レディが増えて、愛が増えて、世界に広がれば、平和が訪れるのにな | Numero TOKYO
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レディが増えて、愛が増えて、世界に広がれば、平和が訪れるのにな

『ヌメロ・トウキョウ(Numero TOKYO)』編集長 田中杏子がおくる、2019年10月号に寄せる言葉。

レディとひと言でくくっても、時代や社会背景とともにレディの姿は変化しています。女性の社会進出が当たり前になり、これからもっと活躍の場が増えていきます。そんな新時代のレディ像について考えてみました。

日本人女性は自己評価が低い、と特集内で対談をした佐久間裕美子さんが嘆いていました。どうやら私たちは自身の価値評価を他人基準にしていることが多いようです。どういう人と結婚してどんな生活を送るのか、他人の視線ありきの基準が自己評価の数値につながっているのは悲劇だと彼女は言います。まずは自分の人生を自分が選んでマネージメントしているという感覚が持てるかどうか。もっと言えば今の自分を愛せるかどうか、なんだそうです。そのためには、常に自分を見直す作業を続けなくてはいけません。

次に、自分だけではなく社会、また次世代にとってどうなのかという広がりです。私たちは生きているだけで地球環境を汚しています。その事実を受け止めて、負の遺産を後世に残さないという意識を持てるかどうかが大切です。現状を知ること。知ると怒りで震えるぐらいに現実は課題だらけです。でもそこから声を上げていく、という行動につながりますので、どうか目を背けずに。

実際に声を上げた先輩レディたちの声や意見の数々、経験値を知ることも重要です。ここで紹介する書籍や映画は、現実社会を風刺したり、それあるある!と納得するような切り口のもの、また声を上げて活動するノウハウが書かれたものまで、価値観を押し広げてくれる作品を紹介しています。ぜひご一読を。

ここまできたら次は実行あるのみ。社会に役立つことや貢献できること、社会を動かすための第一歩ですね。大それたことをしなくとも、マイストローを持っている、ヘアドネイションをしている、気になるNPOに寄付をしているなどできることから始めてみるので十分です。小さな踏み出しがたくさん集まれば大きな力となり、動かなかったものを動かします。すでに経験済みの方はご存じですが、社会貢献や社会にいいことをしてみると、結果、その行為は自分自身を豊かにし心が救われます。人は愛し愛される生き物ですから、それが深層心理に刺さるのかもしれませんね。

まさにこの原稿を書いているときに、これからの日本を担うと期待値が高まる政治家、小泉進次郎さんと滝川クリステルさんの結婚&妊娠のニュースが飛び込んできました。クリステルさんは128号「動物たちのいるところ」にもご登場いただき、動物保護や愛護活動に尽力されている話を伺いました。震災後に被災地で保護された愛犬アリスの里親になり、同時にクリステル・ヴィ・アンサンブル財団を立ち上げたアクティビストでいらっしゃいます。記者会見の際のクリステルさんの言葉「私自身もキャリアを築いてきたこともあり、自分のスタイルや仕事もあるので、これから二人で新しい形を築いていければと思います」は、まさにこれからのレディの姿そのものでした。

今号では「別に!」発言で世論を一挙に敵に回し、その後、結婚、離婚と世間を騒がせ、復帰後は公私にわたり輝きを増す沢尻エリカさんにもご登場いただきました。当時を赤裸々に語るインタビューは、読む人に勇気を与えます。彼女の美しさは、失敗や挫折を乗り越えた強さからくるものです。乗り越える勇気、また苦悩している人を排除するのではなく受け入れていく寛容さもまた、レディたる資質です。

今という時代を、責任を持って生きていくことが、これからの社会を変えていく推進力になります。女性のみならず、みんなが笑顔で過ごせる社会がやって来ればいいのにと強く願います。今号の特集に賛同してもらえればうれしいです。

Numéro TOKYO編集長 田中杏子

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