Culture / Yonethropology

進化する原宿「ジェンダレス男子」のこれから

編集者、フォトグラファーとして世界中で活躍する米原康正が、東京のガールズカルチャーを読み解く連載企画「tokyo girls ポップな東京文化人類学」。今回は「ジェンダーレス男子」創作者でもある丸本貴司と語り合う、原宿男子たちの未来。

読モでいつづけるという選択肢と
メジャーになって出現した新世代

米原「これからどうなっていくの? 『egg』のとき、プロじゃなくて街の人気者に注目が集まるってことは読めていた。でもその先が見えてなかったんだよね。いまはSNSがあるから、キッズからしたら、大人を全く介さなくても経済が回る世の中になってきている。そんな世界での僕たち大人の役割って何だろうって…ずっと考えてる。でもさ、ようぢくんとか士門くんたちが第一世代だとすると、第二世代がすごく育ってきているように見えるんだよね。今回の「CHEKI-SHA(チェキ写)」にも出ているけど、時人とか気になるな。純粋なジェンダーレス男子の傾向から、ヤンキーの要素が入ってきてるのも気になるな」

写真/時人
Twitter @s_23cm より

丸本「間口をすごく広げています。例えば、メジャーを通ってきた人がこちら側に来たときにどうなるか。時人とか中島健がそうです。彼らは元々、ヤンキーなんですよ。地方のヤンキーカルチャーを通った男の子たちに読モのフィルターがかかると、ちょっとカワイイ男の子になるんですよね。彼らも地元にずっといったら、本当のヤンキーになっていたと思うんですけど(笑)。時人とは、ほりえりくっていうメンバーのイベントに呼ばれて東京から大阪にようぢと行ったときに初対面したんですけど、どこの輩かと(笑)。でもね、なんかいいなと思って」

米原「入れてみて、反響はどうだったの?」

丸本「元々いたメンバーの中には『あいつが入るなら嫌だ』っていう意見が多かったり、辞めるって言い出す人もいて大変でした。当時のフォロワーからも『時人くんはイメージと違う』ってすごい言われてたんですけど、1年経って、いまやエース。時人自身も変わったし、読モBGも変わったんだなって。入れてみると化学反応が起こる」

米原「LOOPっていうイベントでの時人くんのMCは印象的だった。これまでの『ジェンダーレス男子』たちと違う、男らしいトークをする新世代だよね」

丸本「時人は本当はめちゃくちゃナイーヴだけど、怯まないし、体育会系で男らしさがありますね。ガールズアワードとかでかいイベントでる前とか、実はすごくナーバスになる一面もあって実はすごくハートが弱いんですけど、舞台に出るとオラオラ系で煽れる新しいタイプですね」

米原「読モっていうジャンル自体がメジャーになったっていうのを感じる。田舎のヤンキーとかってメジャーが好きでしょう。読モがメジャーにおし上がったことで、初期の子たちとは違うフィールドまで浸透してきている。アイドル全盛期にマイルドヤンキーたちが地下アイドルを目指しはじめたみたいな、秋葉原と原宿渋谷がごちゃまぜになった状況が読モ界、それも男子で起こってるのかもしれない。渋谷と原宿の差って、メジャー観と思うんだ。インディーズが心地よい人たちが集まる原宿と、メジャーに心地よさを感じる渋谷って分かれていたのが、ミックスされている。街がクロスオーバーしたとき、原宿っぽい格好がもはやメジャーになったんだね」

丸本「ようぢなんて米さんにもタメ語でしたが、新しい子たちはみんな敬語も使えますからね(笑)。『mens egg』とかがなくなって登場する場所がなくなったことも後押しして、読モカルチャーがメジャーまで届くようになったのかもしれません」

U20の世界で、今一番熱いSNS
ミックスチャンネル 通称「ミクチャ」

米原「うまいことシステムを作り始めてるね。テニミュ(ミュージカル『テニスの王子様』)くらいを目指してほしいな」

丸本「テニミュに比べたらまだ規模が全然小さいですけど、こんどうようぢと大倉士門、藤田富が卒業したこれからは大切ですね。時人みたいな新世代を見ていると、僕たちは時代とともに変わりながら進化するんだろうなって」

米原「次はどんなところにチャレンジするつもり?」

丸本「いま気になっているのは『ぴーかっぱあっぷる』っていう男女3人組や、『りかりこ』というユニットとか動画配信している若い子たち。読モBGにも『サンコイチ』っていう3人組がいるんですけど、このメンバーの良さってSNSの中でも文字と写真ではあんまり伝わらなくて、動画を活用して人気になった例なんです。中高校生特有の場の楽しさをとじ込めたような動画。それらをテレビとかマスメディアに頼らずSNSで配信していく。大人たちはTwitterからインスタ、スナップチャットに流れていますが、下の世代はいま、ミクチャ(ミックスチャンネル)とYoutubeです。日本に特定すると、僕はミクチャばかりチェックしています。撮影から編集まで自分たちで出来る仕組みになっているから大人の知らない世界がどんどん広がってコンテンツになっていっていますよ」

米原「SNSでコミュニティが出来上がったとき、そこに参入しようとする大人を排除する動きがすごいんだよね。ミクチャとか、センスいい子たちがたくさん集まっているのに」

丸本「ミクチャからはすでにスターがいっぱい生まれていますね。『まこみな』が火付け役になった双子ダンスとかって新しいカルチャーですよね。『ぴーかっぱあっぷる』『りかりこ』とかは、読モ文化よりも下の下の世代。その子たちが2年後にどうなっているかを見たい。2年前に企画会議で『まこみな』のダンスがやばい!って発言したら、やばいのはお前だよロリコン!って返されましたが(笑)、今となってはメジャーですからね。さらにその下の世代、ここは大きくなると思ってます。見た目だけの美男美女とかでは計れない人気者がステージに出て歩いたとき、同世代たちがわーっと盛り上がって、周りの大人たちがポカーンとする、その様子を見る楽しさが僕のモチベーションです(笑)」

米原「それはすごくわかる。同世代さえ分かればいいことって、大人に説明するのは面倒くさい。それでいいんだもんね。大人が開拓していくのは、彼らの新しい遊び場の提示なのかな。あと、大人たちも発信型になっていかないとね。丸本くんはアーティストグループも抱えているでしょう。イベントもさらに大きくしていくの?」

丸本「LOOPっていうイベントを代々木第二体育館で2年連続でやっているんですけど、そのキャパを抜けるところまではいきたいですね。やっぱり、武道館ですか」

米原「高校生ラップ選手権みたいにね。アイドルにも3000人の壁ってあってそこまでは何とかなったりするんだけど、そこを超えた武道館だと一気に9000人」

丸本「身近なところでいうと『サイサイ(Silent Siren)』が武道館にいったことがいい例かなって。『セカオワ(SEKAI NO OWARI)』のときは、『あ、メジャーに進んでる』って道が見えていたんですけど『サイサイ』って気づいたら武道館」

米原「そのまま大きくなるって理想的だけど、インディーズとメジャーの境界線ってすごく難しいよね。インディーズのまま大きくなるっていう仕組みを、ぜひ作ってもらいたいって思ってるよ。クリエイティブな部分を残したままね!」

丸本「士門が読モの肩書きを外さないって決めてくれたことも、ある種そういうことなのかな。今年は『XOX(キスハグキス)』というグループのZepp ダイバーシティでのライブがあるので、まずはそこから挑戦かなと!」

「チェキ写」 DOKUMO BOYS&GIRLS ✕ 米原康正 写真展

Intervier&Edit:Yukiko Shinmura

Profile

米原康正(Yasumasa Yonehara)編集者、クリエイティブディレクター、フォトグラファー、DJ。世界で唯一チェキをメイン機材とするアーティストとして、雑誌、CD ジャケット、ファッションカタログ等で幅広く活躍。中華圏での人気が高く、中国版 Twitter である「新浪微博(weibo)」でも膨大な数のフォロワーを有し、シューティングと DJ をセットにしたイベントでアジアを賑わせている。世界のストリート・シーンで注目される、ジャパニーズ・カルチャーを作品だけでなく自身の言葉で語れる日本人アーティストの一人。
丸本貴司(Takashi Marumoto)読モBOYS&GIRLS(通称 読モBG)代表(@dokumoboysgirls)、WEGO PR。編集アルバイトを経て『BiDaN』『B-st.』の編集者としてスタート。『男のモテ髪カタログ』編集長を務めた後、ウェブマガジン「読モマガジン」を立ち上げる。2011年11月からWEGO所属。「ジェンダーレス男子」をひとつの現象として捉え、一冊にまとめた書籍『ジェンダーレス男子』発売中。ファッションチームFLASH、イベント『LOOP』プロデュースも手がける。

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