ACTIONS for the FUTURE vol.2 BOTTEGA VENETA | Numero TOKYO - Part 5
Fashion / Post

ACTIONS for the FUTURE vol.2 BOTTEGA VENETA

ボッテガ・ヴェネタが東日本大震災被災者向けに イタリア留学支援プログラムを実施

シンポジウム「これからのものづくり」
イタリアで専門的なバッグデザインと製品開発を学んだ3名の帰国に合わせ、ボッテガ・ヴェネタはシンポジウム「これからのものづくり」を開催。5月31日、東京大学弥生講堂一条館にて、約3時間にわたり二部構成で展開されたこのシンポジウムでは、ボッテガ・ヴェネタ社長兼CEOのマルコ・ビッザーリの挨拶、3名によるプレゼンテーション、建築家で東京大学大学院教授でもある隈研吾の基調講演に加え、各界からパネリストを迎え「これからのものづくり」を考えるパネルディスカッションが行なわれた。震災を機に大きな転換期を迎えた日本において、ファッションを含めものづくりは今後どうなっていくのか、多彩なプログラムは来場者の知的好奇心を大いに刺激したようだ。 Photos : Tadayuki Uemura Text : Misho Matsue
マルコ・ビッザーリ 挨拶 (ボッテガ・ヴェネタ社長兼CEO)
学生によるプレゼンテーション
ボッテガ・ヴェネタがイタリアの歴史と風土に育まれ、クリエイティブ・ディレクターのトーマス・マイヤーのデザインと職人の技とのコラボレーションに支えられていること、クラフツマンシップが職人と弟子との師弟関係により受け継がれてきたことを力説。伝統の継承こそが「メイド・イン・イタリー」の魅力でありブランドの核でもあるため、今回のプログラムも単なる慈善活動ではないとのメッセージに、聴衆は興味深く聞き入っていた。 プログラムの成果をそれぞれの言葉で力強く語った3人。小田部さんはミラノの店舗研修やイタリアでの生活の中で学んだ、デザインに対する考え方とイタリアンデザインの秘訣について、佐藤さんは揺るぎないインティメイト(個人の核となる部分)の獲得により自らのクリエイション哲学を発見できたことについて、小池さんは教授からの既成概念を払拭するための助言をうまく活かし、自分にしか作れないバッグを制作する情熱を新たにしたことを発表した。
隈研吾 基調講演 (建築家・東京大学大学院工学系研究科建築学専攻教授)
パネルディスカッション
日本を代表する建築家で、本プログラムにおいて3名の選考委員でもあった隈研吾は、イタリアで貴重な経験を積み帰国した学生たちのプレゼンテーションを称賛。日本の伝統工芸とも関わりの深い氏は、人類史において大災害がデザインの方向性を変えてきたことに触れながら、3.11を「何が本当の強さなのか」を考えさせるきっかけと捉え、これからはテクノロジーやスピードだけでなく"場所"や"人"にフォーカスした時代となることを強調した。 パネリストとして、基調講演をおこなった隈研吾のほか、森本千絵(アートディレクター、コミュニケーションディレクター)、猪子寿之(チームラボ代表)、KIKI (モデル、女優)が登場。ところどころで笑いもこぼれる和やかなムードの中、さまざまな領域の第一線で活躍するクリエイターたちが、それぞれのルーツ、アイデアソース、職人技の継承やクリエイティブ・フィールドにおける今後の課題などについて、自らの経験を交えながら熱く語り合った。
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