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テーマパークっていったい何?[前編]/菊地成孔×伊藤俊治 対談連載 vol.15

万博公園にそびえ立つ岡本太郎作のシンボル『太陽の塔』

K「1993年、最初にヘンリー・ダーガーを本格的に紹介した世田谷美術館で、アウトサイダー・アートを取り上げた展覧会が開催されました。その後、アウトサイダー・アートはちょっとしたブームにもなったものの、この展覧会がいちばん規模が大きかったような気がします。パンフレットもすごく分厚くて、あらゆるものが載っていましたが、個人でテーマパークを作っている人が何人かいたのが目につきましたね。日本にも城マニアが高じて自宅の敷地に城を建ててしまった人がいますが、ああいう一種の狂気というか症状というか。欧米の場合はさらに規模がデカいんですよ」
I「テーマパーク・アーティスト(笑)。強烈なテーマを抱えている人はもう、アーティストですからね。それで言うと、70年万博の時に作られた岡本太郎の『太陽の塔』も内部に入ると仮面ミュージアムがあり、『生命の樹』を螺旋で辿らせる。その意味ではテーマパークに近いかもしれません」

世界最大級のゴシック建築で世界遺産でもある「ケルン大聖堂」

K「キリスト教の教会も、見方によってはテーマパークと呼べるかもしれませんし、この先を掘っていくとキリがなさそうですね」
I「確かに。ケルン大聖堂やサグラダ・ファミリアをはじめとする世界遺産の教会も、後からテーマパーク化してしまったとも言えますしね。もしかしたらテーマパークが建てられる場所は、たとえば聖地であったとか、何かしらの因縁がある可能性もありますね。東京ディズニーリゾートは単なる埋め立て地ですが。そういえば、サンリオピューロランドもよくわからない立地ですよね。多摩センターでしょう?」

サンリオの人気キャラクターに出会える
サンリオピューロランド ©SANRIO CO.,LTD.

──当初は倉庫用地として想定されていた、との記述があります。お二人はピューロランドへは?
K「僕はありますよ」
I「僕も子どもと何度か行きましたね。キャラクター全員集合という感じで、とにかくキャラクターがたくさんいるんですよ。もう識別できない(笑)」
K「無理やりトレンドに結びつけるならば、いま世の中にこれほど“ゆるキャラ”が蔓延しているのは、ディズニーランドとピューロランドの影響だと思います(笑)。万博のように世界中からいろいろなものを集めてきて敷地を仕切って並べ、移動遊園地のように曲芸や見世物で楽しませる、テーマパークはどちらの要素も備えている。観念連合的なものですよね、きっと」

後編へ続く
伊藤俊治(いとう・としはる)
1953年秋田県生まれ。美術史家。東京芸術大学先端芸術表現科教授。東京大学大学院修士課程修了(西洋美術史)。美術史、写真史、美術評論、メディア論などを中軸にしつつ、建築デザインから身体表現まで、19世紀~20世紀文化全般にわたって評論活動を展開。展覧会のディレクション、美術館構想、都市計画なども行う。主な著書に、『裸体の森へ』『20世紀写真史』(筑摩書房)、『20世紀イメージ考古学』(朝日新聞社)、『バリ島芸術をつくった男』(平凡社)、『唐草抄』(牛若丸)などがある。
菊地成孔(きくち・なるよし)
1963年千葉県生まれ。音楽家、文筆家、音楽講師。85年音楽家としてデビュー以来、ジャズを基本に、ジャンル横断的な音楽活動、執筆活動を幅広く展開。批評家としての主な対象は、映画、音楽、料理、服飾、格闘技。代表的な音楽作品に『デギュスタシオン・ア・ジャズ』『南米のエリザベス・テイラー』『CURE JAZZ』、『ニューヨーク・ヘルソニック・バレエ』などがある。近著に、『あなたの前の彼女だって、むかしはヒョードルだのミルコだの言っていた筈だ』『時事ネタ嫌い』『ユングのサウンドトラック』など。映画美学校・音楽美学講座、国立音楽大学非常勤講師として教鞭もとる。www.kikuchinaruyoshi.net/

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