佐藤江梨子インタビュー「クソババアを演じられる女優を目指して」 | Numero TOKYO
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佐藤江梨子インタビュー「クソババアを演じられる女優を目指して」

旬な俳優、女優、アーティストやクリエイターが登場し、「ONとOFF」をテーマに自身のクリエイションについて語る連載「Talks」。vol.39はサトエリこと、女優、佐藤江梨子にインタビュー。

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グラビアアイドルとして絶大な人気を誇り、現在では映画・ドラマ・舞台と幅広い分野で、抜群の存在感を発揮する女優・佐藤江梨子。10月14日公開の映画『リングサイド・ストーリー』では、売れない役者でヒモ同然の恋人・村上ヒデオ(瑛太)を支えながら、ひょんなことから格闘技団体の広報に就職する江ノ島カナコを演じる。そんな彼女に、ダメ男を支えること、またプライベートでの子育てについて話を聞いた。 役者“あるある”満載! 劇中と現実が交錯する瞬間も ──恋人役の瑛太さんとは、何度か共演されてますよね? 「同世代なので、なんどか現場でご一緒しているんですが、ちゃんと共演したのは今回で4回目です。映画『銀色のシーズン』(2008年)では瑛太さんに恋する幼馴染、ダイハツのCM『第3のエコカー』(2011年)では元カノだったので、恋人同士になったのは今回が初めて。しかも、10年以上同棲しているという役柄なので、やっとちゃんと付き合えたなと(笑)、ちょっと嬉しかったです」 ──瑛太さんが演じる「ヒデオ」は、過去に大河ドラマの出演歴がありながら、今は売れない役者でプライドだけは高いというダメ男。かつては同じ劇団員、今は献身的に支える「カナコ」を演じてみてどうでしたか? 「一般的にヒデオはダメ男に見えるかもしれないけれど、私はそんなにダメなヤツだとは思いませんでした。役者って、男女問わずいつ売れるかわからない仕事だし、売れてる俳優さんでも、こういう時期を経験した人もいます。それに同じ劇団にいたけれど、恋人の才能に惚れ込んで裏方に回ることもよくある話ですから。ヒデオはダメな役者さんの典型を詰め込んでいるけれど、どこか愛おしい。こういう人って、周りにもいるなと思わせるキャラクターです」 ──ヒデオがVシネの仕事を蹴ってパチンコ三昧でも、信じて支え続けるカナコに共感できますか? 「彼の才能にも、本人にも惚れ込んだのでしょうね。もう一度大河に出てくれるはず、カンヌ映画祭にも連れていってくれるはずだと信じているんだと思います。私自身は、財布からお金を抜いたり携帯を覗いたりするのはダメですよ。でもカナコはそれを許すくらいだから、相当、惚れてるんでしょうね。それに私だったら役者とは付き合いません。同業者だから、別れたあとに共演したら気まずいので」 ──演じながら現実とリンクするような感覚はあるのでしょうか。 「瑛太さんが来年の大河ドラマ『西郷どん』への出演が決まったときは、勝手に『良かったね、ヒデオ』と嬉しくなりました。瑛太さんご自身は、当たり前なんですけれどカッコいい方なんですよ。今回、ジムで身体を鍛えて日焼けしたりと役作りもされて。あるとき、ロケ現場で若い女性に囲まれたときに、私の後ろにひょこっと隠れたことがあったんですね。もちろん隠れられるわけじゃないんですけど(笑)。それがなんともヒデオらしい仕草で面白かったです」

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Photos:Wataru Fukaya

Interview & Text:Miho Matsuda

Edit:Masumi Sasaki

Profile

佐藤江梨子(Eriko Sato) 1981年12月19日、東京都出身。1999年、高校在学中に「大磯ロングビーチキャンペーンガール」に選出されて芸能界入り。『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』で第29回ヨコハマ映画祭主演女優賞を受賞。『キューティハニー』『口裂け女』『秋深き』『斜陽』『すべては海になる』『その街のこども 劇場版』などに主演。2015年に結婚・出産。その後『嵐の涙〜私たちに明日はある〜』『セシルのもくろみ』などのドラマに出演。映画では本作が復帰作となる。

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