『海からの贈物』で自身の女性像を振り返る
発売中の『ヌメロ・トウキョウ(Numero TOKYO)』2019年10月号は、「私より、あなたのために」と題し、“新時代のレディ像”をテーマにファッションからカルチャーまでを特集。
その中の「本&映画で価値観をアップデートしよう」という企画では、いま私たちが知るべきことや考えるべきこととは何か、新しい価値観に触れることができる作品を紹介しています。
このテーマで私が手にしたのは、アン・モロウ・リンドバーグ著の『海からの贈物』。実は、10歳になるかならないかの頃に本屋さんでジャケ買いしたもので、全く内容を覚えておらず……(笑)。大人になったいま読み返すと、彼女の言葉が心にすっと入ってきました。
著者は、大西洋横断飛行の初めての成功者として有名なチャールズ・リンドバーグの夫人で、彼女自身も飛行機を操る女性飛行家のひとり。ただここでは、そういった経歴については一切語られていません。
一人の女性として、彼女自身の人生との対話や他者との関係を、ほら貝、つめた貝、日の出貝、牡蠣、たこぶね……など、海辺に落ちている貝に例えて綴られています。本書で引用されるサン=テグジュペリやリルケらの言葉にも響くものがあります。どの時代でも、どこにいても、女性として、自分自身の起点に戻ることができる、そんな本です。
それぞれが思う自身の“レディ像”に近づけるように…! 本誌の詳しい内容は、ぜひ編集長・田中杏子のエディターズレターをのぞいてみてください。