usagi bon ごはん vol.126 鶏のにこごり | Numero TOKYO
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usagi bon ごはん vol.126 鶏のにこごり

アーティスト河原シンスケがプロデュースする「usagi」監修の、レストラン「Univers S.」シェフ今平慎太郎の料理をわが家に。旬の食材や一皿にまつわるエッセイとともに送る、五感で楽しむビューティフードの秘伝レシピ連載「usagi bon ごはん」。第126回は、鶏のにこごり。

鶏のにこごり

クラッシュにしてサラダにかけたり、鶏肉の他に梅干しや茸、刻んだ生姜など自分好みの煮こごりにして楽しんでください。

【材料】 4人分
鶏もも肉 1枚
寒天 1/4本
精進出汁 400ml ※レシピはこちらを参照
日本酒 100ml
醤油 大さじ1
精製していない塩 少々
マスタード 少々

【作り方】
1. 寒天は水につけておく。
2. 鶏もも肉の余分な皮を切り取る。
3. 鍋に精進出汁、日本酒、醤油、鶏肉を入れ、火にかけ沸騰したらアクを取り、鶏肉に竹串がスッと抵抗なく通るようになったら器にあげておく。
4. 寒天は水気を絞ってほぐし、3の煮汁に加えて溶かし、漉しておく。
5. 鶏肉は細かく切り、4の煮汁と合わせ、型やバットに流し冷蔵庫で冷やしかためる。
6. 5を型から取り出し、温めた包丁で食べやすい大きさに切り、マスタードを添える。

キラキラモザイクマジック

フランスでは野菜や豚肉、ハムやゆで卵を固めたアスピック(Aspic)という名のゼラチン料理がある。野菜や肉がモザイクの様で、見た目にもキラキラ綺麗で美味しいオードブルの一品は、少なくはなったけれど近所の惣菜屋でも見つかる定番料理。今では簡易化してゼラチンスープを使って煮て作る人も多い。

煮凝りは、和食では酒肴などのひとつとしてポピュラーで、フグなどの身や皮を細切りにし、酒、醤油、ショウガなどでの煮汁で煮詰め、煮汁ごと冷すとゼリー状の塊になる。

子供の頃は夜の煮付けの鍋に残った魚が、翌日には美味しさを封じ込めたゼリーに縁取られ、不思議に美しい珍しい食べ物と感じられた。あつあつ炊き立てのご飯に乗せると、熱でゼラチンが溶け出し、絶妙に美味しい煮凝り丼が完成するのだ。魚の旨みと出汁や調味料の旨みが冷やすだけで浮き彫りにされ、美味しい品が出来上がるという自然のマジック。

これこそ「残り物には福来たる」である。

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Art Work & Text:Shinsuke Kawahara Photo & Food Direction:Shintaro Imahira Edit:Chiho Inoue

Profile

河原シンスケShinsuke Kawahara 80年代初頭よりパリを拠点に活動するアーティスト/クリエイティブディレクター。エルメス、ルイ・ヴィトンやバカラをはじめ、数々のブランドや雑誌とのコラボレーションでも知られている。(Photo: Keiichi Nitta)
今平慎太郎Shintaro Imahira 1974年、北海道出身。旭川、札幌のホテルで修行を積み、2014年札幌国際芸術祭のガラディナーで河原シンスケと初コラボレーション。17年の「usagi tokyo」立ち上げのため、上京しシェフに就任。19年2月札幌にレストラン「Univers S.(ユニヴェール エス)」をオープン。 Instagram/@univers.s.2019(Photo: Ayako Masunaga)

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