では、トークショーや「世田谷パン祭り」でワークショップを開催するなど、活躍の場を広げている。モデル山野ゆりとしては、雑誌や広告、CMなど幅広く活躍中。モデルという職業を活かし、太らないパンとの付き合い方も考案中。

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