全人類を魅了する、奥深き食の世界[後編]/菊地成孔×伊藤俊治 対談連載 vol.19 | Numero TOKYO - Part 2
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全人類を魅了する、奥深き食の世界[後編]/菊地成孔×伊藤俊治 対談連載 vol.19

菊地成孔×伊藤俊治 対談連載 vol.19
菊地成孔×伊藤俊治 対談連載 vol.19

菊地成孔×伊藤俊治 対談連載 vol.19
菊地成孔×伊藤俊治 対談連載 vol.19

『毛沢東の赤ワイン 電脳建築家、世界を食べる』
坂村健著(角川書店)
I「日本人が日常的に牛肉を食べるようになって、たかだか百年くらいですからね。胃がもたれても仕方ない(笑)」
K「A5(牛肉の最上ランク)の霜降り肉信仰があるものの、80年代には『牛銀』や『ぎゅうや』で一流のすき焼きを食べてももたれるだけ、という健康思考のスノッブな意見はすでにありましたからね。でも、どうやら最近またA5がきているんですよね」
I「食べたがるのは肉食系の若い女性でしょう?」
K「そうでしょうね。高ければいいというものでもなく、加齢で霜降りは受け付けなくなっていきますから(笑)。高いといえば、三つ星レストランの検証がきちんとなされていないのが気になっています。僕はあまりブログを読まないんだけど、3つだけチェックしていて、『Rookie』、『ヴィヴィアンの音楽ヲタブロ』、そして『友里征耶の行っていい店、わるい店』なんです。この人はヤバくて(笑)。経営者で接待費が落とせるのもあるのか、ミシュラン受星店ばかりを自腹で訪問して毒舌を吐くというすさまじい男で、著作もいくつかあります。高いんだから何かあれば文句を言われても仕方ないだろう、という態度なんです。B級のものにウマい、マズいと言ったって詮無いですし。これぞブログの醍醐味として、面白く読んでいます。それから、今日持ってきた『毛沢東の赤ワイン』、この本の著者で科学者の坂村健さんには会ってみたいですね。東南アジアから北東アジアまで、ワインの定着について豊富な写真を添えて書かれた本です。料理文化論であり、エキゾチック料理本であり、彼が特に注目しているのが中国のワイン事情です」
I「いま、上海や北京、そして台北などでワイン消費量が上がっているんですよね」
K「彼が書いていて、僕も実感しているのは、アジア全域でいちばん進んでいる日本のワインは、30年くらい前からある速度で進歩してきたのに対し、後進の韓国はすでに日本の5倍、中国は10倍作っているそうです。これはマンガ『神の雫』の影響らしいですが(笑)。そして中国は、ボルドーやロマネをほとんど買い占めています。これは都市伝説ですが、中国大陸の中にブルゴーニュやボルドーと日照条件、土や水の条件がまったく一緒の土地が複数あり、それらを同時にぶどう畑として稼働させ、山梨の勝沼とはまったく違う規模でフランスのスーパーコピーワインが中国で作られていくという噂もありますね。ワイン文化も一度は死んだようで、最近は甦っているようです」
【ワインは町おこしの起爆剤!?】

Photo(portrait):Yuji Namba Text:Misho Matsue

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