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都築響一氏ROADSIDERS’ weekly220号「ラバー・ソウルふたたび」

都築響一氏が今年の大ゴム祭の記事をロードサイダーズ・ウィークリー220号に載せて下さいました。

会員限定のメルマガなのですが、ゴム祭記事の部分だけ転載させていただいています。デパHに対する愛ある文章、凄く嬉しいです。毎回物凄い情報量のメルマガなのですが、普通に本を買って読むのと同じボリュームで、これを毎週やっている、しかも面白い人たちを発掘し続けるというバイタリティーに頭が下がります。ご興味ある方は是非、これを機にご購読してくださいませ!!

 

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■ 発行責任者:都築響一
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それでは以下、都築さんの記事をお楽しみ下さい!!

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2016/07/20号 Vol.220(1/2)

ロードサイダーズ・ウィークリー220号をお届けします。
今週はラバー・フェティッシュから美少女プラモデルまで、アンダーグラウンドな話題が揃いました! 日本はほんとにおもしろいなあ。
外は暑すぎるし! 涼しい部屋でゆっくり、最後までお付き合いください。


旅のあはれ 29
ディジョンの女

lifestyle ラバー・ソウルふたたび

design 劇的都市・新宿

fashion 捨てられないTシャツ 49
もっさん
40歳男性(自営業)

book 短期集中連載:マニア本の著者に聞く vol.1
「我々は如何にして美少女のパンツをプラモの金型に彫りこんできたか」――廣田恵介とセンチメンタル・プラモ・ロマンス

告知1

EX大衆IDOL STYLE、アキシブproject

告知2

『神は局部に宿る』特別イベント追加!

 

 

lifestyle ラバー・ソウルふたたび

毎年5月6日の「ゴムの日」にあわせて開催される、デパートメントH『大ゴム祭』。言わずと知れた日本でいちばん古くて、いちばん大規模でフレンドリーなフェティッシュ・パーティの、いちばん人気のイベントのひとつだ。本メルマガでも2012年5月9日号2013年5月8日号と紹介してきたが、ここ2年ほどは開催日に東京にいられなくて取材断念。なので今年のゴム祭(6月4日開催)をまたここで報告できて、ほんとうにうれしい。ちなみにデパHの「大ゴム祭」は今年がすでに7年目。デパH自体、すでに20年以上続いているパーティである。オーガナイザーのゴッホ今泉さんをはじめとする、デパHクルーの献身的な努力には、つくづく頭が下がる。 

デパートメントH 大ゴム祭2016、6月4日
デパートメントHのマスター・オブ・セレモニー、ゴッホ今泉さん
フェティッシュのイベントというと、イギリスで1990年にスタートした『Torture Garden』がなんといっても有名だが、ゴリゴリの変態さんが集結するハードコア志向のイベントと異なり、デパHはハード派からソフト派、初心者、さらには「自分はぜんぜん変態じゃないけど、変態さんの写真を撮りたい」中年カメコ(カメラ小僧)まで、幅広く門戸を開放しているのがユニーク。 
全身ピアスに革ビキニパンツの男がのし歩いてるかと思えば、ラバーの看護婦コスで写メ撮りあってる女の子たちがいたり、手づくりニューハーフ雑誌やDVD売ってるブースの、すぐ先の階段脇では「変態です」と書いたボール紙を首からぶら下げた男がいたり。そういう、ゴッホさんの作品そのままの明るくてポップで、フレンドリーでウェルカムな雰囲気が、これほどマイナーな分野に生きるひとたちを、これほど長いあいだ惹きつけてきたのだろう。
(2013年の記事より) 

フロアをコントロールするマダム(マドモワゼル?)たちの紹介から、ミッドナイト・パーティが始まる
今年のデパHゴム祭も、恒例の全国から集結した「ラバリスト」たちのお披露目、海外公演で大成功を収めたラバー工房・池袋KURAGEのファッションショー、そして今年の目玉はやはり本メルマガでも以前紹介したラバー・アーティスト・サエボーグの大がかりな新作『Pigpen』(豚小屋)。10月に予定されている個展の、これが初の先行パフォーマンスになった。「巨大な母豚から子豚たちが産まれてくる」というテーマで展開する、もともとはグランドキャバレーだった東京キネマ倶楽部の舞台が満杯になるほどの、それは途方もないスケールの力作だった。 
ステージいっぱいに横たわる、空気で膨らませられた母豚。カナダから来日したコンピュータ・ミュージックの大家カール・ストーンが、ライブで演奏する不吉な背景音が低く響く中、母豚の局部から黄色の、ピンクの、黒色の子豚までが次々と産み落とされ、ひくつきながら母豚の乳首を求め、奪い合う。子豚たちの中に入ったパフォーマーそれぞれの達者な演技にも助けられながら、それはひどく滑稽な場面でありつつ、同時にマザー・エイリアンがエッグを産み続ける、あの映画のシーンのように不気味な情景でもあった。 


最後に農夫が出てきて、子豚たちを追い払う

 

saeborg 2016 Pigpen

サエボーグ個展『Pigpen』
10月7~23日@六本木森ビル3F ADギャラリー 

 

デパートメントHの、そしてゴム祭の主役はもちろんステージ上のラバリストたちだが、写真をご覧いただければわかるように、ステージのかぶりつきに群がるカメコたちもまた、もうひとりの主役と言っていいほど、重要な役割を果たしている。開場数時間前から列を作り、入場するやいなやダッシュで好位置を確保。あとはお目当てのパフォーマンスが終わるまでポジションを死守しながら、ひたすらシャッターを押し続ける。 
おそらく、自身のブログぐらいしか発表の場はないだろうし、それすらもしないまま何年もデパHに通い続け、自分だけのアルバムを膨れあがらせ続ける、たくさんのカメコたちがいる。彼らが至近距離で浴びせるノンストップのシャッター音と、ストロボ光のシャワー。それがステージ上のパフォーマーたちを支え、煽り、鼓舞し、欲情すらさせるのだろう。デパHの舞台とは、そのような交感の場でもある。そこにはプロフェッショナルな演技者の舞台を、客席に座って「鑑賞」するのとは決定的にちがう、エレクトリックな空気感が満ちているのだった。 


ステージに全員集合のフィナーレのあと、ふたたびひとりずつ観客の歓呼に応えるラバリストたち

 


ラバリストウォーク動画


Kurage@DEPARTMENT-H 2016動画

次回のデパートメントHはいつものように第一土曜日の7月2日開催。「鞭パフォーマー」のダミアンナオミ、キャットファイトの中野貴雄など、たくさんの明るい変態パフォーマンスが繰り広げられる予定。フロアに設けられたグッズ紹介・販売ブースも楽しいので、「デパHは久しぶり」という古参ファンも、「聞いたことあるけど怖そうで」という初心者も、ふるってご参加いただきたい。こんなにフレンドリーでオープンなフェティッシュ・パーティって、たぶん世界のどこにもないはずだから。 

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次回のデパートメントH, 8月6日(土)深夜12:00~
@鶯谷東京キネマ倶楽部

デパートメントH 公式ブログ:http://ameblo.jp/department-h/


スタッフより

デパートメントHでパフォーマンスを行っているアーティストのサエボーグさんは、本メルマガでも何度も登場していただいています。サエボーグさんを取り上げた記事をピックアップしておきます!interview
突撃! 隣の変態さん 2 サエボーグ(2012年06月20日 配信号)
http://www.roadsiders.com/backnumbers/article.php?a_id=72

art
芸術はいまも爆発しているか――岡本太郎現代芸術賞展(2014年02月26日 配信号)
http://www.roadsiders.com/backnumbers/article.php?a_id=390

art
ラバーの炎にくるまれて(2015年06月10日 配信号)
http://www.roadsiders.com/backnumbers/article.php?a_id=649

Profile

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サエボーグ(saeborg)はラテックス製の着ぐるみ(スーツ)を自作し、自ら装着するパフォーマンスを展開するアーティストです。これまでの全作品は、東京のフェティッシュパーティー「Department-H」で初演された後、国内外の国際展や美術館で発表されている。2014年に岡本太郎現代芸術賞にて岡本敏子賞を受賞。主な展覧会に『六本⽊アートナイト2016』(A/Dgallery、東京、2016)、『TAG: Proposals on Queer Play and the Ways Forward』(ICA/ペンシルバニア大学、アメリカ、2018) 、『第6回アテネ・ビエンナーレ』(Banakeios Library、ギリシャ、2018)、『DARK MOFO』(Avalon Theatre/MONA 、オーストラリア、2019)、 『あいちトリエンナーレ』(愛知芸術劇場、名古屋、2019)、 『Slaughterhouse17』(Match Gallery/MGML、 スロベニア、2019 )など。

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