戦前と戦後でエンターテインメントはこんなに違う[後編]/菊地成孔×伊藤俊治 対談連載 vol.12 | Numero TOKYO - Part 4
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戦前と戦後でエンターテインメントはこんなに違う[後編]/菊地成孔×伊藤俊治 対談連載 vol.12

「ファンミ」は戦前の芸能に似ている   I「フィジカル体験の再確認というと、義務教育ではじまった体育のダンスも少しは関係あるかもしれない」   K「東京、地方に限らず、そもそもダンスをやっている人が多いですよね。韓流が一気に流行っていま下降に向かっていますが、それでもすぐには消えないのって、日本にコピーダンスのカルチャーがすごくあるから。韓流アイドルブームに火が付いたのにはこういう背景もあって、少女時代が大流行した10年以降、コピーダンスを教えるダンス教室がたくさんできて。それまで暇を持て余していたダンススクールの先生たちの仕事が急激に増えました。アイドルの曲を流しながら、3、4回に分けて1曲を踊れるようにダンスを教えるというクラスが大人気になりました。このチケットはいまだに売れているといいます。少女時代は日本でのお試し期間を終えて、今年、アメリカの男仕様の楽曲とダンスで全米チャレンジしたけど、失敗に終わりましたね。しかし日本の男性ファンはまだキープされていて、女性ファンはダンススクールに通い続けている。とは言っても、やっぱり韓流は縮小気味ですが」   ──韓流、アイドルブームも下降気味となると、次なるヒットは何でしょうか。   K「アイドルブームに関しては、AKB48がこのまま全部吸収していくんでしょうね。AKB48も失速するかもしれないけど、それでも今一番CDが売れている団体で、圧倒的に売れているのでライバルがいない。自分たちの団体の中でライバルをつくり合っているというところまで来ていますよね」   I「アメリカだと、大ヒットがあると全米に浸透しますよね。そして、その曲は10年たっても50年たっても機能する。60年代から80年代までは日本もそうだった気がします。しかしその後は多様化していて、全世代的に浸透する曲が減ってるんじゃないでしょうか。だから、大ヒットが続かない。そんな時代背景があるのにAKB48のCDがいまだ売れているのは、独特のアイドル戦略なんですか?」   ▶続きを読む/僕も最近「ファンミやろうかな」みたいなこと考えちゃいます

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