都築響一氏が今年の大ゴム祭の記事をロードサイダーズ・ウィークリー220号に載せて下さいました。
会員限定のメルマガなのですが、ゴム祭記事の部分だけ転載させていただいています。デパHに対する愛ある文章、凄く嬉しいです。毎回物凄い情報量のメルマガなのですが、普通に本を買って読むのと同じボリュームで、これを毎週やっている、しかも面白い人たちを発掘し続けるというバイタリティーに頭が下がります。ご興味ある方は是非、これを機にご購読してくださいませ!!
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それでは以下、都築さんの記事をお楽しみ下さい!! |
2016/07/20号 Vol.220(1/2)ロードサイダーズ・ウィークリー220号をお届けします。 |
旅のあはれ 29
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lifestyle ラバー・ソウルふたたび |
毎年5月6日の「ゴムの日」にあわせて開催される、デパートメントH『大ゴム祭』。言わずと知れた日本でいちばん古くて、いちばん大規模でフレンドリーなフェティッシュ・パーティの、いちばん人気のイベントのひとつだ。本メルマガでも2012年5月9日号、2013年5月8日号と紹介してきたが、ここ2年ほどは開催日に東京にいられなくて取材断念。なので今年のゴム祭(6月4日開催)をまたここで報告できて、ほんとうにうれしい。ちなみにデパHの「大ゴム祭」は今年がすでに7年目。デパH自体、すでに20年以上続いているパーティである。オーガナイザーのゴッホ今泉さんをはじめとする、デパHクルーの献身的な努力には、つくづく頭が下がる。 |
デパートメントH 大ゴム祭2016、6月4日 デパートメントHのマスター・オブ・セレモニー、ゴッホ今泉さん |
フェティッシュのイベントというと、イギリスで1990年にスタートした『Torture Garden』がなんといっても有名だが、ゴリゴリの変態さんが集結するハードコア志向のイベントと異なり、デパHはハード派からソフト派、初心者、さらには「自分はぜんぜん変態じゃないけど、変態さんの写真を撮りたい」中年カメコ(カメラ小僧)まで、幅広く門戸を開放しているのがユニーク。 |
全身ピアスに革ビキニパンツの男がのし歩いてるかと思えば、ラバーの看護婦コスで写メ撮りあってる女の子たちがいたり、手づくりニューハーフ雑誌やDVD売ってるブースの、すぐ先の階段脇では「変態です」と書いたボール紙を首からぶら下げた男がいたり。そういう、ゴッホさんの作品そのままの明るくてポップで、フレンドリーでウェルカムな雰囲気が、これほどマイナーな分野に生きるひとたちを、これほど長いあいだ惹きつけてきたのだろう。 (2013年の記事より) |
フロアをコントロールするマダム(マドモワゼル?)たちの紹介から、ミッドナイト・パーティが始まる |
今年のデパHゴム祭も、恒例の全国から集結した「ラバリスト」たちのお披露目、海外公演で大成功を収めたラバー工房・池袋KURAGEのファッションショー、そして今年の目玉はやはり本メルマガでも以前紹介したラバー・アーティスト・サエボーグの大がかりな新作『Pigpen』(豚小屋)。10月に予定されている個展の、これが初の先行パフォーマンスになった。「巨大な母豚から子豚たちが産まれてくる」というテーマで展開する、もともとはグランドキャバレーだった東京キネマ倶楽部の舞台が満杯になるほどの、それは途方もないスケールの力作だった。 |
ステージいっぱいに横たわる、空気で膨らませられた母豚。カナダから来日したコンピュータ・ミュージックの大家カール・ストーンが、ライブで演奏する不吉な背景音が低く響く中、母豚の局部から黄色の、ピンクの、黒色の子豚までが次々と産み落とされ、ひくつきながら母豚の乳首を求め、奪い合う。子豚たちの中に入ったパフォーマーそれぞれの達者な演技にも助けられながら、それはひどく滑稽な場面でありつつ、同時にマザー・エイリアンがエッグを産み続ける、あの映画のシーンのように不気味な情景でもあった。 |
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サエボーグ個展『Pigpen』 10月7~23日@六本木森ビル3F ADギャラリー
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デパートメントHの、そしてゴム祭の主役はもちろんステージ上のラバリストたちだが、写真をご覧いただければわかるように、ステージのかぶりつきに群がるカメコたちもまた、もうひとりの主役と言っていいほど、重要な役割を果たしている。開場数時間前から列を作り、入場するやいなやダッシュで好位置を確保。あとはお目当てのパフォーマンスが終わるまでポジションを死守しながら、ひたすらシャッターを押し続ける。 |
おそらく、自身のブログぐらいしか発表の場はないだろうし、それすらもしないまま何年もデパHに通い続け、自分だけのアルバムを膨れあがらせ続ける、たくさんのカメコたちがいる。彼らが至近距離で浴びせるノンストップのシャッター音と、ストロボ光のシャワー。それがステージ上のパフォーマーたちを支え、煽り、鼓舞し、欲情すらさせるのだろう。デパHの舞台とは、そのような交感の場でもある。そこにはプロフェッショナルな演技者の舞台を、客席に座って「鑑賞」するのとは決定的にちがう、エレクトリックな空気感が満ちているのだった。 |
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次回のデパートメントHはいつものように第一土曜日の7月2日開催。「鞭パフォーマー」のダミアンナオミ、キャットファイトの中野貴雄など、たくさんの明るい変態パフォーマンスが繰り広げられる予定。フロアに設けられたグッズ紹介・販売ブースも楽しいので、「デパHは久しぶり」という古参ファンも、「聞いたことあるけど怖そうで」という初心者も、ふるってご参加いただきたい。こんなにフレンドリーでオープンなフェティッシュ・パーティって、たぶん世界のどこにもないはずだから。 |
次回のデパートメントH, 8月6日(土)深夜12:00~
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