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ほんのり狂気!?なピアノトリオ、H ZETTRIOインタビュー

旬な俳優、女優、アーティストやクリエイターが登場し、「ONとOFF」をテーマに自身のクリエイションについて語る連載「Talks」。vol.46はピアノトリオ、H ZETTRIO(エイチ・ゼットリオ)にインタビュー。

Photos:Yuji Namba Interview&Text:Chieko Koseki Edit:Masumi Sasaki

一度聴いたらアディクト必至。神がかり的な演奏技術、心をつかんで離さないメロディー、そしてファニーなライブパフォーマンスで、老若男女&プロアマ問わずファン増殖中のH ZETTRIO(エイチ・ゼットリオ)。作曲とピアノ担当のH ZETT M(青鼻)、ベースのH ZETT NIRE(赤鼻)とドラムスのH ZETT KOU(銀鼻)の3人からなり、実はCMやBGMなどで1日に1度は彼らの音楽を耳にしているはず。3月7日には待望のニューアルバムがリリース。謎の多い彼らの正体に、今回どこまで近づけるか?

──唯一無二のH ZETTRIO、影響を受けたルーツ的音楽体験は?

H ZETT M(以下M)「4歳からピアノ教室に通っていたのもあるんですけれど、でも、ラジオですかね? 小学校の頃にやっていた進研ゼミの赤ペン先生で、シールを集めると景品がもらえて。それで手に入れたAMのカードラジオを寝る時にずっと聞いていました。それからFMに移ったんですけれど、聴いたことのない音楽がぼんぼん流れてきて、それに刺激を受けたのはありますね」

H ZETT KOU(以下KOU)「ちっちゃい頃は、『スーパーマン』とか、『ジョーズ』とか、映画音楽がすごく好きでした。目で見て、音が同時に入ってきて。逆に、音だけでも壮大な映像が想像できる、そういう音楽」

H ZETT NIRE(以下NIRE)「高校までは音楽は雑多に聞いていたという感じです。ミュージシャンになるとは、まったく思っていなかったので。大学でウッドベースを初めて触った頃から、真面目に楽器をやりだして、ジャズも聴き始めました。ジャズをやっていると知り合いが増えるもので、『一緒に弾いてみっか』という流れの中で、別人的なバンド(注:H ZETTRIOの前身のPE’Z)をやるようになりました」

──どうしてジャズを?

M「ピアノでできるクラシック以外の音楽というと、やっぱりジャズ。ちょっと和音を変えるだけで、響きがすごくかっこよくなることに気付きました。そのあとエレクトーンをやり始めたら、リズムのベースもできるので、ジャズに最適」

ピアノよりも高くジャンプする“無重力奏法”とは?

──“無重力奏法”という言葉が生まれるほど躍動感たっぷりの演奏法が生まれたいきさつは? 

M「弾きながらジャンプしたら面白いかなって。実際、演奏していて、自分もここで跳ねたら気分が盛り上がるなという時に、ここでしようと決めないでジャンプする。すると、カメラマンがちょうどその時、撮ってくれる。もちろん、見ている人が喜んでくれると嬉しいというのも、ありますけど」

──ライブパフォーマンスで、後を向いたまま弾くこともありますよね?

M「あれは意外と簡単でして。手の動きはあんまり変わっていない」

KOU「指の動き、左右逆じゃないの?」

M「あ、左右逆ですね。でも、そこらへんは、うまくやれば。(実際に後を向いて弾くふりをしてみる)あれ? まぁそうですね……。意外と難しいです笑。でもこれは、どれだけ鍵盤に触れてきたかで、その感覚を指が覚えているか、ということだと思います。ここにこの音があるというのは、別に見なくても、左右や上下も関係なく、わかるようになります」

──それは日頃の練習の成果? 1日何時間くらい、弾いていますか? 

M「決まってないですが、2時間くらいしたいな、といつも思っています。特に、真剣に真面目なプレイをしようとする時、ピアノに触れていないと不安になりますね。1日休むと取り戻すのに3日かかるというアスリート的なところもあると思いますし。それに、筋肉も使いますから、やっぱりアスリートみたいなもんですね」

NIRE「練習という点では、ウッドベースの場合、人間ではなくて、楽器の方にありますね。3日鳴らしてやんないと冬眠に入っちゃう。鳴らなくていいや、みたいな。鳴りの上下動は常にしています。スタジオに入って、あまり鳴らないようだと、こちらも考える。無理やり鳴らすか、鳴らない範囲を避けるか。そうやって具合を見ながら付き合うのが、ウッドベースの面白さでもありますね」

──KOUさんはずっと立ってドラムを叩いていますよね?

K「ドラムを始めた頃はちゃんと座って叩いていたんですけれども、H ZETTRIOの音楽が立たせてしまうみたいな感じ。演奏しているうちに、衝動的になんか座っている場合じゃないぞ、みたいな。そのうちに、立ってやった方がうまくいくことが増えてきました。力が抜ける感じとか。確かに、座っている方が両足使えるという点ではいろんなことができるかもしれないですけれど、それ以上に立つと得るものが多い。踊りながら、叩けますしね」


H ZETT M(ピアノ)

記憶した心の動きをもとに、曲が生まれる

──曲はMさんが担当ですが、ヒントはどうやって得ていますか?

M「ヒントはもう、すべてですかね。見るもの、聴くもの、食べるもの、感じるもの、すべて。直接音に変換はしないんですけれども、楽しかったもの、美味しかったものを記憶して、その心の動きが原動力になります」

──最近、そういうことはありました?

M「僕がやっているラジオでも話をしたんですけど、水について調べたら、面白くて。酸性とアルカリ性とあって、どちらかに偏りすぎても調子が悪くなる。やっぱり人間の身体ってバランスなんだなって。エビアンが硬水でミネラル豊富なので、最近飲み始めました。こうやって水のことを話して、テンションが上がると、曲を書くやる気が出てくるというか」

──美味しかったもの、食事の喜びも曲作りにつながる?

M「つながりますね。やっぱりメシというのは重要だなって感じます。口に入れる、体内に入れるわけですから」

NIRE「メシ好きですよ。美味しいもの食べるとテンション上がりますよね。それが高じて、メシ(「MESHI」)って曲が生まれたくらい」

M「今回のアルバムに入っている「MESHI KUTTE YEAH!」には、実は歴史がありまして。いわゆるエピソード3です。前作と前々作に1と2があるんですが、1の時にKOUさんが即興で歌いだしたんですよ。メシがどうのこうのって」

KOU「即興でしゃべってくれって、リクエストがあったんです。その時、メシってフレーズが出てきて。“それだ!”みたいな。メシよりも、かっこいい言葉なんて、あります?」


H ZETT KOU(ドラム)

──3月7日にリリースする1年半ぶり、4作目となるアルバム「Mysterious Superheroes」について教えてください。

M「昨年6カ月連続で配信したシングルと、新たに録音した未発表曲を合わせた12曲に、それぞれ異なるボーナストラック1曲が入った2バージョンがあります。配信は曲を作ったら、すぐにお届けできるメリットがありますね」

KOU「連続配信はちょうどライブツアー中で」

NIRE「ライブで『できたばかりの新曲です』って紹介すると、お客さんも『わぁ』って喜んでくれて。その反応を見て、次の曲を出すことができるし、ツアーは3カ月くらい続くんですけれど、新曲の配信で僕たちも乗ってくるというか、徐々に盛り上がっていくんです。ライブ感というか、曲のイキがいい。それが自分たちには合っているような気がします」

──タイトルの「Mysterious Superheroes」は自分たちのこと?

M「自分たちのこととは、考えていなかったです。新宿歌舞伎町にあるテーマパーク『東京ミステリーサーカス』のテーマソングにH ZETTRIOの曲が起用されまして、その時、“ミステリー”という響きがいいな、曲のタイトルに使いたいな、と。今回、タイトルを付けようとしたとき、ポンと出た言葉が、“ミステリアス・スーパーヒーローズ”なんです」

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H ZETT NIRE(ウッドベース)

──メンバーそれぞれのお気に入りと、ここを聴いてほしいというポイントを。

KOU「2曲目の『What’s Next』。後半、ピアノだけになるところで、木の実をシャカシャカと鳴らしているところがあります。小さい音なんですけれど、聴いていただけたら」

NIRE「『Mysterious Superheroes』はバンドの持ち味がいい感じに出ているんじゃないかな。狂ってるところが。あと、楽器の調子がよくて、気に入っているのは『Fusion in Blue』。この時期、ベースがいい音なんです」

M「1曲目『Mysterious Superheroes』で狂った感じで始まって、12曲目の『MESHI KUTTE YEAH!』で狂った感じで終わるのがいいかな、と思っていまして。聴きどころとしては、12曲目の冒頭の、私の渾身の笑い声“ゥウワッハッハッハーーー!!!”」

NIRE「確かに狂ってる。ここだけ聞いたら、なんだ!?ってなる」

M「もう歯茎から血を流しながら、メシ喰っちゃえ、という感じですね。ウワァァーーー!、もう、ブワァァーーー!! それでも肉食ぅぅって。生肉か、自分の歯茎か、もうわからないぃ、けど喰ぅぅ! みたいな。そういうストーリーです。はい。肉食男子としては」

やっぱり気になる、鼻の色

──ところで……。ずっと気になっていたのですが、高い音楽性と裏腹というか、3人の鼻の色はどうして?

M「鼻に青いインパクトがあればいいなと、衝動的に思い立ちまして。特に意味はなかったんですけれど。僕の場合、目の周りも黒いので、今となっては変身が好きになりました。メイクが大好き。すっぴんだと本当に恥ずかしくて、人前に出られないくらい。街、歩けないくらい笑」

KOU「自分で希望した色というわけではなく、Mさんに誘われて一緒にバンドをやりはじめたら、いつのまにか銀色になっていたというか。あと、子供たちが鼻を見てアハハって笑ってくれるんです。それだけでも、価値はあるかな」

NIRE「といいつつも、実は鼻は塗っているわけではなくて、もともとこの色であるという体(てい)でして」

KOU「普段は鼻を肌色に塗って生活をしているんです笑」

──では、肌色の鼻のオフの時はどんな過ごし方を?

KOU「大自然に触れたり、感じるのが好きです。このあいだのスーパーブルーブラッドムーン、宇宙を感じるって素晴らしいですね。あと、登山も好きです。人がいない山へ行くと、都会がいかにうるさいんだなというのがわかります。耳を休めるというか。それと、パグを飼っているので、犬と遊んでいます」

NIRE「ジョギングですかね、オン、オフとか、関係なく。ツアー中でも旅先で走っています。3月には市民マラソンに参加をする予定。ジョギングしながら音楽は聴かないんですが、音楽のことは考えます。あそこをどう弾こうかな、とか。楽器をもっていない時に、そういうことを考えますね。あとパンを焼くのも趣味です、はい。酵母にモーツァルトを聴かせると、美味しくなるんですよ。ヘビーメタルを聴かせたら、どうなるんだろ」

M「僕は映画ですね。最近はネットでダウンロードして、マイルス・デイビスの自伝的映画『マイルス・アヘッド』を観ました。最後にハービー・ハンコックとロバート・グラスパーが並んでキーボードを弾いていた! 音楽系の映画はとりあえず制覇したいですね。やっぱり、ミュージシャンの生き様が面白いですから」

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──最後に、H ZETTRIOは幅広い年齢層で熱狂的なファンがいますが、そのヒミツは?何か仕込んだりしています?

KOU「根っこは、実はメロディーや、曲のもつパワーがあって、だけれども、わりとテキトーにやっているように見えるところですかね? 鼻に色も付いているし」

──ギャップ萌え? セルフプロデュース的に、意識的にやってる感じはしないですよね?

KOU「実は入念な作戦会議がありまして」

M「みんなで会議して、黒板に“ギャップ萌え”と書いて笑。そんなこたぁ、してない」

NIRE「今回のアルバムもそうですけど、真面目に音楽やっているけれど、内容が狂っている。ギャップですよ」

M「やっぱり狂気のないものは面白くないと思います」

NIRE「それが全面に出ちゃうとこわいので、こっそりの狂気。NEWアルバムにはソフトな曲も入っているので、そこで油断させておいて、最後の曲でやっぱり狂気。歯茎から血を流しながら作った渾身のアルバム、聴いてください」

H ZETTRIOのニューアルバム『Mysterious Superheroes』をチェック

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Profile

H ZETTRIO(エイチ・ゼットリオ)”PE'Z”のヒイズミマサユ機? 椎名林檎が率いた”東京事変”第一期の鍵盤の「H是都M」? 世間の憶測をゆるりと交わすH ZETT Mを軸にした、ピアノトリオ。超人的なピアノプレイと、奥行きとキレほとばしるリズム隊のベースH ZETT NIREとドラムのH ZETT KOUが織りなすサウンドは高度な技術ながら、難しいことは抜きにして、老若男女が笑って踊れる楽しい音楽。http://www.worldapart.co.jp/hzettm/

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