写真家 ヴィヴィアン・サッセンにインタビュー
「美大生時代ARAKIに影響を受けた」
雑誌をはじめ、ブランドの広告キャンペーンビジュアルなど世界的に注目を集めるフォオグラファー、ヴィヴィアン・サッセン(Viviane Sassen)にインタビュー。(「ヌメロ・トウキョウ」2017年5月号掲載)
CMYK 2007, series Flamboya
世界から熱い視線が注がれる
ヴィヴィアン・サッセンの写真の力
幼少時代を過ごしたアフリカの大地や風、人々の営みなどに育まれた独特の色彩世界、光と影…。世界各地で展覧会を開き、数々の名誉ある賞を受賞、ファッションブランドのキャンペーンヴィジュアルも手がけているオランダ出身の女性フォトグラファー、ヴィヴィアン・サッセン(Viviane Sassen)のオリジナルな写真力に迫る。
──子どもの頃について教えてください。
「アフリカで過ごした頃の思い出が私の人生や作品にとても影響を及ぼしています。おそらく物心がついたときの環境が強く印象に残っているからでしょう。あの時代のことはもう骨の中まで染み込んでいるんです。私の場合“ブループリント”に染み込んでいると言ったほうが適切かもしれませんね。ケニヤからオランダに戻ったとき、それまでの私の常識概念が覆され、すべてが奇妙で新鮮に感じられたのです。アフリカの生活に戻ることはないとわかっていたけれど、恋しくて、よく昔の夢を見たりしていました。裸足で歩き回ること、一緒に遊んだ友達、犬、住んでいた家や乳母…。ケニヤの匂いや日の光までもが恋しくてたまらなかったのです。オランダはアフリカに比べるととても灰色っぽく、冷たく感じました。クリエイティブで繊細だった子ども時代の私は、古き良き時代のファンタジーを思い描き、その世界を大切にしていました。
Euphorbia 2006, series Parasomnia
何年もたった後にアフリカに戻ったときは混乱しましたね。夢の中で細部まで再現していたあの時代が目の前に蘇ったのですが、故郷に戻ったという思いと、自分がこの土地では異邦人であるという事実が複雑に入りまじってしまいました。そのときから12年間、何度もアフリカに行きましたが、あの大陸への思いや自分の立場はもちろん変化を遂げました。しかし、アフリカを意識し続けていることに変わりはありませんし、私の作品とは切っても切れない関係にあると思います」
アフリカでのもう一つの人生は
まるでパラレルワールド
Photos : Viviane Sassen
Translation : Nina Utashiro
Edit & Text : Maki Saito