戦前と戦後でエンターテインメントはこんなに違う[後編]/菊地成孔×伊藤俊治 対談連載 vol.12
K「昔はピアノとボーカルだったんですが、ブラスバンド、スイングガールズとかの影響で管が増えています。みんな僕よりうまい。とにかく、彼女たちは無駄なことをやっていないんですよね。すごプレイをすればするほど、すごい女性のグーパン(チ)が欲しい男子たちが寄ってきます。彼女たちは嫌がりますが、それでも番組にはがきが来て、読んでみると「グーパン(チ)ください」的なことが書いてある。ジャズ界にもついにそういうことが起き始めています」
I「『ドラゴン・タトゥーの女』のノオミ・ラパスが『プロメテウス』に出ていましたが、自分でエリアンを出産してただ一人生き残る、唖然とする怪物女を演じていましたが、ちょっと質の違う強い女性ですよね」
K「フェミニズムの最終段階は、戦争になったときに女性兵が男性兵と一緒に戦うかということが問題。『スターシップ・トゥルーパーズ』という、まさにそういうことを描いている映画もあります。共学みたいな軍隊。女性だけになるとアマゾネス的で、また違った考え方になってしまうから、共学。同じように戦って、同じ基地に帰ってきて、おつかれって言いながら一緒にシャワーを浴びる。そんな、想像であったものが起こりうるっていう。戦後からすでに長い時間がたっていて、言ってみれば、今って、もしかして戦前!?って感じでしょう。あくまで図式的に考えると。女戦士のいる共学軍隊、来るかもしれませんね」
profile