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戦前と戦後でエンターテインメントはこんなに違う[後編]/菊地成孔×伊藤俊治 対談連載 vol.12

対談

多彩な肩書きを持ち、音楽、映画、グルメ、ファッション、格闘技などボーダレスな見識を披露するアーティスト菊地成孔と、写真、先端芸術からバリ島文化まで幅広く専門とする、美術史家にして東京芸術大学美術学部教授の伊藤俊治。アカデミックな2人が、世の中のニュースや日常の出来事、氷山のほんの一角の話題をダイナミックに切り崩しディープに展開する、かなり知的な四方山話。

 

Vol.12 戦前と戦後でエンターテインメントはこんなに違う[後編]
ドイツでは若い世代が戦争や東西の壁の記憶を失いつつあり、それが問題視されているという。では日本ではどうなのか? 戦前から戦後、そして現代にかけて移り変わってきた若者カルチャー。映画や芸能を絡めながら日本の戦前と戦後について見つめる。前編はこちら

 

すっぴんの体は未熟? 日常化するタトゥー
 
──若者がストレスを発散する場は今、どこにあるのでしょうか?
 
菊地成孔(以下K)「どこでしょうか。格闘技とか、暴力の媒介種だったものが今は下火ですからね。K-1もなくなったし、プライドも団体ごとない。リアルけんかのパフォーマンスは今もあって、僕も見に行きますし、もちろん観客は入っていますけど、大したムーブメントではありません。テレビで放送されるものではないですから。ネットで出回るかと思いきや、ネットを仕切っているオタクたちはヤンキーを嫌っているのでそこでも扱われないから広がっていきません。というよりも、一重に暴力と言っても、その意味自体が変わってきているように感じます。例えばけんかも、声に出して怒鳴ったり、パンチやキックなど体を使ったりしないで、携帯電話やパソコンに向かって指で入力するじゃないですか。はたからはすごく静かにしているように見えるけど、指先ではありとあらゆる恐ろしい暴言を打っている。暴力の新しい形ですよ。それこそ、この光景を70年代の人が見たら「未来のけんかっていうのは親指でするんだ」と驚くでしょうね。肉体を使わずに暴力を振るい、けんかをする」
 
▶続きを読む/肉体は何のためにあるのか?という目的の再開発

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