マーティン・パーを知るためのアレコレ Vol.2 展覧会&グッズ
皮肉なユーモアを効かせたユニークな写真、独特のセンスと直感で“今”を撮り続けているイギリス随一の写真家、マーティン・パー。キュレーターやコレクターとしても知られるマーティンの偉業を一挙公開。Vol.2では、展覧会やグッズを紹介する。(『Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)』2020年1・2月合併号掲載)
Parr paradise
マーティン・パーの世界に触れる
2017年にオープンしたマーティン・パー財団、自身も楽しんでいるグッズ制作、世界中で開催された展覧会までをお届けします。
Martin Parr Foundation
マーティン・パー財団
マーティン・パー拠点の地、イギリス・ブリストルにて2014年、マーティン・パー財団を設立し、17年10月、ギャラリーやイベント、ライブラリー会場としてオープン(入場料無料)。マーティンがキュレーションしたイギリスやアイルランド人の写真展、アーティストのトークイベントやサイン会なども定期的に開催し、マーティンをはじめアレック・ソス、ナイジェル・シャフラン、ハーリー・ウィアなど人気作家も参加。
5,000冊以上保管されているライブラリーは、イギリスやアイルランド作家を中心とした、世界中から収集された作品のほか、教育やリサーチを目的とする人へ向けて「Creative Camera」や「Camera Work」などの貴重な写真雑誌も置かれている。ブリストルから、地方活性にも繋がるクリエイティブなつながりを発信している。
住所/316 Paintworks Bristol BS4 3AR, England, UK
営業時間/11:00~18:00(水~土)
定休日/日~火(2020年1月21日まで休館)
URL/www.martinparrfoundation.org
products of art
コラボアイテムやグッズが盛りだくさん!
マーティン・パー×エストネーション×バルスウェット&フーディ
世界の名だたるアーティストとコラボレーションを行っているショップ、エストネーション。今季はマーティン・パーをピックアップし、バルが色鮮やかでユニークな写真を際立たせるデザインに落とし込んだ。
ビーチ写真のビーチボール
ロンドンのナショナル・ポートレート・ギャラリーにて行われた個展「Only Human」(19年3月7日~5月27日)のグッズとして作られたビーチボール.ビーチ写真を載せるのはいかにも彼らしい!?
イギリスならでは!? “悪天候用”傘
1982年に刊行された写真集、『Bad Weather』からの写真を傘にプリント。コロコロと変わるイギリスの天気とその国民気質を傘に重ねた。マーティン・パー財団ではこの傘のほか、トートバッグやポストカードなども販売。
クローズアップした唇のインパクト大のメイクポーチ
マーティンが所属するマグナムでは、写真や写真集だけでなくグッズなども販売。唇にぐっとクローズアップしたこの写真は、『Common Sense』シリーズから。よく見ると歯には口紅がついている。グッズにもマーティンの皮肉と愛が詰まっている。
exhibitions
世界各地で開催された展覧会
Home Sweet Home(Impressions Gallery, York, UK, 1974)
初個展は、イギリス・ヨークのギャラリー(現在はブラッドフォードに移転)で開催。展示の批評を意識し、パーソナルな空間に仕上がるよう部屋の配置や装飾などの細部にもこだわった。
Common Sense(Various venues worldwide, 1999)
1999年からスタートし、世界17カ国、41会場で開催され、ギネス記録を持つ。日本では東京のアニエス・bギャラリーを皮切りに各地のショップを巡回した。
Retrospective(Barbican, London, UK, 2002)
ロンドンのバービカン・アートセンターにて大規模な“集大成”展を開催。70年代の初期作品、モノクロ、自画像、リゾート、食べ物などの写真のほか、コレクショングッズなども展示。
Fashion Magazine(TOP Museum, Tokyo, Japan, 2007)
東京都写真美術館にて行われた日本での初めての大規模な個展。2000年代初めから撮りためたファッション写真を展示。華やかなイメージとその裏側が色濃く映し出されている。
Food(Airport & Metro Hall, Toronto, Canada, 2013)
食にフォーカスした展覧会も数多く開催。カナダのトロントでは写真鑑賞が目的でない、さまざまな人が行き来する空港や地下鉄にて展示。鮮烈な色をした食べ物が異空間を作る。
Only Human(National Portrait Gallery, London, UK, 2019)
「人間」をテーマに、代表作のほか著名人のポートレイト、EU離脱に揺れるイギリスなど未公開写真を多く展示。日常的な習慣や儀式を通して、英国人のアイデンティティを探求している。
Edit & Text : Maki Saito