展覧会をつくる「梅津庸一|エキシビション メーカー」@ワタリウム美術館 | Numero TOKYO
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展覧会をつくる「梅津庸一|エキシビション メーカー」@ワタリウム美術館

梅津庸一『夢の転写』2024年
梅津庸一『夢の転写』2024年

東京・神宮前のワタリウム美術館で、「梅津庸一|エキシビション メーカー」が開催されている。美術家の梅津庸一が、ワタリウム美術館では(ほぼ)未公開の収蔵作品と、現在活躍中のゲスト作家たちの作品から構成し、展覧会をつくる。2024年8月4日(日)まで。

タイトルの「エキシビション メーカー」は、1990年のワタリウム美術館オープン時に初の美術展をキュレートしたハラルド・ゼーマンが、「展覧会を作る人」として「エキシビション メーカー」を用いたことにも関係しているという。当時は「キュレーター」という言葉は世界でも一般的ではなかった。

ホルスト・ヤンセン『自画像ーフロッグランドへ』版画集『フロッグランド』より 1972年 
ホルスト・ヤンセン『自画像ーフロッグランドへ』版画集『フロッグランド』より 1972年 

本展は、ワタリウムの前身であるギャルリー・ワタリ時代に、初代館長の和多利志津子によって集められた収蔵作品と、新たに招かれた作家による作品を展示。美術家の梅津庸一が、自身を含む44名の作家の作品から構成する。

パウル・ヴンダーリッヒ『足のある魚』1973年
パウル・ヴンダーリッヒ『足のある魚』1973年

アリギエロ・ボエッティ『ヒコーキ』1981年
アリギエロ・ボエッティ『ヒコーキ』1981年

これまで、ワタリウム美術館で梅津は、2017年、主宰するパープルームとのグループ展「恋せよ乙女! パープルーム大学と梅津庸一の構想画」に参加、2021年には個展「梅津庸一展|ポリネーター」(※1)を開催している。なお、ここでの「ポリネーター」は花粉媒介者の意味を持っていた。

(※1)参考記事:『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』2021年12月号掲載  現代美術家の岡田裕子がレポート!「梅津庸一展|ポリネーター」

本展のステイトメントで、梅津は「ワタリウム美術館にはいつも制度化される以前のアートの気配が漂っている。それは「未然のアート」と言い換えることもできるだろう。」と寄せている。

高松ヨク『月のクルーズ』2015年
高松ヨク『月のクルーズ』2015年

これまで、境界を超えたり揺らがすようなアーティストたちを多く紹介してきたワタリウム美術館。そこで梅津庸一に見出され、展示され、並べられた作品、解説の言葉、空間の全て。会期中は再入場できるパスポート制チケットなので、ゆっくりと訪れてほしい。

息継ぎ『彼方に触れることができないことをいちばんに知りたくて』2023年
息継ぎ『彼方に触れることができないことをいちばんに知りたくて』2023年

ちなみに、本展が始まった5月12日までは、東京・上野の国立西洋美術館「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?——国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ」に参加していた。そして6月4日からは大阪の国立国際美術館での「梅津庸一 クリスタルパレス」が控えている。さまざまな場所で続く展覧会も、ぜひ追ってほしい。

*作品は参考写真です。実際の展示とは異なる場合があります。

梅津庸一|エキシビション メーカー
会期/2024年5月12日(日)〜8月4日(日)
会場/ワタリウム美術館 
住所/東京都渋谷区神宮前3-7-6
TEL/03-3402-3001
時間/11:00〜19:00 休館日/月曜日(7月15日は開館)
入館料/大人 1,500円、学生(25歳以下)1,300円
*会期中何度でも入場できるパスポート制チケット。
URL/www.watarium.co.jp
*詳細は上記サイトを参照ください。

Text:Hiromi Mikuni

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