バレエダンサー・上野水香を魅了する、からだと心が喜ぶ美食
食通のゲストセレクターを迎え、いま注目の“食の世界”をおすすめのレストランとともに紹介するフード連載。Vol.15は、バレエダンサーの上野水香が一流シェフの力に圧倒された名店をピックアップ。(『ヌメロ・トウキョウ(Numero TOKYO)』2020年1・2月号掲載)
訪れるたびに心を開いてくれる
一流シェフは偉大なるアーティスト
バレエは主役がコール・ド(群舞)とともに曲目を踊りで表現します。一方、素材や場所をどのように提供するかはシェフを中心とした組織の力です。日々の研鑽を積み重ねたその力に私たちは圧倒されるでしょう。
コンラッド東京「風花」の鉄板焼。オレンジベースのドレッシングは爽やかで、その独創性は神子シェフの鉄板焼きへの期待を一層高めます。黒々とした鮑はフレンチテイストのソースが合わせられて磯の香りと見事に調和し、ヒレ肉は常にその日の肉質を最も引き立てるように焼き上げられます。「鮨かねさか」。暖簾をくぐると凛とした白木のカウンターに金坂さんのいらっしゃいませという声が響きます。鯛の刺身は素材が素晴らしいのか仕込みが見事なのかはわかりませんが、味と満足感の違いははっきりと感じます。この違いを求めてまた金坂さんに会いに行きたくなります。
白熱灯が映す入り口はさりげなく、真っ白な飾り皿と磨かれた銀食器が静かに置かれている「コート・ドール」もまたお気に入り。エッフェル塔とパリの街並みの絵は、少しだけ緊張感を与え味覚を研ぎ澄まさせるこの店ならではの演出。斎須シェフの積み重ねた歴史に対する畏敬の念が湧いてきます。牛スネ肉の煮込みに進む頃、ピノ・ノワールはちょうど良く開いておいしい時間が満たされます。
コンラッド東京 日本料理 風花
会席、鮨、鉄板焼の3つのスタイルで、旬を盛り込んだ日本料理を楽しめる「風花」。店内は、墨絵をモチーフに、蔵をモダンに表現した洗練された空間だ。目の前には東京湾が広がり、海が輝くランチタイムから、夜景がきらめくディナーまで、いつでも最高の眺望が約束されている。料理は田村勝宏・統括料理長や神子伸康・鉄板焼料理長などが、日本料理をベースに、現代的な感覚やフレンチの技法を取り入れた料理を展開。伝統と革新、和と洋など、2つの要素が融合した「風花」ならではの味と空間を堪能して。
住所/東京都港区東新橋1-9-1 コンラッド東京 28F
TEL/03-6388-8745(レストラン予約)
営業時間/11:30~14:00、17:30~21:00
定休日/無休
※鉄板焼はカウンターで9席のみなので要予約
ステーキハウス オーク ドア
グランド ハイアット 東京のシグネチャーレストラン「ステーキハウス オーク ドア」。世界のラグジュアリーホテルで料理長を歴任したパトリック シマダ料理長が手掛けるのは、最高品質の素材を生かしたダイナミックで美しい一皿。この冬は肉厚タラバガニの身を丸ごと使った「クラブバーガー」が期間限定で登場する。口の中で爆発する濃厚なタラバガニの旨味を、チポトレソースやアボカドでヘルシーにまとめている。
住所/東京都港区六本木6-10-3 グランド ハイアット 東京 6F
TEL/03-4333-8784
営業時間/ランチ 11:30〜14:30(土日祝〜15:00)
アフタヌーン 15:00〜17:00
ディナー 18:00〜22:00
オークドアバー 11:30〜24:30(フードL.O.22:30)
※クラブバーガーは、ランチもしくはバーエリアにて提供
鮨かねさか
北大路魯山人の焼いた器、室町時代の花器など、一流の設えが醸し出す緊張感のある空間で、最高の食材と職人の技が堪能できる「鮨かねさか」。カウンターを挟んで供されるのは、その人だけの特別なもてなし。「『おまかせ』というのは、お客さまに最適な状態を瞬時に判断して、最高のものを提供すること」だと主人の金坂真次氏は語る。江戸前の粋と本物の「仕事」に触れて、次のインスピレーションをもらう、そんなお店だ。
住所/東京都千代田区丸の内1-1-1 パレスホテル東京 6F
TEL/03-3211-5323
営業時間/ランチ 11:30〜14:00、ディナー 17:00〜21:30(L.O.)
※ディナーは「握りコース」¥15,000〜、「おまかせ」¥25,000〜
Photo : Yufuko Uehara(日本料理 風花、鮨かねさか)Text : Miho Matsuda Edit: Yuuka Shiomi