世界の食のトレンドはイノベーティブ・キュイジーヌ
食通のゲストセレクターを迎え、いま注目の“食の世界”をおすすめのレストランとともに紹介するフード連載。Vol.1は、「Numero TOKYO」エディターがおすすめする、その土地の食材とシェフの個性で表現するイノベーティブ料理の話題の店3軒。(「ヌメロ・トウキョウ」2018年9月号掲載)
東京グルメ最前線、個性豊かに進化中
2000年代前半から注目された「フュージョン」と呼ばれる美食ジャンルは、「イノベーティブ・キュイジーヌ」へと進化して数年前からまた注目を集めている。シェフたちは、和・中・洋・エスニックなどジャンルを飛び越えて、各地・各地元の食材を使い、それぞれのスタイルを料理に反映し、自由に表現。“(伝統+革新)×シェフの個性=イノベーティブ・キュイジーヌ”という図式が、ガストロノミーのトレンドとなり世界中で人気に。
東京では、昨年オープンした「銀座 盡」が象徴的な存在。佐藤慶シェフが繰り出す、素材を大切に活かした、その日、その時にしか味わえない食空間は人生を楽しむ人達を魅了する。イノベーティブ料理は、クリエイターであるシェフの個性をダイレクトに感じ、おいしさ以上の楽しさを共有する魔法のよう。
「Ode」の瀟洒な雰囲気と意表を突く料理、「セクレト」のプレゼンテーションは味わってみないとわからないワクワク感が感性を刺激する。料理に国境はなく、言語も不要。世界を自由に旅する最高のツールが、イノベーティブ・キュイジーヌなのかも知れない。
Ode
広尾に昨年オープンした「Ode(オード)」。評判はあっという間に美食家、ジャーナリストや目利きさんの間で「オード行った?」と話題に。Odeとは“抒情詩”という意味のとおり、ミシュラン星付き有名レストランなどで経験を積んだ生井祐介シェフがこだわる、豊かな日本の季節食材・素材を、料理のみならず店内そこここに散りばめ大切に紡いだ表現空間。
コースメニューは伝統的なフレンチを基盤に、食材のポテンシャルをさまざまにアレンジ。料理とワインペアリングも楽しめる、最新TOKYOガストロノミーが堪能できる。
住所/東京都渋谷区広尾5-1-32 ST広尾2F
TEL/03-6447-7480
営業時間/12:00〜13:00、18:00〜21:00
定休日/日
価格/ランチ 季節の食材を使った7皿前後のお料理 ¥6,000
ディナー 季節の食材を使った11皿前後のお料理 ¥14,000
URL/restaurant-ode.com
※ドレスコードあり
ENEKO Tokyo
スペイン・バスク地方。この美食エリアで注目を浴びるシェフがいる。エネコ・アチャさん。スペイン史上最年少でミシュラン三つ星を獲得。料理の独創性はもちろん、地球環境を守るための活動も世界から評価されている。昨冬、東京・西麻布に上陸。日本の食材もふんだんに使ったバスク・ガストロノミー。ぜひ味わってみて!
住所/東京都港区西麻布3-16-28 TOKI-ON西麻布
TEL/03-3475-4122
営業時間/12:00〜14:00(L.O.)、18:00〜20:00(L.O.)
定休日/月・年末年始・土日祝(不定休)
価格/ランチ¥5,000〜、ディナー¥9,500〜
URL/eneko.tokyo
エネコ・アチャの食ドキュメンタリー『世界が愛した料理人』公開中
セクレト
「おいしい秘密(セクレト)基地になれば、と名付けました」とシェフの薮中章禎さん。スペインの名店「エル・ブジ」で修業、東京のホテルでの経験を経て、昨年オープン。科学的調理法を取り入れ、驚きの味をお皿にのせる。食事中にシェフのプレゼンテーションもあり、刺激に満ちたエンターテインメントも楽しめる。メニューは、12あるいは13皿のコース1種類のみ。ペアリングされたアルコールもしくはノンアルコールドリンクがお皿ごとに付く。
住所/東京都新宿区二十騎町2-23 ランピオンイゴー1F
TEL/03-6265-3664
営業時間/19:00一斉スタート
定休日/月
価格/コース¥18,000(ペアリング・税サ込)
Photos:Yufuko Uehara(ENEKO Tokyo, セクレト) Text:Mika Kitamura(ENEKO Tokyo, セクレト) Edit & Text:Yuuka Shiomi