写真家 ヴィヴィアン・サッセンにインタビュー「美大生時代ARAKIに影響を受けた」 | Numero TOKYO - Part 3
Interview / Post

写真家 ヴィヴィアン・サッセンにインタビュー
「美大生時代ARAKIに影響を受けた」

雑誌をはじめ、ブランドの広告キャンペーンビジュアルなど世界的に注目を集めるフォオグラファー、ヴィヴィアン・サッセン(Viviane Sassen)にインタビュー。(「ヌメロ・トウキョウ」2017年5月号掲載

vivianesassen_03
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René's Hat, 2011 ──インスピレーション源は? 「自然、ストリート、そしてアートからです」 ──フォトグラファーとして大切なことは何ですか? 「写真を撮る際、個人を捉えるよりも目の前にいる一人の人を通して“人間”という生物の核心、偽り、そして象徴するものを捉えることに興味があります。だから顔を隠すことによって身体に焦点を当て、感情を身体の動きから読み取るように仕向けています。身体はただの物体や彫刻ではなくなり、意味を持つことになります。魂を吹き込むことができるのです。私の写真もアニミズムが強く反映されているかと思いますが、私自身の過去や生い立ちにアニミズムのコンセプトが編み込まれているからだと思います。写真というものは根本的に妄想の現実化だと考えています」
vivianesassen_08
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(上)Etan / mint 12:00 2013, series Etan & Me (左下)Etan / mint 21:00 2013, series Etan & Me (右下)Etan / mint 15:00 2013, series Etan & Me ──好きな日本人フォトグラファーを教えてください。 「美大生時代はARAKI(荒木経惟)が本当に好きで、当時の私の作品は彼に大きく影響されていたと思います。卒業制作などは特にそうでした。あの時代、私は父を亡くして苦しんでいたので、ARAKIが奥さんを失い、カメラを通して気持ちに対処していたことに共感できたのです。そして、森山大道も大好きです!」 ──幸せとは? 「愛する人たちと新しい冒険をしに旅をすること」 ──いま夢中になっていること/ものは? 「キノコと土です」 ──進行しているプロジェクトなどはありますか。 「新しいプロジェクトを進めています。女らしさや妊娠、強さや柔らかさなど、女性のパワーについて追求しています。10月初旬に東京・恵比寿のG/P ギャラリーで写真展を開催する予定です。写真集も制作しているので、同時に発売予定です。また日本を訪れることを楽しみにしています! 写真集(左上)『Flamboya』(2008年、Contrasto刊)ヴィヴィアン初の写真集。アフリカ大陸を横断し、撮影した写真をまとめた作品が掲載されている。(右上)『Die Son Sien Alles』(2012年、Libraryman刊)2002〜04年の間に何度も訪れた南アフリカ・ケープタウンで捉えた住民の家、ショップ、バーなどのインテリアに注目した作品。(左下)『In and out of fashion』(2012年、Prestel刊)17年にわたって撮影したファッションフォトの集大成。250点もの写真が掲載。(右下)『Umbra』(2015年、Prestel刊)Umbra=影をテーマに、人物や静物を鮮やかな色彩で捉えた一冊。深い影がミステリアスな印象を強めている。

Photos : Viviane Sassen
Translation : Nina Utashiro
Edit & Text : Maki Saito

Profile

Viviane Sassen(ヴィヴィアン・サッセン) 1972年オランダ・アムステルダム生まれ。ユトレヒト芸術学校、アーネム王立芸術アカデミーでファッションデザインと写真を学んだ後、フォトグラファーとして雑誌をはじめ、Miu Miu、Louis Vuitton、Carvenなどの広告キャンペーンヴィジュアルを撮影。鮮やかな色彩、強いコントラストと影、空想とリアリティが交差する独特な視点で世界を魅了している。今年4月には南アフリカ・ヨハネスブルグで初の個展を開催し、10月6日からG/P Gallery(恵比寿)にて写真展「Of Mud and Lotus」を開催。現在もアムステルダムを拠点に活躍中。 (Photo : Hanneke van Leeuwen Collage : Viviane Sassen)

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