レストランが贈る“口福の時間”を体験
食通のゲストセレクターを迎え、いま注目の“食の世界”をおすすめのレストランとともに紹介するフード連載。Vol.5は、ギフトコンシェルジュとして活躍する裏地桂子が、才能溢れる注目シェフによるクリエイションが詰まった一皿で、“口福の時間”に浸れるおすすめのレストランをピックアップ。(「ヌメロ・トウキョウ」2019年1・2月合併号掲載)
口福は、シェフのギフト
レストランは口福な時間の贈り物(ギフト)。私は、お気に入りのレストランが見つかると、長年足繁くその店に通います。
「フロリレージュ」は結婚30周年の食事会を昼と夜に貸し切り、川手シェフの料理をお客さまと楽しみました。テーブルごとでなく、オープンキッチンのカウンター席を20名が着席で囲み、おいしい料理を皆でいただきたかったから。もう何年も伺っていますが、毎回、驚きと感動のひと皿があるのは才能だと思います。「カンテサンス」の岸田シェフ、「Ode」の生井シェフの料理も大好き。
日本料理は東京では、毎月、食の歳時記を学ぶ完全会員制の「壬生」、季節ごとに「松川」、「石かわ」。そして、実家のある愛媛県松山に帰省するたびに伺っていた「和敬」が11月に東京・西麻布に移転オープンしました。竹村さんの料理人としての新たな挑戦に心からエールを送りたいと思います。
イタリアンは「チニャーレ・エノテカ」の東森シェフの料理、しつらえが好み。最近、初めて伺った白金の「フランツ」。福田シェフの味の重ね方の面白さは衝撃でした。これからどんどん進化するはず。楽しみなレストランに出合いました。
Florilége(フロリレージュ)
サステナビリティーをテーマに構築したモダンフレンチに定評があり、昨年には「アジアのベストレストラン」やミシュラン二ツ星に選出。国内のガストロノミーの旗手といえば「フロリレージュ」の川手寛康さん。「価値がないとされるものの価値を生み出すことが僕のクリエイティブの定義です」。
日本では珍しく、経産牛も積極的にメニューに使用。「海外に比べて日本はムーブメントをつくりにくい環境といわれますが、僕はそこに挑んでいます。年内に台湾にレストランをオープンしますが、次は国内でなにか面白いことをしたいです!」。
住所/東京都渋谷区神宮前2-5-4 SEIZAN外苑B1F
営業時間/12:00〜13:30、18:30〜20:00(L.O.)
定休日/水、ほか不定休
TEL/03-6440-0878
URL/www.aoyama-florilege.jp
和敬(わけい)
「料理は到達点がない世界だと思います」と、今秋西麻布にオープンした「和敬」を営む竹村竜二さんは話す。20年前に故郷・愛媛県の調理師学校を卒業後、道後温泉や南麻布の名店で修業を積み、6年前に帰郷して独立するも再び上京。「どの地域の人にもおいしいと思ってもらえる伝統的な和食を作りたい。その思いは20代の頃から変わりません」。
住所/東京都港区西麻布2-7-9 1F
営業時間/12:00〜14:30、18:00〜23:00(21:00 L.O.)
定休日/日(月曜が祝日の場合は営業、月曜定休)
TEL/03-3486-0149
FRANZ(フランツ)
白金の路地裏に佇む「フランツ」は、数々の名店で修行を積んだ福田祐三さんが切り盛りするフレンチ。築50年の古民家をリノベーションしたカウンター席のみの店内は、まるで友人の家を訪ねたかのようなほっと落ち着く空間。「食事に来てくださるお客さんとの信頼関係を大切に、細く長く続けていけたらと思っています」。
東京都港区白金6-2-17
TEL/03-6874-1230
営業時間/18:00〜22:00
定休日/日・祝
Photo:Yufuko Uehara Text:Nao Kadokami Special thanks:Hiroko Ishida Text & Edit:Yuuka Shiomi