藤原ヒロシが語る「コラボの歴史は裏原の歴史にあり」 | Numero TOKYO
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藤原ヒロシが語る「コラボの歴史は裏原の歴史にあり」

数々のブランドとのコラボレーションを展開し、その度にファンを熱狂させてきた、藤原ヒロシ。世界中からコラボのオファーが絶えない彼に聞いた、その原点とは?(「ヌメロ・トウキョウ」2018年7・8月合併号掲載)

コラボレーションは裏原文化が育てたカルチャー

──数あるコラボの中でもいちばん最初に手がけたものは?

「1995年に、グッドイナフ(Goodenough/スケートシングらとスタートしたブランド)で吉田カバンのポーター(Porter)にDJバッグを作ってもらったのが最初です。その頃、自分がポーターをよく使っていたので、好きなブランドに作ってもらえたらいいなというくらいの感覚でした」

──コラボに注目したきっかけは?

「82年にNYのティファニーに行ったら、ロレックスやモンブランが置いてあったんです。なぜだろうと不思議に思っていたら、ティファニー(Tiffany&Co.)が認める一流のブランドにオーダーして、ティファニーの刻印を付けて販売していたものだった。それがすごく印象的だったんです。バッグも自分たちで一から作ってもいいんだけど、すでにいいものがあるんだから、それをアレンジしたらよりいいものができるんじゃないかと」

──これまでに特に印象的だったコラボはありますか?

「97年にオープンしたショップ「レディメイド」かな(99年閉店)。裏原がブームだった頃で、アンダーカバー(Undercover)やアベイシングエイプ(A Bathing Ape)、ネイバーフッド(Neighborhood)などがいいものをたくさん作っていたので、過去のアイテムを再発したり別注したり、そこに僕のエッセンスを加えて商品を作りました。お互いにゼロから作るコラボレーションだと、アンダーカバーのジョニオ(高橋盾)くんとのものづくり。お互いの好きなものを出し合うところから始めるから楽しいですね。サカイ(Sacai)の阿部(千登勢)さんともそう。話し合いながら作っています。ちなみに僕が主宰するフラグメントデザインでは2000年から自社生産をやめたので、それ以降はすべてコラボといえますね」

──コラボする相手に求めるものは? また、心がけていることは?

「今、巷にコラボ商品は多いけど、完全にゼロから作ったものだけでなく、既存のアイテムの別注もコラボといわれる。実は細分化しているのに『コラボ』という言葉だけがメディアでひとり歩きをしている気がします。それに、単に商業的なものより意味のある相手と組むほうが見てるほうも面白い。基本的には自分が欲しいものを作れるか、そして相手にもプラスになるか。ブランドの新たな面が引き出せて、かつそのブランドらしさがキープできればいいですね」

──ここまでコラボが流行した理由をどう考えていますか。

「90年代の裏原のブランドが始めるまで、ファッション業界でブランド同士が一緒にものづくりをすることは世界にも類がなかったんですよ。その一度で二度おいしい感覚をハイブランドも気がついたのかも」

──これからの予定は?

「福岡の『KIYONAGA & Co.』で三原豆腐店の豆腐チョコを売り出します。それから、夏に銀座にオープンする『THE CONVENI』でいくつか。ファッションアイテムだけでなく、懐かしいスナック菓子も予定しています」

代表的なコラボを振り返る

※価格表記のあるもの以外はすべて本人私物。

1995~×Porter

記念すべき初コラボは、グッドイナフとポーターとのダブルネームのDJバッグ(写真)。お気に入りのタンカー(フライトジャケットMA-1がモチーフ)シリーズより。

1999頃~×Supreme

90年代の裏原ブームの頃からつながりのあるシュプリーム(Supreme)。写真は1999年頃にグッドイナフとコラボしたTシャツ。

2002~×Nike


藤原ヒロシと、ナイキのティンカー・ハットフィールド、マーク・パーカーとのプロジェクト「HTM」が2002年にスタート(現在も継続)。写真は、「ナイキ HTM エアウーブンブーツ」(上)と第一弾の「エアフォース1」(下)。

2003~×Undercover

商品ラインナップとして初めてのコラボは2003年秋冬。写真は、その時にフラグメントデザインとアンダーカバーがコラボしたアルファインダストリーズのMA-1ジャケット。アンダーカバーの高橋盾とは1993年よりAFFA(Anarchy Forever Forever Anarchy)としても不定期でアイテムを発表。

2011~×Sacai

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「ザ・パーキング銀座」(2016〜17年)で販売したサカイ(Sacai)とフラグメントデザイン(Fragment Design)がコラボしたパーカ(写真)。初めてのコラボは2011年。

2016&2017×Louis Vuitton

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写真はルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)とフラグメントデザインの第二弾のコラボ(2017年秋冬プレコレクション)より。

2018~×Moncler

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「18年秋冬は最初のコレクションなので、パンクからヒップホップまで、自分が好きだったもの全部を詰め込みました」。コート¥242,000/7 Moncler Fragment Hiroshi Fujiwara(モンクレールジャパン 03-3486-2110)

「7 Moncler Fragment Hiroshi Fujiwara」第一弾アイテムはこちら

田中杏子×藤原ヒロシ対談「原宿カルチャーの“あの頃”と“未来”の話」

Photos:Kohey Kanno(Portrait), Kouki Hayashi(Cutout)Interview&Text:Miho Matsuda Edit:Sayaka Ito

Profile

藤原ヒロシ(Hiroshi Fujiwara)1964年、東京都生まれ。80年代からDJ、90年代以降はミュージシャンとしても活躍。フラグメントデザイン名義のほか、ファッションをはじめ多彩なジャンルのクリエイティブディレクションを展開する。

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