こんにちは。Tokoです。
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先週の暑さとうってかわって昨日から梅雨の寒さ。
日本を思い出す気候。
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フランスのみんなもなんだかメランコリー。
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そんな中、友人から一つの興味深いメッセージが。
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フランスでの私の写真をみた彼女より、応援の言葉とともに質問。
「日本でもひげの物をよくみかけるんだけど、なんで流行ってるのー?」
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問題となったのはこちらの写真。台湾の留学生仲間がプレゼントしてくれた友情の一枚。
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ひげ。
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ふむ。なぜはやっているのか。
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ここ最近、ひげマークこと【MOUSTASHE ムスタッシュ】がフランスで流行っていることは確かです。
日本でも流行っている。とはつゆしらず。
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これは放っておけません!
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フランスでは、BERSHKA が今期の春夏モノとしてムスタッシュマークの商品を展開。
こちらのTシャツ。色違いでそろえたい。
右上が私のゲットしたムスタッシュ。
プチプライスなのに主張があって、一目惚れ。
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ネイルにもこんなアイディアが。
非常にカワイイ!!
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…しかし、ここでトレンドに詳しい方なら言いたくなるはず。
「ひげのアイコンなんて、昔からあったでしょ?」
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と。
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その通りなんです。
それではなぜ今?今回はその謎にせまる番外編!
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ムスタッシュ、と聞いて想像するのはやっぱり、
チャールズ・チャップリン。
ここで、アートとファッションの歴史をおさらい。
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彼が銀幕のスターだったのは
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【アール・デコ Art-Déco】と呼ばれる時代。
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一つ前は【アール・ヌーボー Art-Nouveau】とよばれる草木を使った滑らかな曲線を、
当時の新素材だった鉄やガラスを使って装飾するゴージャスでバブリーな時代。
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「アール・ヌーボー」にピリオドを打つべく登場した
「アール・デコ」は近未来的かつシンプルな造形の時代なのです。
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アール・デコ建築や映画に興味をお持ちの方は、
洋画『グランド・ホテル (1932)』
がおすすめ。
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70万ドルもの巨額を費やし建てられた アール・デコ調 のホテルのセットと
当時の大スターを何人も起用し、主役なしで進む映画の手法「グランド・ホテル形式」のさきがけとなった
芸術界でも映画界でも由緒ある一品なです!
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そして、「アール・デコ」といえば、忘れられないこのお方。
だれもが知っている
COCO CHANEL。
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20’ファッションスタイルのお手本であり、パイオニア。
彼女の作品でアール・デコを知る事も不可能じゃない。
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メイクにも服にも、全てがシャーベットカラー。
お菓子の世界です。
http://www.chanel.com/fashion/13#13-cruise-2012-13-show-chanel-fashion-show-30,0
CHANELのサイトです。SHOWのREVIEWと全LOOK。音量に注意。
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こちらは、2012/2013 CHANEL Collection ヴェルサイユ宮殿にて行われたファッションショー。
華やかさとカワイイのなかに、ココシャネルが求め続けた力強さのあるコレクション。
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働き、自立した女性へのオマージュとして作られた1920年代のファッションスタイルが
ここ数年本当にアツい。
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これはみのがせない! と、
アール・デコ ファッションをさらに知りたい方におすすめなのがこちら。
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『Changeling ーチェンジ・リング (2008)』
1928年のある事件をきっかけに始まるこのストーリー。
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映像内でシングルマザーのクリスティンを演じる、
アンジーこと、アンジェリーナ・ジョリーから20年代ファッションをお勉強する事ができます。
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短髪、帽子に真っ赤なルージュ、
胸や腰のラインを強調しない、ゆるめのローウエストなワンピースに
ストラップ付きの靴
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という【garçon look ギャルソンルック】に身を包んだアンジー。
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クリント・イーストウッド監督の絶妙な映像美と
アンジーの鬼気迫る演技は一見の価値あり。
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と…大分脱線しましたが、原点に立ち返りましょう。
なぜ?なぜ?なぜ
いま、ひげ?
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実はその鍵を握る、アール・デコに欠かせないアーティストがもう一人。
アートやファッションに熱を上げる若者たちの注目を集め、愛されて止まないこの人。
マルセル・デュシャン。
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【マルセル・デュシャン Marcel Duchamp 1887-1968】
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彼、便器にサインして「泉」とタイトルを付けて出展するほどの度胸の持ち主。
アート界ではちょっとした有名人なのですが、
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やってしまった。
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なんとかの有名なあの絵に落書きをしてしまったんですね。
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ひげ。
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その名も『L.H.O.O.Q.』。
フランス語がわかる方ならちょっと赤面してしまうようなタイトル付。
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実はこれ、もう少しまじめなお話しです。
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デュシャンはダヴィンチを深く尊敬していました。尊敬しずぎてしまうくらいに。
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彼をいかにして超えられるのか。むしろ超えることなどできないのではないか。
そこで彼は考えた。
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芸は模倣から。
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そしてもうひとつ。
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モナリザことジョコンドにはどこか【 Masculinマスキュラン】男性的 な部分がある。
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模倣のようであって、世界のだれも考えなかったその転換は、
彼のこれまでの努力と経験が相まって時代のさきがけとなったのでした。
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今ある自分を変えたい!自分らしさを広げていく時代。
ひげ一つで女の子は【Garçon ギャルソン】 男の子に。
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曖昧と転換を基とするデュシャンに惹かれた若者たちのデザインする時代!
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という事で。ようやく結論。
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ひげは現代の「変身したい!」を叶えてくれるアール・デコとの架け橋!
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帽子にネクタイ、ひげにステッキ!
20年代ファッションは、トレンドセッターのなかで隠れたブームを起こしています。